二酸化硫黄

二酸化硫黄とは

二酸化硫黄 (英: Sulfur dioxide) とは、硫黄と酸素の化合物で、刺激臭のある無色の気体です。

化学式はSO2、分子量は64.07、CAS登録番号は7446-09-5です。二酸化硫黄は、別名、亜硫酸ガスや無水亜硫酸とも呼ばれ、天然では、火山ガスや鉱泉中に少量含まれています。

二酸化硫黄の構造

二酸化硫黄は、C2v対称の折れ線形の構造をしています。分子軌道法の点から見ると、多くの電子対が結合に関与する超原子価化合物の一種であると言われていましたが、実際にはオゾンに似た比較的単純な結合構造であることが判明しています。硫黄と酸素の結合距離は約143pmで、折れ線構造のなす角度は約119°です。

二酸化硫黄の性質

1. 物理的特性

二酸化硫黄は、融点が-75.5℃、沸点が-10℃、液体時の比重が1.4です。二酸化硫黄は、水に溶けやすく、アセトンエタノール・四塩化炭素・ベンゼンメタノール・酢酸エーテル・クロロホルムに可溶です。二酸化硫黄には、酸化剤としても還元剤としても作用するという特徴があります。

2. その他の特徴

二酸化硫黄は、腐食性の強い有毒物質であり、緑青のように、各種の金属表面を腐食します。製錬所や石油・石炭等を燃料に使う工場の排煙などには、かなりの量の二酸化硫黄が含まれており、都市空気の汚染源や酸性雨の要因として注目されています。

二酸化硫黄の使用用途

1. 食品添加物

二酸化硫黄は、抗菌作用をもつ性質を活かし、酒やドライフルーツの保存料、漂白剤、酸化防止剤として利用されています。ドライフルーツには独特の風味がありますが、二酸化硫黄もその一因となっていることがあります。ワイン中にもppm単位で存在していて、抗菌剤や酸化防止剤の役割を果たし、雑菌の繁殖や酸化を防ぎ、酸性度を一定に保つ手助けをしています。

2. 溶媒

液体の二酸化硫黄は、非水溶媒として、多くの無機化合物や有機化合物を溶かすため、核磁気共鳴の研究や各種の合成などに用いられています。また、高純度の二酸化硫黄は、液化二酸化硫黄として、ボンベに入れて市販されています。

3. 漂白剤

二酸化硫黄は、強い還元作用をもっているため、パルプ等の漂白剤・殺菌剤などにも利用されています。水の存在下で還元的な脱色作用を示すため、紙や衣服などの漂白剤として用いられますが、空気中の酸素による再酸化のため、長く続く漂白作用ではありません。

4. その他

二酸化硫黄は、その他にも、硫酸や亜硫酸ナトリウム等を製造する際の原料として使用されています。殺虫剤や還元剤、農薬、医薬品、石油精製などにも用いられています。

二酸化硫黄のその他情報

1. 二酸化硫黄の製法

二酸化硫黄は、固体亜硫酸塩を硫酸で分解するといった方法や、と濃硫酸を熱反応させるという方法によって発生します。また、工業的には、硫黄・硫化水素・黄鉄鉱等の金属硫化物を燃焼することで製造されています。セメント製造時には、無水硫酸カルシウムをコークスと加熱してけい酸カルシウムを生成しますが、副生成物として二酸化硫黄が発生します。

2. 法規情報

二酸化硫黄は、労働安全衛生法では名称等を通知すべき危険物及び有害物に、労働基準法では疾病化学物質にそれぞれ指定されており、取り扱いには注意が必要です。 

3. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 保管容器は、換気の良い40℃以下の場所で保管する。
  • 使用後は、容器のバルブを完全に閉め、口金キャップと保護キャップを付ける。
  • 水分があると、アルミニウムやスチールなど多くの金属を侵すため、接触を避ける。
  • 液状ではプラスチックやゴムを侵すため、接触を避ける。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡を着用する。
  • 取扱い後はよく手を洗浄する。
  • 皮膚に付着した場合は、石鹸と水で洗い流す。
  • 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗う。
  • 蒸気は呼吸器を刺激し、咳や気管支炎などを引き起こすので、吸入を避ける。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0872.html

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