板金曲げ加工とは
板金曲げ加工とは、金型を用いて板金を曲げる加工のことです。
目的の形状に合わせた型に板金を置いて、別の金型を押し付けることにより、板金に曲げを形成させます。板金曲げ加工は曲げ加工の一種です。
デスクトップパソコンなどのOA機器や冷蔵庫などの家電製品などの板金を使用した製品は、ほとんどが板金に曲げ加工を施したもの、すなわち板金曲げ加工により成型させたものになります。また、自動車のフレームは板金曲げ加工で成型した代表例です。
板金曲げ加工では、プレスブレーキやプレス加工を使用します。プレスブレーキやプレス加工では、上型のパンチと、下型のダイの間に板金を差し込んでパンチを下降させながら数トン単位の外力を加えて板金を塑性変形させます。
板金曲げ加工の使用用途
板金曲げ加工は、生活に欠かせない製品の成型に使用します。例えば、デスクトップパソコンなどのOA機器や冷蔵庫や洗濯機などの家電製品、自動車のフレームなどが板金曲げ加工を施した製品です。
溶接やボルト、リベットなどの継ぎ目がなく平面ではない箇所は、ほとんどが板金曲げ加工により製作されています。エレベータは、はじめから塗装処理が施されているカラー鋼板が使用される特殊な例です。
単純な角形状であればベンダーの型で製作できますが、自動車など専用の形状を持ったものは金型も専用のものとなります。試作品を発注する場合は、形状に応じて、金型製作費用が発生するケースもあり、量産品の板金曲げ加工よりもコストがかかります。
板金曲げ加工の原理
板金曲げ加工は端的に述べると、板金を塑性変形させることが基本の原理です。元に戻らない金属の性質 (塑性) を利用して、塑性変形する材料に外力を加えて成型しています。
板金曲げ加工を行う場合、板金が押される部分 (板金の内側) と板金が引っ張られる部分 (板金の外側) が存在します。板金の内側では圧縮応力、板金の外側では引っ張り応力が生じるため、板金が薄いと割れが発生することがあります。
板金曲げ加工によって割れを発生させないためには、延性の高い材料に変えたりする工夫が必要です。
板金曲げ加工の種類
板金曲げ加工には主に8種類の加工方法が存在します。板金曲げ加工の原理は同じですが、製作する製品によって使用される用途が異なります。
それぞれの加工方法は、以下の通りです。
1. ボトミング
上型をV字の下型に押し込む曲げ加工の方法です。底突き曲げとも呼ばれます。一般的に曲げ加工というと、ボトミングを指します。
2. コイニング
ボトミングに比べ、高い圧力で押し、上型の先端を材料に食い込ませる方法です。精度はボトミングよりも良くなりますが、金型の消耗が激しくなります。
そのため、曲げ幅の長い板金に関してはコイニングによる加工は困難です。
3. R曲げ
角部が丸くなっており、必要な径の金型を使用する方法です。意匠面を気にする箇所に使われ、カーブを帯びたR形状にする加工方法です。
4. 送り曲げ
R曲げの加工をV字型の金型で行う方法です。角部に丸みをもたせます。加工機はプレス機械が使用されるのが一般的です。
5. ロール曲げ
ロールベンダーを使って加工する方法です。3つのロールが回転する間に板材を挿入して円筒形状を作ります。ロールの位置によって、円弧のサイズが決まります。
6. 段曲げ
Z曲げとも呼ばれ、板金を階段状に曲げる方法です。加工に使用される金具は、特別に段曲げ金具と呼ばれるものになります。
7. ヘミング曲げ
板金の端部を折り返す加工方法です。同じ板厚で端部のバリが作業者の手に触れないようにする他、強度を増やせるメリットがあります。
8. 自由曲げ
曲げ角度を任意のものに調整する加工方法です。板金がV字型の下型に面で接触せず、曲げ角度を自由に決めることが可能です。
曲げの精度は低くなるため、求める精度によっては高い技術力が必要となります。