マイクロデバイスとは
マイクロデバイスとは、チップ上に微小流路や反応セルを作成し、溶液の混合や反応、抽出、相分離といった化学反応を起こすものです。
流路の幅はマイクロメートル程度であることから、そこを流れる試薬の量も少なく抑えることができ、また反応時間も短縮化できます。後述するMEMS技術を応用したもので、デバイスの大量生産が可能となり、使用したチップの使い捨て利用が可能です。低コストの実験が可能となり、化学や生化学といった学術分野の発展に寄与しています。
マイクロデバイスの使用用途
マイクロデバイスは微量のサンプル試薬を用いて、様々な化学・生化学実験を行うために使用されています。
チップ状のマイクロ構造を利用して、細胞や微生物を一つ一つハンドリングし、観察、培養などができるようになりました。その結果、細胞組織がもつ様々な生化学的特性が明らかにされています。
また、二種の溶液 (水や油など) を混合し、形成される液滴の特性などを調べる研究に利用されており、生物学などへの応用が期待されています。
マイクロデバイスの原理
マイクロデバイスはMEMSと呼ばれる微細加工技術を応用して、チップ上に微量流路や反応セルを作成したものです。
MEMSとはMicro-Electro-Mechanical Systemの略で、半導体集積技術などに応用されています。エッチングや紫外線照射、成膜といった技術を応用して様々な構造物を作成します。さらに化学反応や熱処理も組み合わせて行うことで加工の精度を高めます。これらの技術により、マイクロメートルからサブマイクロメートルという微細な構造物を基板上に作成することができます。
電子機器の場合、シリコン基板などにセンサやアクチュエータ、回路などが集積化されます。その結果、車で用いる加速度センサやディスプレイ用のミラーデバイスなどの開発が進みました。マイクロデバイスもまたこれらの高度な集積技術を利用して登場したものです。
流路の作成は任意に行うことができ、使用用途に応じて高速度での並列処理や複数プロセスの連続処理なども行うことができ、様々な学術研究に応用可能なデバイスとして注目されています。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/50/1/50_1_038/_pdf
http://www.hybrid.iis.u-tokyo.ac.jp/research/microfluidics
https://optipedia.info/laser/process_handbook/pro_handbook_9th_section/9th_2/