ナッターとは
ナッター (英: nutter) とは、タップでネジ穴を加工できないような薄い金属板などにナットを取り付けるための工具です。
ネジ穴のない金属板同士を歪ませることなく、ネジやボルトで固定できます。ネジを緩めれば金属板同士を離すこともでき、後日外す予定のあるものや、定期的に外すものの場合にはナッターを使って固定します。ナットを取り付けたい方向からのみ作業できるため、裏側に手を回す必要がありません。筒状や袋状でもナットの取り付けが可能です。
ナッターの使用用途
一般的なナッターはM4〜M6のナットの締結に使用されます。市販のものはアルミナットに対してしか使えませんが、素材に合った専用のものであれば様々な使用用途があります。
1. ハンドナッター
M4〜M6のアルミ製のナットを締結できる一般的な工具です。高価な電動工具と比較すると安価で、気軽に購入できます。
2. リベットナッター
リベッターの機能を持つナッターで、ヘッドが回ります。取り付けが困難な場所でも作業しやすく、グリップを変更できるため便利です。
3. 両手式ハンドナッター
両手で長いハンドル部を持ち、通常のタイプでは不可能なM4〜M10などのナットを締結する際に使います。ハンドル部分を折り畳むとコンパクトに収納できます。
4. アタッチメントナッター
市販の充電式ドリルドライバーを取り付けて使用します。板厚調整が不要で、締結が容易です。
5. 電気ナッター
スイッチトリガーを引いてワンアクションで簡単に多数のナットを締結でき、使用者の身体への負担が少ないです。
6. エアーナッター
エアーコンプレッサーに接続して使用するエアーツールです。高価ですが、トリガーを引くだけで簡単にかしめられます。スチール家具作成や自動車板金など、使用量の多い場所で幅広く使われます。
ナッターの原理
ナッターの名称はナット (英: nut) とター (英: ter) から構成され、ナットを取り付ける道具を意味します。ハンドナッターを使って加工対象物にナットを取り付ける際は、まず加工対象物にドリルで下穴を開けておきます。開けた下穴に合うマンドレル (英: mandrel) をナッターに装着し、ハンドルを開いてナットをマンドレルに回し入れながら差し込みます。ナットは奥側までしっかりねじ込むことが大切です。ナッターに取り付けたナットを下穴に入れた後、ゆっくりとハンドルを閉じるとナットをかしめます。固定できたことを確認したら、ナッターのツマミ部分を回すことでマンドレルが回転し、かしめたナットからナッターを引き抜きます。
ナッターの選び方
使用可能なナット径と材質を必ず確認してからナッターを選ぶ必要があります。主に手動式と電動式の2種類があり、作業環境や目的に適しているものを選びます。特徴は以下の通りです。
1. 手動式
手動式は片手でかしめる片手ハンドナッターと両手でかしめる両手ハンドナッターに分類できます。
片手ハンドナッターは、M3〜M6程度のサイズのナットを締結する場合に適しています。コンパクトで持ち運びやすいものが多く、値段も手ごろです。両手ハンドナッターにはより大きな力が加わります。M6以上のナットでも締結でき、手が滑りにくくナットをまっすぐ確実に固定できます。
2. 電動式
電動式はスイッチを入れるだけでナットを簡単にかしめます。かしめ作業を数多くこなす場合や、作業効率を重視する際に最適です。さらにドリルがなくてもネジ穴を開けられます。
ナッターのその他情報
リベッターとの違い
リベッター (英: riveter) とナッターの形はほぼ同じです。リベッターはブラインドリベット (英: blind rivet) を使い、板同士を固定する目的で使用します。リベットは板同士の固定に使われ、ナットは薄材にネジ穴を作るために使用されます。リベッターで固定すると簡単に外せず、作業効率化のためには使い分けることが重要です。