水酸化銀とは
水酸化銀とは、銀の水酸化物です。
化学式AgOHで表されます。
Agの単体はイオン化傾向が小さいため、水素イオンH+を還元することができず、塩酸や希硫酸には溶解しません。
希硝酸や濃硝酸、熱濃硫酸などの酸化力の強い酸にのみ溶解します。
硫酸銀Ag2SO4や硝酸銀AgNO3のような銀(1)インAg+を含む水溶液に、水酸化ナトリウム水溶液やアンモニア水のようなアルカリ水溶液を加え、おおよそpH=8.5以上になるまで中和することで、白色沈殿物として得られます。
ですが、水酸化銀は非常に熱的に不安定であるため、すぐに分解して脱水反応が進行してしまい酸化銀(Ⅰ)となります。
金属が酸に溶解するときには一般的に水素が発生しますが、銀の場合は水素は発生しません。
酸が希硝酸や濃硝酸の場合は一酸化窒素NOや二酸化窒素NO2を発生します。
また、酸が熱濃硫酸である場合は、二酸化硫黄SO2が発生します。
水酸化銀の使用用途
水酸化銀はすぐに分解して酸化銀Ag2Oとなります。
その沈殿物を含む溶液を過剰のアンモニアを使用して塩基性にしていくと、銀のアンミン錯体、[Ag(NH3)2]+を生成して溶解した状態になります。
その溶液にアルデヒドなどのホルミル基を持つ化合物を加えて加熱することで、銀イオンが還元されて析出します。
この時、析出した銀は鏡のように均一になることから、この反応は銀鏡反応と呼ばれています。
19世紀前半から、主要な銀メッキの方法としてデュワー瓶の表面メッキや、鏡の作成方法として、工業的に様々な分野で活用されてきました。