潤滑剤

潤滑剤とは

潤滑剤

潤滑剤 (英: lubricant) とは、複数の部品を摺動させる場合に部品間の摩擦を減らして動きを滑らかにしたり、摩耗を防いだり、摩擦により発生する熱を逃がす物質です。

減摩材とも呼ばれ、表面に油膜を張ると錆を予防可能です。

潤滑剤には潤滑油と呼ばれる油などの液体、グリースなどの半固体、グラファイト (黒鉛) や二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) などの固体があり、用途に合わせて使い分けられます。

潤滑剤の使用用途

潤滑剤は部品が摺動するほとんどの場所で使用されています。

1. 液体潤滑剤

ミシンや自転車、電動工具、一般的な機械の摺動部に使用され、浸透性が高く、狭い隙間から部品間に入り込みます。機械加工切削油としても使用可能です。

2. 半固体潤滑剤

シャッター歯車などに使用されます。浸透性がないため、組立時にあらかじめ塗布します。

3. 固体潤滑剤

液体や半固体の潤滑剤は定期的に補充する必要がありますが、固体潤滑剤は塗布した場所で固形の油膜を形成し、高い耐久性を有します。そのため高温になる場所や定期的なメンテナンスが難しい場所などでよく使われます。

潤滑剤の原理

機械の接触面に対する潤滑は「流体潤滑」と「境界潤滑」に分類可能です。流体潤滑は理想的で良い状態で、境界潤滑は摩擦は減っているものの耐久性などの面で問題が発生する可能性があります。

1. 流体潤滑

接触面に十分に分厚い油膜が存在して部品同士が直接接触していないため、摩耗が少なく理想的な潤滑状態を作り出し、機械の軸が回転すると潤滑油が隙間に入り込んで摩擦を大幅に減らせます。この効果を「くさび効果」と呼びます。

2. 境界潤滑

分厚い油膜が存在せず、部品同士が部分的に直接接触している潤滑状態です。例えば接触面の表面が粗い (凹凸が大きい) 部品同士の接触で起こります。部品同士が直接接触して接触面を傷つける「かじり」や同種金属の場合には摩擦熱により溶着する「焼き付き」など、不都合な現象が起こる可能性があり注意が必要です。

潤滑剤の種類

潤滑剤は液体潤滑剤、半固体潤滑剤、固体潤滑剤の3種類に分類されます。

1. 液体潤滑剤

潤滑油とも呼ばれ、切削油、防錆/浸透潤滑剤、オイル系、シリコンオイル系などに分けられます。

切削油は金属の素材にプレス、切削、研削、圧延、引き抜きなどの加工を施す際に使用可能です。主に潤滑作用と冷却作用の2種類のタイプに分けられます。防錆/浸透潤滑剤には金属から水を除去する水置換性を有するオイルと浸透性を持つオイルやラノリンのような防錆剤が混合されています。錆びたボルトやナットを緩める場合に利用可能です。

オイル系はスピンドル油がベースになっており、小型モータや精紡機などの主軸の回転を滑らかにします。油膜に強度があり、一般的な潤滑油としても使用可能です。シリコンオイル系はジメチルシロキサンをスプレー状にしたタイプが一般的です。シリコン被膜を素材表面に作って素材の滑りを良くします。

2. 半固体潤滑剤

グリースやコンパウンドがあり、潤滑油を半固体状にする増ちょう剤を含む油膜を形成して摩耗や摩擦を抑えます。

グリースは増ちょう剤に潤滑油を保持させて揺変性を与え、揺変性物質は外からの力で流動します。流動に必要な力をちょう度 (英: consistency) と呼び、ちょう度が大きいとグリースは柔らかいです。高温でグリースは増ちょう剤の3次元網目構造の崩壊によって非流動性を保てなくなります。

コンパウンドもグリーストと同様に、防錆、緩衝、潤滑作用を促す半固体潤滑剤です。

3. 固体潤滑剤

ポリテトラフルオロエチレン、二硫化モリブデン、グラファイト、鉛、銀などが用いられます。含浸させるタイプ、膜を形成するタイプ、微粉末を用いるタイプなどがあり、いずれも表面の硬さが低くて融点が高く、焼きつきにくくて化学的安定性が高いです。

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