ポリエステル樹脂とは
ポリエステル樹脂とは、エステル基を主鎖に含む高分子の総称です。
多塩基酸と多価アルコールを脱水縮合させることで得られる樹脂で、原料モノマーが異なる様々なポリエステル樹脂が販売されています。代表例としては飲料容器などに用いられているポリエチレンテレフタレート (PET) が挙げられます。
また、主鎖中に不飽和結合を有する不飽和ポリエステルも活用されており、例えばガラス繊維や炭素繊維と不飽和ポリエステルなどの樹脂を混ぜた繊維強化プラスチック (FRP) は建材、航空機やロケットの部品としても使われています。
その他、最近では環境への負荷を減らすため、生分解性を有するポリエステル樹脂も開発されており、代表的なものとしてポリ乳酸が挙げられます。ポリ乳酸は紫外線や水によって主鎖が分解しやすく、廃棄物が環境中で分解するため環境負荷が少ない材料として期待されています。
ポリエステル樹脂の使用用途
ポリエステル樹脂とはエステル基を主鎖に含む高分子の総称です。代表例としてはポリエチレンテレフタレート (PET) が挙げられます。PETは耐熱性や耐寒性に優れており、飲料容器などに用いられています。ポリエステル樹脂は繊維としても用いられており、PETのほかにポリブチレンテレフタレート (PBT) 、ポリトリメチレンテレフタレート (PTT) などもポリエステル繊維として用いられます。
他にも、不飽和結合を分子内に有する不飽和ポリエステル樹脂もあります。こちらはガラス繊維や炭素繊維と混合することで、軽くて強度が高い繊維強化プラスチック (FRP) として用いられます。FRPは航空機などの輸送機の部品や建材、スポーツ用品、ロケットなどの宇宙関係の部品など幅広い業界で使われる材料です。
ポリエステル樹脂のその他情報
1. ポリエステル樹脂の製造法
ポリエステル樹脂はカルボン酸COOHとアルコールOHが脱水縮合してエステル結合を形成する重合反応によって得られます。製法としてはジメチルテレフタレートを原料としたエステル交換法とテレフタル酸を原料とする直接重合法がありますが、現在は直接重合法が一般的に用いられています。
また、重合で用いられる触媒として従来はアンチモン触媒が用いられていましたが、重金属を用いない新たな触媒への転換が進んでおり、現在はチタン触媒、ゲルマニウム触媒などが用いられています。このような新たな触媒は今もなお各社で開発が進められています。
図1. ポリエステル樹脂の製造法
不飽和ポリエステル樹脂は多塩基酸と多価アルコールの脱水縮合による重合反応で得られるベースポリマーに重合性ビニルモノマーを混合し、ラジカル触媒重合させることで得られます。モノマーとしてはビスフェノールなどが用いられており、モノマーの化学構造によって樹脂の性質も大きく変わります。
2. ポリエステル樹脂の安定性とリサイクル
ポリエステル樹脂は他の樹脂と比べて安定性が高い材料です。例えばポリエチレンテレフタレート (PET) は耐熱性、耐薬品性に優れています。一方でPETはエステル結合を有しているため、アルカリ水溶液で加水分解反応を起こします。また、高温高湿下ならば中性の水とも加水分解反応を起こすため、PETのリサイクルへの応用が検討されています。
その他、生分解性機能を付与したポリエステル樹脂も盛んに開発されており、代表的な樹脂としてポリ乳酸が挙げられます。ポリ乳酸は紫外線、水によって主鎖の加水分解が促進され、分子量の急激な低下が起こります。そのため使用後の分解、再成形が可能であったり、廃棄物も環境に残存せずに自然に分解させることができます。