有機高分子

有機高分子とは

有機高分子

有機高分子とは、炭素を主骨格とし、その他の元素として、酸素、水素、窒素などから構成される分子量が1万以上の有機物の総称です。

炭素を含まない高分子を無機高分子と呼びます。有機高分子は、単に高分子やポリマー (英: Polymer) と呼ばれ、合成高分子と生体高分子の2つに大別されます。

有機高分子は1917年にはじめて、その概念が提唱され、約10年の論争を経て、その概念が正しいと判断されました。その後、イギリスやドイツ、アメリカで有機高分子の研究から工業化が活発になり、世界大戦が勃発した影響もあって、さまざまな有機高分子を素材とした製品が生まれました。

有機高分子の使用用途

私たちの身の回りには、有機高分子を素材とした製品や物質が数多くあります。それらは合成高分子と生体高分子に分けられます。

1. 合成高分子

素材としてはプラスチック樹脂、繊維、ゴムなどがあり、これらは主に石油を原料としているため合成高分子と呼ばれます。合成高分子の用途はプラスチック製品一般、衣料品、タイヤ、塗料などです。

合成高分子は重合と呼ばれる反応により人工的に合成されます。合成された有機高分子から作られた製品は、強度、耐熱性、透明性が高い、柔らかいなどの特性を発現します。メリットの多い合成高分子ですが、劣化が金属よりも早いのが欠点です。このようなデメリットは、合成高分子に金属やセラミックス混ぜることで解消する方法もあります。

2. 生体高分子

体内に存在するDNAやRNA、タンパク質などは生体高分子と呼ばれ、私たちが生きていくための機能や構造を日々作り出しています。その他にも植物などから抽出されるものは、天然高分子と呼ばれ生体高分子の1種になります。

生体高分子は人の体内や自然界で、人の手が加えられることなく生成されます。このため合成高分子のように、有機物の結合を様式を自由に組み換えることは生体高分子では基本的に不可能です。

ただし、生体高分子そのものに添加剤や合成高分子を混合し新たな機能を発現し、体内に組み込める医療用素材とする研究開発が行われています。

有機高分子の原理

高分子とは具体的には、小さな分子 (モノマー) が、新たな共有結合を形成して繋がってできた大きな分子のことを指します。分かりやすく表現すると、例えばビーズ1つ1つがモノマーとし、それをつなげて作ったネックレス全体が高分子になります。モノマー同士が結合して、有機高分子ができる反応が重合とです。

モノマーの種類は、モノマーを構成する元素の種類や数の組合せからも非常に多岐に渡り、それを原料に作られる有機高分子もまた非常に多くの種類のものがあります。

モノマーを構成する元素としては、炭素の他に水素、酸素、窒素などがあり、モノマーの分子構造によって、重合する際の反応の種類が変わってきます。具体的な重合形式は、以下の通りです。

1. 連鎖重合

開始剤により発生した活性種が次々にモノマーと反応して分子鎖が伸長していく反応です。さらに活性種の違いにより、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合に分類されます。

2. 逐次重合

2つ以上の官能基をもつモノマーが、異分子間で官能基同士が反応して結合を形成し分子鎖が伸長していく反応です。反応の種類の違いにより、重縮合、重付加、付加縮合に分類されます。

有機高分子の種類

有機高分子には様々な種類のものがあります。また同じモノマーを使った有機高分子でも、その繰り返し数 (分子量) が異なると物性や性能は変わってきます。

以下に重合形式毎に、代表的な有機高分子を例示します。汎用的な高分子には通常、略称があり、それを括弧内に記載します。

1. 連鎖重合

ポリエチレン (PE) 、ポリプロピレン (PP) 、ポリスチレン (PS)、ポリビニルアルコール (PVA)、ポリ塩化ビニル (PVC) 、ポリメタクリル酸メチル (PMMA)

2. 逐次重合

ポリエチレンテレフタレート (PET) 、ポリアミド (PA) 、ポリイミド (PI) 、ポリウレタン (PU) 、ポリカーボネート (PC) 、ベークライト

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi1952/31/12/31_12_1059/_pdf
https://spsj.or.jp/

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