テオブロミン

テオブロミンとは

テオブロミンとは、化学式C7H8N4O2、分子量180.17のアルカロイドの1種です。

無色または白色の結晶で、水には溶けにくい性質を持ちますが、酸やアルカリにはよく溶けます。カカオの種子に1.5-3%程度含まれており、工業的なテオブロミン製造においても、脂肪分を取り除いたカカオ種子を用いて分離する方法が用いられています。

テオブロミンを化学的に合成する場合、キサンチンをメチル化することでテオブロミンを得る方法が報告されています。テオブロミンはカフェインと同様に刺激作用を持ちますが、その作用はカフェインよりも弱いです。

一部の飲料や食品に使用されており、また医薬品やサプリメントとしても利用されています。

テオブロミンの使用用途

テオブロミンは、キサンチン誘導体のアルカロイドで、チョコレートやカカオ豆に含まれる主要な成分の1つです。主に以下のような用途で使用されています。

1. 飲料・食品

テオブロミンは、チョコレートやココアをはじめとする飲料や食品に含まれています。テオブロミンは、これらの食品に独特の苦味や風味を与えています。

また、テオブロミンは、カフェインよりも弱い中枢神経系に刺激作用を持っています。したがって、エナジードリンクやコーヒーのよりもマイルドな刺激を求る場合に、テオブロミンを含む飲料や食品が選択されることがあります。

2. 医薬品・サプリメント

テオブロミンは、血管を広げる作用があるため、高血圧の治療に利用されることも多いです。また、気管支拡張作用があるため、喘息の症状緩和に有用です。

そのほか、健康増進を目的としたカカオ豆由来のサプリメントとして販売される例もあります。基礎研究において、テオブロミンは認知学習行動を促進する効果や脳内の脳由来神経栄養因子を増加させる効果が報告されているためです。

テオブロミンの性質

テオブロミンは無色の結晶性固体で、特徴的な苦味を持っています。水にはほとんど溶けませんが、エタノールやエーテルには溶ける性質があります。加熱すると分解し、アンモニアなどのガスを放出することがあるため注意が必要です。

テオブロミンはカフェインと同様に、アデノシン受容体に結合し、中枢神経系へ弱い刺激作用を示すことが報告されています。また、血管拡張作用や気管支拡張作用も持っており、これらの作用により高血圧治療や喘息症状の緩和に役立つことがあります。

その特異な構造と生理活性から、カフェインや他のキサンチン誘導体とは異なる効果や作用が期待されています。

テオブロミンの構造

テオブロミンはキサンチン誘導体のアルカロイドであり、キサンチンとピリミジン環が融合した複素環式化合物です。分子式はC7H8N4O2で表されます。

キサンチンの3位と7位にメチル基が付加した構造を持っていることにより、カフェインやキサンチンといった他のキサンチン誘導体と異なる生理活性を示します。また、テオブロミンの分子内には、4つの窒素原子と2つの酸素原子が存在します。これらの原子は、アデノシン受容体との相互作用や生理活性に関与しています。

テオブロミンのその他情報

テオブロミン の製造方法

テオブロミンは、天然のカカオ豆から抽出されるほか、化学的な合成法も存在します。

1. 抽出法
カカオ豆を粉砕し、脂肪分であるカカオバターを除去します。これにより得られるカカオ固形分を、アルカリ性溶液で溶解させることで、テオブロミンを含む溶液が得られます。 この溶液から、有機溶媒や超臨界二酸化炭素抽出法を用いてテオブロミンを抽出・精製します。

2. 合成法
テオブロミンの合成には、ウリジンやアデノシンといったヌクレオシドを出発物質とする方法や、キサンチンやグアニンといったピリミジン環を持つ化合物を用いる方法があります。

これらの方法はいずれも複数の工程を経るため、製造コストの点から、抽出法が一般的に利用されています。

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