メトキシフェノール

メトキシフェノールとは

メトキシフェノールとは、フェノールの水素原子1つがメトキシ基に置換した有機化合物です。

フェノール類の1種です。ヒドロキシアニソールとも呼ばれています。パラ体・オルト体・メタ体の異性体が存在し、p-メトキシフェノール、o-メトキシフェノール、m-メトキシフェノールの3種類です。

いずれの異性体も、分子式はC7H8O2で、分子量は124.14です。

メトキシフェノールの使用用途

1. p-メトキシフェノール

p-メトキシフェノールは、「有機合成原料」「アクリル酸エステルやアクリルニトリルなどのモノマーのラジカル重合の禁止剤」「油脂・脂肪酸・石けん等の酸化防止剤」「香料」などに使用されています。そのほか、酸化防止や色素沈着改善などの目的で、化粧品に用いられることもあります。

2. o-メトキシフェノール

o-メトキシフェノールは、「有機合成原料」「防腐剤」「殺菌剤」「香料のバニリンの製造」などに利用されています。その他、防腐殺菌薬として、歯科の消毒・鎮痛・腸内発酵抑制などの目的で用いられています。

3. m-メトキシフェノール

m-メトキシフェノールは、抗酸化剤などの有機化合物を合成する際に、触媒やビルディングブロックとして使用されています。さらに、ガスクロマトグラフィー分析における標準物質としての用途もあります。 

メトキシフェノールの性質

1. p-メトキシフェノール

p-メトキシフェノールの基本情報

図1. p-メトキシフェノールの基本情報

p-メトキシフェノールは、白色または薄黄色の結晶です。水には微溶ですが、エタノールやエーテルなどに溶解します。

p-メトキシフェノールの密度は1.55g/cm3、融点は52.5°C、沸点は243°Cです。メタノールと1,4-ベンゾキノンのフリーラジカル反応によって、p-メトキシフェノールが得られます。

労働安全衛生法で「名称等を通知すべき危険物及び有害物」「名称等を表示すべき危険物及び有害物」に該当しており、取り扱いには注意が必要です。

2. o-メトキシフェノール

o-メトキシフェノールの基本情報

図2. o-メトキシフェノールの基本情報

o-メトキシフェノールは、特異臭のある、やや黄みを帯びた白色の結晶です。水には微溶ですが、エタノールやアセトン等には可溶です。

o-メトキシフェノールの密度は1.112g/cm3、融点は28°C、沸点は204-206°Cです。リグニンの熱分解によって、o-メトキシフェノールが生成します。

3. m-メトキシフェノール

m-メトキシフェノールの基本情報

図3. m-メトキシフェノールの基本情報

m-メトキシフェノールは、無色から赤褐色の透明の液体です。エタノールおよびアセトンに極めて溶けやすいですが、水にほとんど溶けません。

m-メトキシフェノールの密度は1.143-1.148g/cm3、融点は-17℃、沸点は244℃です。消防法で「危険物第4類」に指定されており、取り扱いには注意が必要です。 

メトキシフェノールの構造

1. p-メトキシフェノール

p-メトキシフェノールは、フェノールの4位にメトキシ基を有する化合物です。4-メトキシフェノール、メキノール、4-ヒドロキシアニソール、パラグアイアコールとも呼ばれます。

2. o-メトキシフェノール

o-メトキシフェノールは、フェノールの2位にメトキシ基を有する化合物です。2-メトキシフェノール、グアイアコール、2-ヒドロキシアニソール、メチルカテコールとも呼ばれます。

3. m-メトキシフェノール

m-メトキシフェノールは、フェノールの3位にメトキシ基を有する化合物です。3-メトキシフェノール、m-グアヤコール、レゾルシノールモノメチルエーテル、m-ヒドロキシアニソール、3-ヒドロキシアニソールとも呼ばれます。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0108-0407JGHEJP.pdf
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0113-0672JGHEJP.pdf

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