ベークライトとは
ベークライトとは、最も生産されている熱硬化性樹脂で、人工的に作られた最初の合成樹脂です。
別名として、フェノール樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂などがあります。ベークライトは、1872年ドイツのバイエルがフェノールとホルムアルデヒドとの反応で発見したのが始まりです。
その後、1907年にベークランドにより工業化され、世界中に広まりました。
ベークライトの使用用途
ベークライトは熱、酸、油などへの耐性が高く、様々な用途に使用されています。具体的な使用用途は、以下の通りです。
1. 成形材料
成形材料は電気機器部品が最も多く、日用雑貨、自動車部品、通信機器部品が主です。
2. 積層品
積層品は、家電や電子機器に使用されているプリント回路用が用途の大部分を占めます。
3. シェルモールド
シェルモールドとは金属鋳造工法の一つで、自動車部品の鋳造で主に活用されています。この工法で用いる鋳型の原料がレジンサンドと呼ばれる珪砂とベークライトの混合物です。
4. 木材加工接着剤
木材加工接着剤は合板、ハードボード、パーティクルボードの製造に使用される場合が多いです。その他、砥石、研磨具、ブレーキライニング、絶縁ワニス、塗料などにも使用されています。
ベークライトを使用した塗料は、耐薬品性やさび止め効果を持つ塗料となるため、厳しい環境での使用に耐えることが可能です。また、3Dプリンターの砂型の結合剤として使用する場合、強固な砂型とすることでより精密な寸法でプリントすることができます。
ベークライトの特徴
プラスチックは、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分けられ、ベークライトは後者に該当します。熱硬化性樹脂は液状の原料が加熱により反応硬化して形作るものです。
一度成形したものは再加熱しても液状には戻らず、耐熱性の高い成形物を作ることができます。ベークライト2000年代後半以降、熱硬化性樹脂の中で国内生産数量が常に第1位となっています。
ベークライトのメリットは、電気絶縁性、耐熱性、難燃性、接着性、耐薬品性、耐酸性、断熱性などです。特に高い耐熱性は最大の特徴なので、この性能を応用した製品が数多く製造されています。
一方で、デメリットとして、アルカリに弱いことと、耐衝撃性が低いことが挙げられます。そのため、耐衝撃性については強化剤を添加し、改善する場合もあります。
ベークライトのその他情報
ベークライトの製造方法
ベークライトは、フェノールとホルムアルデヒドを重合することで製造します。使う触媒によってノボラック、レゾールという2種類のベークライト前駆体が合成されます。
これらの前駆体から、架橋剤を追加して反応をさらに進行させることで、ベークライトができます。
1. ノボラック
酸触媒として塩酸、しゅう酸などを用いて、フェノール、ホルムアルデヒドの混合物を沸点以上で1.5~3時間反応させます。これにより、付加反応及び縮合反応が繰り返され、フェノールがCH2基でジョイントされた直鎖状のポリマーができます。
反応後、生成した水や未反応フェノールを除去、反応槽から取出し冷却固化後、粉砕することでノボラックが得られます。これに硬化剤のヘキサメチレンテトラミンを反応させることで、ノボラックの分子間が架橋され、熱硬化性の不溶不融のベークライトになります。
2. レゾール
アルカリ触媒を使用し、ホルムアルデヒドがフェノールよりも過剰にいる状態で、80~100℃で1.5~3時間反応させます。これによりモノメチロールフェノール、ジメチロールフェノール、トリメチロールフェノールの混合物が生成し、これらが縮合したレゾールができます。
加熱加圧によりさらに反応を進めるとジメチロールフェノール、トリメチロールフェノール部分で架橋し、熱硬化性の不溶不融のベークライトになります。レゾールはアルカリ触媒とフェノール、ホルムアルデヒドのレゾールの反応は一般的にはベークライト成形製品加工の工程で行われます。
参考文献
https://shibayama.issp.u-tokyo.ac.jp/one_point/files/bakelite.html
https://i-maker.jp/blog/bakelite-8670.html#i-11