タップ穴加工とは
タップ穴加工とは、金属のねじ切り加工の一つで、あらかじめドリルで加工された下穴に対して、めねじを成形する加工の事です。タップ加工には、切削式と転造式の2種類の加工方法があります。さらに切削式で用いられる工具にはハンドタップ、ポイントタップ、スパイラルタップの3種類があり、それぞれ特徴が異なります。
一般的には、ボール盤やマシニングセンターにタッピング工具を設置して、加工を行う事が多いですが、タップハンドルを用いて手作業でねじ切り加工を行う場合もあります。
タップ穴加工の使用用途
車や家電、パソコン、スマートフォンといった日常生活で目にするあらゆる製品に、タップ穴加工は施されています。
多くの製品は複数の部品から構成されています。部品同士を固定する方法として、接着のほかにねじを用いた固定が広く用いられています。
ねじ(おねじ)には、らせん状の山形状の加工が施されています。らせん状の溝形状が施されたタップ穴に、ねじをねじ込む事で、部品同士を固定する事ができます。
旋削やフライスでもめねじを成型することができますが、タップ穴加工が最も安価な加工方法として広く用いられています。
タップ穴加工の種類
タップ穴加工は、用途に応じてそれぞれ適した工具があります。
- ハンドタップ
手動でタップ穴加工するための工具です。
ハンドタップは、量産向けではなく、試作などで加工数が少ない場合に用いられます。通り穴も止まり穴どちらでもタップ穴を加工できるのが特徴です。 - ポイントタップ
量産品の製造でのタップ穴加工に用いられる工具の一つです。
タップ穴の溝を削ったときに発生する切り粉が、下に落ちる構造をしています。このため、ポイントタップは通り穴用のタップとして用いられています。 - スパイラルタップ
ポイントタップと同じく、量産品の製造でのタップ穴加工に用いられる工具の一つです。
タップ穴の溝を削ったときに発生する切り粉が、上に上がってくる構造をしています。このため、スパイラルタップは止まり穴用のタップとして用いられています。 - 溝なしタップ(転造式)
切削ではなく、下穴を押し広げることによってめねじを形成します。
切削ではないため、切り粉は発生しません。
硬い材質に対しての加工は不向きで、アルミなどの柔らかい材質に対して用いられます。