リニアエンコーダとは
リニアエンコーダとは、移動する装置の直線方向の位置をセンサで読み取る装置です。
移動量に応じて移動距離を出力するインクリメンタル型のものと、絶対位置を出力するアブソリュート型のものがあります。アブソリュート型なら、装置がどのような状態で電源を切られても、電源再投入時に現在位置を知ることができます。
デジタル表記で確実に測定できるほか、パソコンなどと接続し、測定結果を簡単・確実記録に残すことが可能です。
リニアエンコーダの使用用途
リニアエンコーダは、モーターや油圧、空圧を利用して位置決めを行う必要のある産業機器の中でも、複数の高精度な位置決めが必要とされる装置に利用されます。
代表的な用途は、計測機械、コンパレータ、測長システム用精密機器、半導体製造用検査装置および計測器などです。
リニアエンコーダの原理
リニアエンコーダは、位置検出のための目盛が組み込まれた直線状のスケールと、その目盛を読み込むセンサの2つの部品から構成されます。
なお、位置検出方法には、光学式と磁気式があります。
1. 光学式のリニアエンコーダ
光学式のリニアエンコーダは、スケールの目盛位置にスリットもしくは反射板があり、スリットに光が透過したかどうか、反射板の場合は光が反射してきたかどうかで位置を判断します。
高精度かつ高分解能の用途に利用されますが、水・油・ほこりなどが発生する環境で使用するためにはカバーが必要です。カバーをしつつ、センサーが動く必要があるので、構造が複雑で大型化する傾向があります。
2. 磁気式のリニアエンコーダ
磁気式のリニアエンコーダは、スケールの目盛位置に磁力を持たせ、磁力の変化を感知して位置を判断します。磁気を感知する構造のため、水・油・ほこりに強く、構造が簡単で小型なものが多いのが特徴です。
アブソリュート型のものは特定パターンのスリット、反射板、磁力をスケール側に用意し、パターンの組み合わせで絶対位置を把握します。しかし、距離がなくなるとそのパターンが不足してしまうため、補助的に位置を把握する機構と併用して対応する場合もあります。
インクリメンタル型のものは、一定の移動距離を移動するたびにパルス信号を発生します。連続で動作したときに位置ずれが発生することもあるため、定期的に原点復帰動作が必要です。
リニアエンコーダのその他情報
1. 位置検出の高精度化
半導体の急速な進歩に伴い、ムーアの法則に応じて高集積化が進み、半導体産業が発展しています。この半導体産業の進歩がさまざまな電子機器へ波及しており、各種製品の電子制御化や高精度化が進んでいる状況です。
高集積化、高密度化が進むにつれ、半導体をつくる製造装置や機械部品の精度を上げる必要があり、位置検出の高精度化が重要になります。半導体製造装置や工作機械などで精密に位置を制御するためには、物体を移動させるためのアクチュエータとそのアクチュエータの精密な位置を検出する手段が必要です。
そのため、直線的な精密位置検出を行えるリニアエンコーダが採用されます。可動部と固定部にそれぞれスケールと検出器を設置し、距離を精密に検出します。
2. リニアエンコーダの分解能と取り付け
リニアエンコーダは、高精度に位置の測定をできるため、工作機械や半導体製造の精密機器に多く用いられています。ミクロンオーダーやミクロン以下の分解能を持つものも一般的です。
リニアエンコーダの精度を保つためには、設計する際の取り付け方法や精度が重要です。リニアエンコーダの性能を発揮するための取り付け精度については、各製品やメーカーの取り扱い説明書を確認します。
リニアエンコーダの精度はミクロンオーダーなので、センサとスケールの距離、ヨー、ロール、ピッチそれぞれに対し1mm以下の取り付け精度が求められます。また、必要に応じて、取り付け用の精密治具の設計・製作や、取り付ける際に人の手による調整などを行います。
参考文献
http://www.encoder-world.com/encoders.html
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/2486/
http://kikaikumitate.com/post-11935/
https://core.ac.uk/download/pdf/145776997.pdf