監修:株式会社キンダイ
スリッターとは
図1. スリッター
材料を搬送しながら送り方向に切断することをスリッティング又はスリットと言い、スリッターとは材料を送り出し、送り方向に任意の幅で切断する機器を指します。
スリッターは、材料をスリットする機構のみの機器もありますが、材料を送り出す機構、材料をスリットする機構、そして一定幅にスリットされた材料を巻き取る機構までを含んだ装置を指す場合も多いです。
材料は刃物でスリットしますが、刃物の構成や材質、形状、位置関係など用途により使い分けています。
スリッターの使用用途
スリッターは、フィルム、両面テープ、粘着テープ、箔、金属、ゴム、不織布、紙、ガラス繊維、繊維、レザー、ターポリン、複合材料、発泡剤、ビニールやカーボンシートなど、薄物の材料を任意の一定幅に切り分ける用途で使用されます。これらロール状に材料を作られる材料は、原反 (げんたん) の幅が広く、その後の2次加工、3次加工で使用しやすい幅に切り分けるためにスリッティング (スリット) を行います。
例えば、家庭で使用されるアルミホイルであれば、原反は1200mm程度の幅でつくられます。これを商品として使用する為には、300mm幅や100mm幅に切る (スリットする) 必要が有ります。このような時にスリッターを使用して加工します。
スリッターの原理
スリッターは、基本的には上刃と下刃を組み合わせて材料を切断しますが、切り方にはいくつかの方法があります。また、ロールに巻かれた材料を紙管やプラスチックコアごとスリットするロールスリッターという特殊な方法があり、業界ではこのロールスリッターを「ブツ切り」「輪切り」「押し切り」「大根切り」など、様々な名称で呼ばれています。
1. シェアカット (またはシャーカット)
剪断 (英: shear) での切断です。丸形状の上刃と下刃をそれぞれすり合わせて切断します。厚手のフィルムや、用紙などに使われることが多いようです。
2. レザーカット (またはフェザーカット)
狭い溝形状のあるローラーの溝部分に先端が鋭利なレザー刃または丸刃を入れるか、又は空中で材料を切断します。レザー刃や丸刃は下刃やローラーには触れません。やわらかい材料を切断する場合に使用されることが多いです。
3. スコアカット
丸形状の上刃をローラー (金属又はゴム) に押し当て、その圧力により材料を切断する方法です。
4. ギャング刃によるカット
上刃と下刃の両方ともに角刃を用いて切断します。一般的には上刃と下刃はすり合わせず、微小なクリアランス (隙間) を設けて使用します。
5. ロールスリッター
図2. ロールスリッター
丸刃1枚でロールに巻かれた材料を紙管やプラスチックコアごとスリットするのが特徴です。丸刃の形状選定は、原反の材質、巻き硬さやスリット幅に応じて大きく変わり、片刃と両刃を使い分けて主に使用します。
片刃のメリット
片刃は両刃に比べて刃先が鋭利な点から、切れ味の良さやスリット面の綺麗さは両刃よりも圧倒的に優れています。品質の良さだけではなく、寸法精度も両刃より高精度に仕上がります。他にも、刃先の鋭利さを活かして細い幅のカット(スライスカット) も得意としています。
両刃のメリット
両面に刃がついており、刃先が片刃よりも鈍角になるため、材料に対する力が均等に加わり片刃よりも直進性に大変優れています。巻き硬さが硬い材料や重量物などをスリットするのに最適な形状です。それに加えて太い幅をスリットする際にも同様に直進性が必要になるため、両刃を使用すると綺麗にスリットでき、刃先角度が片刃よりも鈍角なので刃先が摩耗しにくい点もメリットの一つになります。
主な切断方法を紹介しましたが、切断する材料や刃物の当て方等でそれぞれ適した方法を採用します。切断対象の材料は、厚み、硬さ、単体なのか複層あるのか、等の検討が必要です。刃物側では、刃に駆動をかけるのか/従動にするのか、刃物の刃先角度、刃物を押し当てる力、刃物のトー角/キャンバー角など、いくつもの要因が有ります。求める切断端面の品質や刃物の寿命を考慮して、切断方法を決めますが、これらはノウハウとなっており非常に奥深いものです。
スリッターのその他情報
1. スリッターとロールスリッターの違い
図3. スリッターとロールスリッターの比較
両製品ともに「材料を指定幅にカッティングする」という観点においては共通ですが、特に近年「スリッターとロールスリッターの名前が似ているのでわからない」「どっちが良いスリット加工ができるの」「どうやってスリットしているの」など、さまざまな疑問点をよく耳にします。
2.スリッターの特長
- 指定した巻き長さに巻き取りながら、スリット加工をしたい
- 生産性に優れたスリット加工をしたい
- 高精度かつ高品質を追求したい
上記ようなニーズをお持ちの方は、スリッターが最適な機械になります。
スリッター機械は、複数枚の刃物を使用してロールtoロールで材料を巻き出してスリットを行い、指定された巻きメーター数で材料を巻き取る機械です。連続した1枚のシートをスリットすることが可能なため、安定した精度で加工を実現することができます。
また、スリッターには前述したスリット方式があり、材質、切断幅、加工条件を基に「シャーカット方式」「レザーカット方式」「スコアカット方式」「ギャング刃によるカット」を使い分けてスリットを行なうことができるので、不織布、紙、フィルム、シート、塩ビや各種シートなど、さまざまな材料をスリット加工することができます。
具体例は下記の通りです。
- 500mのロール長さを100mに小割りにしながら指定幅にスリットが可能
➝小割りにすることで、次工程の作業効率を向上 - 連続した1枚のシートを複数枚の刃物で、同時に指定幅にスリット加工が可能
➝生産性及び切断面が非常に良好
3. ロールスリッターの特長
- 新人の方や女性の方にも、操作・メンテナンスがしやすいスリッターがほしい
- 材料が必要なときに必要な分だけスリット加工をしたい
- できるだけ低価格でスリッターを導入したい
上記ようなニーズをお持ちの方は、ロールスリッターが最適な機械になります。
ロールスリッターは、丸刃1枚でロールに巻かれた材料を紙管やプラスチックコアごと、そのまま「ブツ切り」でスリットします。
新人の方や女性の方にも操作しやすい機械にしてほしい、材料が必要なときに必要な分だけスリットしたいなどのニーズがありますが、「この人しかこの機械は扱えない」という従来の属人的な機械では、多様性が増している現代のニーズには応えることができません。その点を加味したロールスリッターは、タッチパネル入力で簡単に各種設定をすることができ、新人の方や女性の方にも安心して使用することが可能です。
具体例は下記の通りです。
- カット幅、カット個数及び各種設定後に、自動ボタンを押すだけで自動カッティング
➝新人の方や女性の方にも安心してタッチパネル操作が可能です。 - 必要な分だけ直ぐにスリット加工ができるので、待ち時間なく効率的に作業できます。
➝在庫削減や納期短縮に大きく貢献します。
ロールスリッターの動画
参考文献
https://www.ns-slitter.co.jp/about
http://www.nihon-slitter.co.jp/about/
https://sanai-3377.co.jp/process/slit.php
https://www.kobelco.co.jp/advanced-materials/technical/copper/1174602_17318.html
本記事はスリッターを製造・販売する株式会社キンダイ様に監修を頂きました。
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