監修:株式会社ヴィンクス
ジョブ管理とは
ジョブ管理とは、サーバなどの「ジョブ」の実行開始から終了までを制御し、監視することです。
ジョブとは、コンピューター内のプログラムやバッチ (予約済のプログラム) を業務上のある目的を達成するためにまとめたものを指します。1つの業務システムで数百から数万あると言われています。
ジョブ管理では、膨大な数のジョブの実行開始のスケジューリングを行います。また、ジョブの実行状態の監視と記録により、障害発生時の特定や予防保全を行うことが可能です。
さらに、膨大なジョブを見える化し、プログラムをスケジューリングする際の抜け漏れもなくなります。
ジョブ管理の使用用途
ジョブ管理は、業務システム内に存在する多数のジョブのスケジューリングを効率的にかつミスをなくすために使用されます。ジョブ管理を使用するメリットは大きく分けて3つあり、1つ目はプログラムを管理する人の工数を減らせることです。2つ目は特殊なスキルを持っていなくてもジョブを管理できること、3つ目に人為的ミスを防げることが挙げられます。
例えば、給与計算を行う場合には月末で全社従業員の勤怠を取りまとめて、支給額の計算と控除額の計算後に振込支給額を計算します。そして、最終的に計算した振込支給額を各従業員の口座へ送金します。これら一連のジョブ実行を決められたタイミングで毎月間違い無く実行させるためには、ジョブ管理システムが必要です。また、基幹システムなど大きなシステムは複数のサーバから構成されることが多くあります。
サーバ間にまたがったジョブのスケジューリングを行うには、各サーバを統合的に制御できるジョブ管理システムが必要不可欠となります。
ジョブ管理の原理
ジョブ管理は、ジョブ毎にあらかじめ定義された実行スケジュールに応じてジョブを起動・監視するプログラムにより実現しています。一般的なジョブ管理システムは、ジョブの定義情報や実行スケジュールを管理しているマネージャとマネージャからの指示を受けてジョブの起動や実行状況を報告するエージェントの組合せでジョブ管理を行っています。
マネージャとエージェントの組合せで単なる時間による起動だけではなく、先行ジョブが完了後に起動させたり、異常終了となった場合に自動的に再実行したりする制御を行うことが可能です。
ジョブ管理の選び方
ジョブ管理システムには、OSに標準で提供されているものから大規模な勘定系システムに使われるものまで多様なモデルがリリースされています。そのため、選定する際は以下のポイントに注意が必要です。
1. 機能は過不足無く提供されているか
機能としてチェックする観点として、可能なスケジューリング方法、監視と異常時の通知、ジョブ登録の操作方法があります。
単純に日次や週次、月次の決まった日時で起動すれば良いだけでしたらOS標準機能で問題ありませんが、先行ジョブやジョブの実行結果により条件分岐させるなど複雑なスケジューリングが必要な場合は、別途提供されているジョブ管理システムを選定します。
2. 費用は適切か
初回の購入時に発生するライセンス費用と継続的に発生する保守費用の両方を確認して、予算内に収まるかを判断します。
また、クラウド上(AWSやAzure等)での運用は、オンプレでの運用時と比べ、運用コストが跳ね上がってしまうケースがあります。こういった点の考慮も必要です。
3. 自社で運用可能か
自社内に対応できるエンジニアを用意できるのか、もしくは適切なコストで委託できるのかを見極めます。
機能やパッケージに関わる費用が適していても、あまり知られていないジョブ管理システムの場合は、運用コストがかかる恐れがあります。
ジョブ管理のその他情報
1. ジョブ管理の機能
ジョブ管理の主要な機能には以下のものがあります。
スケジューリング
前提となる運用日や休業日などのカレンダー情報を登録します。ジョブが起動される日時と定期的に実行する場合の処理サイクルの設定や、実行される条件としての先行ジョブなどを定義可能です。
システムによってはスケジュール設定された論理矛盾をチェックするものもあります。
監視と通知
ジョブの動作状況を監視して正常もしくは異常通知を行います。システムによっては異常終了した場合に自動で再実行する機能を提供されています。
ジョブ登録
ジョブの実行順序や先行条件としての設定などをビジュアルで操作できるインターフェースを持ったシステムもあります。
2. ジョブ管理のクラウド化
ジョブ管理システムをクラウド (AWSやAzure等) へ導入し、スケジュールを移行するケースが増えてきています。以下に注意してください。
クラウドへの移行と費用
一番重要なのは、オンプレ上で稼働しているスケジュールを、クラウド上で稼働するジョブ管理ツールへ問題なく移行することです。
その際に、オンプレで使用中のジョブ管理ツールのクラウド版をなら、移行はスムーズに行えますが、費用面でオンプレ版より非常にコストが高くなる場合が多いです。
この点を考慮して、以下を検討することが大切です。
- オンプレ版でもクラウド版でも、導入・運用コストが変わらないジョブ管理ツール。
- 既存のスケジュールの移行が、クラウド上のジョブ管理ツールに比較的容易に行えるジョブ管理ツール。
- 画面表示・操作感も、運用の観点から合格点を得られるジョブ管理ツール。
上記を満たすツールはかなり絞られますが、ニーズによって条件も変化します。
クラウド制御の機能に惑わされないこと
クラウド対応版と言われるジョブ管理ツールの高機能・多機能には、目が移りがちです。クラウド基盤を操作可能な機能も実装されているでしょう。
しかし、ここでも費用の問題が出てきます。オンプレ環境でのジョブ管理ツールでも、クラウド基盤を操作するジョブを作成するなど工夫すれば、実現可能なことも多いです。
このようなことも踏まえ、機能面を検討することが大切です。
参考文献
https://it-trend.jp/job_management/article/meaning
https://www.itreview.jp/products/hinemos/profile#tutorial
本記事はジョブ管理を提供する株式会社ヴィンクス様に監修を頂きました。
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