ダブルバランスドミキサとは
ダブルバランスドミキサとは、 パッシブミキサ回路の一種です。
ミキサ回路とは、一般的に2つの異なる周波数の信号の乗算値を出力する回路で、その出力信号成分として2つの信号の和と差の周波数が出力されます。ダブルバランスドミキサは、英語の頭文字からDBMとも呼ばれたり、二重平衡変調器ともいいます。ダブルバランスドミキサはミキサ回路のため2入力1出力の構成をもち、2つのトランスと4つのダイオードから構成されます。
ダブルバランスドミキサの使用用途
ダブルバランスドミキサは、ミキサ回路として無線通信の変調回路によく用いられます。近年スマートフォンを含め無線通信が盛んになってきており、ミキサ回路による変調は無線通信において重要な役割を果たしています。
ダイオードとトランスのみで構成され比較的簡潔な仕組みで動作が可能です。また入出力の向きを変えることで、変調・復調回路の受信側と送信側どちらとしても利用することができます。
ダブルバランスドミキサの原理
ダブルバランスドミキサは、ミキサ回路であり一般的に乗算器として用いられます。2入力1出力の構成で、出力には、2つの入力信号の周波数の和と差の成分が出力されます。
入力される2つの信号の周波数をそれぞれf1, f2とした場合、出力される信号の周波数はf1+f2とf1-f2 (f1>f2の場合) となります。ダブルバランスドミキサを変調回路として用いる場合は、f1を搬送波、f2を低周波の信号とした場合f1にf2が重畳した振幅変調信号を出力することができます。
出力に2つの和と差の周波数が出力されるしくみは、以下のとおりです。2つの周波数f1,f2を用いてα=2πf1,β=2πf2としたとき、2つの単一周波数の乗算を行うと次の式の通りになります。
sinα×sinβ=1/2{cos(α-β)-cos(α+β)}
ここで、α-β=2π(f1-f2)、α+β=2π(f1+f2)となり、和と差の周波数成分に分かれることが分かります。そのためミキサ回路により二つの交流信号を入力し乗算を行うと、入力した周波数の和と差の信号を出力することになります。
参考文献
https://www.cqpub.co.jp/toragi/TRBN/contents/2004/tr0412/0412sp7.pdf