スクロールチャック

スクロールチャックとは

スクロールチャック

スクロールチャックとは、主に旋盤の主軸に取り付けて工作物を保持するための器具です。チャックハンドルを手で回すことによって、120°等配の三つ爪が同時に動き、工作物を把握することができます。

対応できる工作物は丸物が基本ですが、三つ爪スクロールチャックなら六角材を掴むこともでき、四つ爪なら四角材も把握可能です。

また、爪の形状は工作物に合わせて成形することもできます。その際は、ジョーロックやチャックメイトと呼ばれる固定具で爪を所定の位置に固定し、機上にて爪を共ぐりするのが一般的です。

スクロールチャックの使用用途

スクロールチャックは汎用旋盤で広く使用されてきました。しかし、自動化が進みCNC旋盤が主流になった今では、油圧のパワーチャックやエアーチャックの需要が増え、スクロールチャックが使用される機会は減ってきています。

とはいえ、今でもスクロールチャックを使用しているという製造現場もあります。手作業でチャッキングが行える分、熟練作業者の感覚を活かした微調整ができるというメリットもあり、あえてスクロールチャックを使用しているという製造現場も珍しくありません。

スクロールチャックの原理

スクロールチャックの特徴は、スクロールと呼ばれる渦巻き状の溝を持つカムが内蔵されている点にあります。

三つ爪スクロールチャックには、スクロールの溝とぴったりかみ合う形で、3つの爪が同間隔で組み付けられています。爪の溝は位置がそれぞれ異なっており、これによって、三つ爪がちょうど同心円上に配置されるようになっています。

チャックハンドルを回すと、ベベルギヤを介してスクロールも回転します。すると、スクロールの回転によって三つ爪も同時に径方向に移動します。この動作によって、工作物を中心位置で把握することが可能となるのです。

しかし、スクロールチャックはその構造上、正確な中心位置で把握するということは不可能です。個体差はあれども、平均して0.07mm程度の偏心は許容しなくてはなりません。

できる限り偏心のないように加工を行うには、掴みかえをなるべく行わないように加工方法を工夫することが必要です。背面加工など、どうしても掴みかえを行う必要がある場合には、四つ爪単動チャック(インディペンデントチャック)を使用するという方法もあります。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0034.html
http://kousyoudesignco.dip.jp/meel3.html

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