カルシウム

カルシウムとは

カルシウムとは、原子番号20番のアルカリ土類金属元素です。

1800年代初頭、イギリスの化学者、ハンフリー・デービーの「電気分解法」により、初めて単離されました。自然界にカルシウムは化合物として存在します。

イオン化傾向が高いため、反応性が高いです。生体内に最も多く存在するミネラルで、体内には1~2%の重量で存在しています。その99%はリン酸と結合したリン酸カルシウム (ハイドロキシアパタイト、HAP) として骨や歯に、残り1%は血液中や細胞に存在します。

カルシウムの使用用途

カルシウムは、各種カルシウム塩として、さまざまな用途に用いられています。塩化カルシウムは道路の凍結防止剤に、炭酸カルシウムはチョーク、排煙脱硫、飼料等に利用されます。

酸化カルシウム (生石灰) は、乾燥剤や土壌改良剤として、さらに欧米等ではパン生地調整剤やイーストフード等として使用されている食品添加物です。また、水酸化カルシウム (消石灰) は、酸性土壌の中和剤やこんにゃくの凝固剤など、食品添加物として用いられています。

カルシウムの性質

カルシウムの融点は842°C、沸点は1,484°Cであり、室温付近での密度は1.550g/cm3、融点における液体密度は1.378g/cm3です。

酸化数はほぼ+2です。空気中に単体のカルシウムを放置すると、水、酸素、二酸化炭素などと反応します。そのため、不活性ガスを充填するか、鉱油中に保存します。

カルシウムの構造

カルシウムは第2族元素で、アルカリ土類金属の1種です。元素記号はCaで、原子量は40.08です。温度によって、3つの結晶構造があります。250°C以下では立方最密充填構造が、250〜450°Cでは六方最密充填構造が、450〜839°Cでは体心立方格子が最も安定な構造です。

カルシウムには、安定同位体が4種あります。40Ca、42Ca、43Ca、44Caです。割合は40Caが96.94%、44Caが2.086%、42Caが0.647%、43Caが0.135%です。それ以外にも、地球上には46Caと48Caという2種の長寿命の放射性同位体が存在します。

また、宇宙線由来の中性子を40Caが捕獲すると41Caが生じるため、天然に微量放射性同位体として存在しています。さらに、人工的にカルシウムの同位体を作ることも可能です。

カルシウムのその他情報

1. カルシウムの反応

空気中でカルシウムを加熱すると、炎を出して燃焼します。カルシウムに水を加えると水素が発生し、水酸化カルシウム水溶液 (石灰水) が生成します。水酸化カルシウム水溶液に二酸化炭素を加えると、炭酸カルシウムの白色沈殿を得ることが可能です。ただし、二酸化炭素を過剰に通すと沈殿は溶解します。

可逆的な反応なので、加熱によって再び炭酸カルシウムの沈殿に戻ります。1,170°C以上に炭酸カルシウムを熱すると、酸化カルシウムを生成可能です。酸化カルシウムを水と反応させると、水酸化カルシウムになります。

気相中でカルシウムとハロゲンの反応によって、ハロゲン化物を得ることも可能です。カルシウムをアルコールに溶かすと、カルシウムアルコキシドが生成されます。カルシウムが液体アンモニアに溶けると溶液は青色になり、アンモニアの蒸発によってヘキサアンミンカルシウムが得られます。

2. 天然におけるカルシウム

主にカルシウムは炭酸カルシウムとして、世界中の大理石や石灰岩などの塊状鉱床に含まれています。現在カルシウムは、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素を、炭酸カルシウムの形で封じ込めるため、注目を集めています。

その一方でカルシウムは、ヒトなどの生物に必要となる、代表的なミネラルです。例えば、真核細胞生物には必須元素で、植物にも肥料として必要です。ただし、カルシウムのサプリメントによって、認知症になる可能性が高まると報告されています。

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