金属3Dプリンターとは
金属3Dプリンターとは、PCなどで作られた3Dデータを基に溶かした金属を用いて部品をプリンターのように造形していく金属加工方法です。
金属3Dプリンターの技術は、切削加工などと比べてまだ普及が進んでいませんが、5軸マシニングセンタを用いた精密加工よりも更に複雑な形状の加工、切削工具が届かないような形状でも制作することができ、徐々に費用対効果が高まっていることから、近年導入する企業が増えています。
金属3Dプリンターの使用用途
高性能が求められる自動車部品や航空、宇宙といった産業部品、更には医療の分野において金属3Dプリンターが用いられます。
例えば航空機のジェットエンジンに使われる燃料噴射ノズルや、タービンブレード、ロケットエンジンの部品といった複雑な形状の部品から、自動車産業においては軽量化や電動化のために3Dプリンターを使った部品制作が進められています。
また、医療では人工関節のインプラント造形において使用されています。
金属3Dプリンターの特徴
金属3Dプリンターには、主に3つの方式があり、それぞれ特徴が違います。
パウダーヘッド方式
10μm〜60μm程度の小さな球状の粉末を敷き詰め、敷き詰めた粉末に電子ビームやレーザーを照射し、必要な部分のみを溶かして固めていき、形を造形していく方式です。
現在の金属3Dプリンターでは最も主流となっている方式で、寸法精度が高いのが特徴ですが、制作に時間がかかるのが難点です。
指向性エネルギー堆積法
金属を溶かすための熱源にレーザーを使用し、ノズルから金属粉末を噴射したものを中心のレーザーで照射し、金属を溶かしながら噴射することで造形していく方式です。
3軸(XYZ)の長さを変更することで大型の部品にも対応でき、摩耗した金型の部分的な肉盛り補修(レーザークラッディング)も可能な柔軟性の高さが特徴です。
FDM方式
熱によって柔らかくなる「熱可塑性樹脂」と金属粉末を調合したものを押し出し、何層にも重ねて造形していく方式です。
比較的安価ですが、脱脂作業が必要なのと、焼結時に収縮するため仕上げ加工が別途必要です。