油水分離装置

油水分離装置とは

油水分離装置

油水分離装置とは、油と水が混ざり合った液体から油を分離する装置です。

工場排水に混入した油分の除去や、使い捨てに出来ない高額な液体の再利用のために用いられます。油水分離装置は大きく分けて、「エマルジョン分離」と「油水分離」の2種類です。エマルジョンは乳化油を意味し、油と水が完全に混ざり合っている状態を指します。

油の状態や除去する対象・除去後の要求純度などにより、複数の分離タイプが存在し、各種産業で環境負荷・コスト低減の為に重要な役割を果たします。

油水分離装置の使用用途

冷却水や冷媒・洗浄液と油分が混合する恐れのある工程では非常に多く採用されています。具体的な使用用途は以下の通りです。

  • 真空オイルポンプの異物 / 水分除去
  • めっき / 表面処理の洗浄貯留槽の浮上油
  • 土壌地下水
  • 洗浄液
  • 切削加工 / 研磨加工などで用いるクーラント
  • 圧縮空気のドレイン廃水
  • ダイカスト廃水
  • 圧延クーラント廃水
  • 印刷工場のインキや顔料の廃水
  • 鍛造工程での冷却水
  • 発電所の冷却水
  • 洗車排水
  • 食品工場の排水
  • 塗装ブースの排水

水分や油分を除去することで、洗浄液や潤滑油のロングライフ化・廃水の清浄化による産業排水処理費の低減・環境負荷の低減などに寄与します。

油水分離装置の原理

油水分離の方法は多数あり、特によく用いられる手法は下記の通りです。

1. 透過分離法

多孔性濾過糸の集合体や濾過膜に含油水に圧力をかけて通すことで油や固形物を除去し、正常な水分だけを取り出します。

2. 比重分離法

油が混入した液体と油との比重差を利用して、タンク等で貯留・浮上した油を除去する方法です。比重差が少ないと分離が困難である他、時間を要するデメリットがあります。

3. 化学的分離

油水分離剤などで混入した油を脱脂・除去する手法です。電解イオン水など水溶性の油水分離剤もあり、低環境負荷が特徴です。エマルジョン状態の油分も分離できます。洗浄機への油分の持込が多い場合、油水分離装置の前に浮上油を除去することも重要です。洗浄液タンクにベルト式のオイルスキマーを設置して、浮上油を回収します。

4. 遠心分離式

油分が混入した液体を高速回転させ、遠心力によって比重差により分離する手法です。 エマルジョン化した油分も除去できる特徴があります。水溶性切削油やクーラント・水系洗剤に混ざる浮上油とスラッジを同時に除去します。

 

この他にも、超音波分離・電気的分離・空気噴出分離・生物分離・真空吸引分離など多数の手法が存在しますが、除去後の純度・処理時間など要求性能によって適宜使い分ける必要があります。

油水分離装置の特徴

透過法の油水分離装置は、水中でエマルジョン形成している油分を薬品添加などを行わずに確実に処理できます。スラッジが出ないのも特徴です。廃液量を1/10~1/20まで濃縮減量できます。分離濃縮することで大幅な産廃費の削減に繋がります。また、透過液は回収して再利用することができるため、環境に優しく経済的です。

タンク内で比重差により浮上した油を除去する方法は最も簡便で、多くの装置に使われています。遠心式は、エマルジョン化した油分や固形分も分離できます。

油水分離装置のその他情報

油水分離装置の法規制

廃油の処理や漏油事故などいくつかの法的規制があるので、注意が必要です。

1. 廃棄物処理法
自動車や家電製品などを廃棄する場合、適切な廃油処理を行うことをリサイクル業者に義務付けています。廃棄物を不法投棄したり不法焼却したりした場合には、罰則があります。

2. 水質汚濁防止法
事業場の排出水に関して、正しい対応を行っているか責任が問われる法律です。誤って漏油させるなど、適切な廃油処理を行わなかった場合、罰則が適用されます。

3. 消防法
事業場などの廃油処理に対し、漏油事故の場合、被害の拡大を抑制する対策を義務付けています。正しい対応をしないと罰則がかけられます。

4. 河川法
事業場が誤って河川に廃油を流出させた場合、漏油を回収するための対応や費用負担が課せられます。リサイクル業で廃油を取り扱う場合は、河川に廃油が流出しないように、廃油の取り扱いについての明確なマニュアルを整備することが大切です。

5. 労働安全衛生法
灯油などを労働者が使用する場合、健康に障害を引き起こす可能性のある際は、事業者は事前に労働者に情報を通知する義務があります。対応が不適切の場合、罰則が適用されます。

6. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
廃油などの産業廃棄物を適切に管理・処分する方法について定めています。正しい処理方法で廃油を処分しないと罰則がかけられます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です