交流アーク溶接機とは
アーク溶接機には、溶接電源に直流式と交流式の2つが存在しており、交流アーク溶接機は溶接電源が交流式のアーク溶接機を表します。
直流式と比較して価格が安価でメンテナンスも簡単なため、家庭用のコンセントで使うDIY用途には交流式が一般的です。
また、交流アーク溶接機は無負荷時(アークを発生させていないときの待機状態)の電圧が高いため、端子電圧を25V以下に抑制する「電撃防止装置」を付けることが義務付けられています。
交流アーク溶接機の使用用途
工場の製造現場はもちろん、家庭用電源は交流ですので家庭用のDIYとしても広く用いられています。
自動車の製造ラインでは、ワイヤーが自動供給される半自動溶接が多く使用されており、ロボットに取り付けてボディの溶接が自動化されています。
また、電極にタングステンを用いた「TIG溶接」においては、交流と直流を切り替えることができる機種もあり、アルミからステンレス、鋼材などの様々な母材の溶接が可能です。
交流アーク溶接機の特徴
アーク溶接機には、様々な種類の溶接が存在しており、特徴やメリット、デメリットもそれぞれ異なります。
- 被覆アーク溶接
細長い棒状の溶接棒を使って母材との間にアークを発生させて溶かしながら接合していく溶接方法です。
溶接棒は溶接中、徐々に減っていきますので、常に母材との間隔を最適に保ちながら溶接する方向へ進行していく必要があり、作業者によって仕上がりにムラがあるのが欠点です。 - MAG溶接
炭酸ガスとアルゴンガスの混合ガスをシールドガスとし、電極ワイヤーを自動で供給しながら溶接していく方式です。
被覆アークのように溶接棒が短くならないため、溶接方向へ進行する動作だけで済む「半自動溶接」の一つで、楽に溶接できますが、アルゴンガスが高価なのがデメリットです。 - TIG溶接
電極にタングステンを使用し、アルゴンガスでシールドして溶接する方式です。
交流の場合はアルミの溶接が可能となっており、主に薄板の非鉄金属を接合するのに使用します。