タウリン

タウリンとは

タウリンとは、アミノエチルスルホン酸の別名で、アミノ酸の1種です。

化学式は、C2H7NO3Sで、CAS No. 107-35-7、分子量は125.15です。アミノエチルスルホン酸という名称で、構造の中に硫黄を含む含硫アミノ酸です。

自然界では、貝類やイカ・タコなどに多く含まれている物質で、人間の体でもすべての組織に含まれています。特に心臓や骨格、肝臓、脳、網膜などの組織には高濃度に存在し、体の0.1%を占めています。

タウリンの使用用途

タウリンの使用用途は幅広く、主に医薬品や食品添加物、保湿剤に使用されます。

1. 医薬品・医薬部外品

一般用医薬品に主成分としてタウリンが配合された場合、第三類医薬品に該当します。

タウリンは、目薬やドリンク剤をはじめとする医薬品や医薬品に配合されていることが、よく知られています。これは、肝臓の機能向上や筋肉の疲れをほぐすサポート機能を期待されているためです。

医療用医薬品としては、「タウリン酸98%」が販売されています。これは 肝・循環機能改善剤, MELAS脳卒中様発作抑制剤として販売されており、閉塞性黄疸を除く高ビリルビン血症における肝機能の改善とうっ血性心不全、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作 (MELAS) 症候群における脳卒中様発作の抑制が効能効果となっています。

医薬品での使用用途は他にもあり、安定化剤、緩衝剤、矯味剤、結合剤、等張化剤、賦形剤、防腐剤などとして、医薬品添加剤として使われます。

2. 食品添加物

また食品にも配合されます。イカやタコ・貝などの独特の風味の一部として、食味の改善を目的として、水産物の加工品に加えられることもあります。通常タウリンといえば化学合成された製品が販売されていますが、食品添加物のタウリンの中には「山羊胆汁」から抽出された製品もあります。

3. 保湿剤

化粧品にも、保湿や外部刺激から守るバリア成分としてヘアケア商品に配合されています。タウリンは、もともと表皮の有棘層上部から顆粒層に高濃度で存在する物質です。顆粒層を中心に浸透圧調節物質として表皮の水分調節に重要な働きを担っています。

4. その他の用途

その他、粉ミルクやペットフード、工業用の触媒、界面活性剤などにも、タウリンは多用途に使われています。

タウリンの原理

タウリンは、胆汁酸と結合しコレステロールを消費します、また心臓や肝臓の機能を高めたり、視力を回復したり、インスリンの分泌を促進したり、高血圧を予防したりと、さまざまな効果が報告されています。

タウリンは母乳の中にも多く含まれ、乳児の発達に関わっています。

タウリンのその他情報

1. タウリンの性状

タウリンは、無色から白色の結晶か結晶性粉末をしています。水にやや溶けやすく,エタノール (99.5) にほとんど
溶けません。タウリン1.0 gを新たに煮沸して冷却した水20mLに溶かした液のpHは4.1 ~ 5.6です。 (日本薬局方より) 

2. タウリンの法的分類

タウリンは第17改正から日本薬局方に収載されている物質です。その他にも医薬品添加物規格、食品添加物公定書などに収載されています。

薬生安発 0918 第1号令和元年9月18日 によると、一般用医薬品に主成分としてタウリンが配合された場合、第三類医薬品に該当します。

ひとくちにタウリンといっても、医薬品グレードから食品添加物グレードまで、さまざまなグレードのタウリンが製造されています。

3. タウリンの歴史

1827年、ドイツの研究者が牛の胆汁からタウリンを分離し、名称をギリシャ語の牛という言葉「タウロス」からタウリンと名付けました。

一方漢方の世界では、古来より牛黄という生薬が使われてきましたが、これは牛の胆のう中に生じた結石のことを指します。牛黄は、1〜3世紀頃に中国で作られた「名医別録」には「久しく服すれば身を軽くし、天年を増し、人をして忘れざらしめる。」と記載されていますが、牛黄にもタウリンが含まれていることが知られています。

日本では、第二次世界大戦後、大正製薬においてタウリンの薬理的な作用について研究が行われています。

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