監修: サンエイ株式会社
スクラップコンベア
スクラップコンベアとは、サーボプレスや油圧プレスなどのプレス加工機から生じる加工屑などを搬送するコンベアです。
特にスクラップ搬送に特化していますが、以前はプレス加工機の下から排出されるスクラップを簡易的な箱などで受け、満杯になると人の手によって回収箱に運ぶという作業を行なっていました。
近年では省力化のため、一般的なベルトコンベアやヒンジコンベアと呼ばれるコンベアを使用するケースが多くなりましたが、プレス加工機から排出されるスクラップは、薄い板状のものや細かいものが多く、ベルトコンベアではベルト面に張り付いてしまったり、ベルト自体を傷つけてしまったりすることから適切な搬送が困難でした。
元々ヒンジコンベアは、切削加工機などから発生する切り屑 (カール状やチップ状) を運ぶ目的のコンベアであり、スクラップ搬送に流用することでヒンジベルトの隙間にスクラップが噛み込むなど、チョコ停が頻発するといった事態に陥りました。このような問題を解決するため、設計・開発されたのがスクラップコンベアです。
スクラップコンベアの使用用途
図1. スクラップコンベアの導入前後の比較
手作業によるスクラップ回収を省力化・簡略化するため、プレス加工機の下に直接スクラップコンベアを設置して、自動で回収箱に搬送するようにレイアウトします。
工場内にピットを掘るなどして大型のスクラップコンベアを設置し、各プレスからスクラップを集約して、ひとつのスクラップボックスに集めるようなレイアウトも非常によく行われます。メリットやデメリットは、以下の通りです。
メリット
構造が簡単なため、メンテナンスが容易で、噛み込みが構造上発生しません。傾斜だけでなく、水平方向へカーブしたコンベアも製作が可能です。
デメリット
掻き板で運んでいくという構造のため、搬送物に傷が付いたり、コンベア内に搬送物が残留したりする恐れがあります。歩留まりを気にするような製品や傷つく恐れのあるようなものは適さないため、スクラップに特化したコンベアと言えます。
スクラップコンベアの原理
一般的なイメージのコンベアとは違い、掻き板 (スクレーパブレード) でコンベア筐体内を掻いていくような搬送方法です。スクラップを中心に集めやすいように、コンベア内は、船底型をしています。
また、スクレーパブレードはチェーンのアタッチメントに一定のピッチで取付られており、消耗した際は容易に交換ができます。
スクラップコンベアのその他情報
1. スクラップコンベアの市場
スクラップコンベアの市場動向は、2021年の2月18日にSDKI.Inkが分析レポートを発刊しています。同調査によると、世界のコンベアーシステムは2020年の約88億ドルから2025年までに106億ドルに到達すると予測しています。年平均成長率でみると、約3.9%の成長率で上昇する予測をしています。
世界における地域別調査では、2025年にヨーロッパが最も成長し最大になると予測しており、ヨーロッパのエンドユーザーにはCarrefourやAldi、Edeka、Metroなどあります。
コンベアーベルトの市場としては、株式会社グローバルインフォメーションが調査しており、2020年には61億米ドルの市場規模に到達したと発表しています。この市場では、今後5年間は緩やかに成長を示すであろうと予測されています。
2. スクラップコンベアの使用動画例
本記事はスクラップコンベアを製造・販売するサンエイ株式会社様に監修を頂きました。
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