PCB

PCBとは

PCBとは、パソコンや家電製品などのあらゆる電子機器に搭載される板状の電子部品です。

PCBはPrinted Circuit Board (プリント回路板) の略称です。PCB上で回路部品同士の通信や電力のやり取りが行われます。

PCBと類似する言葉にPWB (英: Printed Wired Board) という言葉があります。プリント基板であるPWBにICチップやコンデンサなどの電子部品が搭載されることで、実際に動作するPCBとなります。

PCBの使用用途

PCBの適用分野は非常に幅広く、パソコンや家電製品などの一般的な電子機器から製造業での大型装置、AI開発やデータセンター用のサーバー、自動車や鉄道の制御装置などに使用されています。

PCBは1950年頃に実用化され、装置や機器の開発・製造件数が飛躍的に伸びました。近年では、IoT機器やAIを開発するためのサーバーなどの性能向上に伴い、PCBも部品の微細化・高密度搭載化・高性能化が進みました。この技術を応用して、一般的な家電製品でも高性能なPCBが組み込まれるようになりました。今となってはPCBは電子機器産業には無くてはならない存在です。

PCBの原理

電子部品をPWB上にはんだで固定して、それら部品同士で通信や電力の授受を行います。それにより回路的な性能や機能を実現させます。電子機器の信頼性、性能などがPCBによって決まると言っても過言ではありません。

PCBの種類

PCBは、PWBと同様にリジッド基板とフレキシブル基板の2種類に大別されます。形状や大きさも様々で、人の両手で持つような大きさから、指の上に乗せられる大きさまであります。

リジッド基板は折り曲げられない硬い基板であり、フレキシブル基板は折り曲げ可能な柔らかい基板です。機器の設計制約や用途に応じて使い分けられたり、併用されたりします。

リジッド基板の形状は一般的に長方形が多く、厚さは1~1.6mmです。表面の色の大多数は緑色です。片面配線・片面部品搭載のシンプルな基板から、10層以上の多層配線・両面部品搭載の複雑な基板まで多様な種類が存在します。部品点数が多いものでは、数千個から数万個の部品が搭載される場合があります。

フレキシブル基板は柔軟であるという特性を活かし、様々な形状で作られます。厚さは一般的に数十μmです。柔軟性を出すという制約から、層数や部品搭載数はリジッド基板よりも少なくなります。

PCBの選び方

PCBは、回路に求められる性能(電気的な特性、機構的な特性、耐久力・信頼性など)とコストを考慮して選択する必要があります。

1. リジッド基板

リジッド基板はフレキシブル基板よりも硬く、厚いです。そのためフレキシブル基板よりも搭載部品を増やすことができ、大電流を流すことができます。また、限られた面積の中で複雑な配線パターンを形成できることもリジッド基板の利点です。

世の中のPCBの主流はリジッド基板です。そのためリジッド基板の方がフレキシブル基板よりも安価です。また、部品搭載時の対応コストもフレキシブル基板よりも低いです。これらのことから、多様な機能を実現し、消費電力の大きな電子機器を安定動作させる場合には、リジッド基板を選択することが多いです。

2. フレキシブル基板

フレキシブル基板は、その柔軟な特性から機器の摺動部分や開閉部分、PCB同士の接続などに採用されます。例として、昔の携帯電話の開閉ヒンジ部分にはフレキシブル基板が通っています。

流せる電流量や部品搭載量に制限があり、部品実装に専用の治具を準備するなどのコストがかかるものの、複雑な構造を持つ機器を実現させるためにフレキシブル基板を採用することがあります。

PCBの構造

PCBは、プリント基板に記載されるPWBと同じ構造をしています。どの構造を採用するかは、機器のサイズや構造、求められる性能やコストに応じて決める必要があります。

例えばスマートフォンやタブレットなどの小型な高性能民生機器には、高度で複雑な回路、省スペース、コスト削減への要求が強いです。そのため、微細部品を高密度に搭載できるリジッド多層基板や狭いスペースに組み込むことができるフレキシブル基板を併用しています。車載用であれば民生機器よりも搭載スペースやコストにやや余裕があるため、性能・信頼性・耐久性を優先した基板構造を選択します。

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