防振ゴム

防振ゴムとは

防振ゴム

防振ゴムとは、ゴムの伸縮性や弾力を利用して、振動の伝達を抑えるゴム製品です。振動が発生する機器やユニットに防振ゴムを組み込むことで、振動の伝達すや波及を緩和する特性を持ちます。クッションゴムやインシュレーターと呼ばれることもあります。

防振ゴムの使用目的

防振ゴムは、大きく二つの目的で用いられています。

一つ目は機器の稼働に伴う振動または衝撃が外部に伝わるのを防ぐ場合です。

二つ目は、精密機器などのように、外部の振動が装置の特性に影響する場合です。

防振ゴムの目的

図1. 防振ゴムの目的

図1aに示すように、機器と基台の間に防振ゴムを配し、機器から発生する振動および衝撃を防振ゴムにより吸収して基台への伝達を低減します。

逆に図1bに示すように、基台が振動する場合には、基台の振動を防振ゴムにより吸収して装置への伝達を低減します。防振ゴムの特性を利用して防音材として利用されることもあります。

防振ゴムの種類と使用例

防振ゴムには様々な形状があり、板状のもの、円柱状のもの、また、図2に示すように、ボルトなどと一体的に成形されているものなどがあります。

防振ゴムの構造

図2. 防振ゴムの構造

例えば、発電機やエアコンの室外機、コンプレッサ等の下に防振ゴムを配置することにより、これら機器が発する振動を緩和し、設置台や設置場所への振動の伝達が抑えられます。

また、図2に示すようなボルトと一体的に成形されているものは、汎用性が高く、機器にボルト受け部があれば簡単に取り付け可能です。

ボルトのほか、フランジと一体的に成形されたもの、円筒状の内部が空洞となっているものなどもあります。モーターの取り付け面に取り付け可能な形状のものや、回転軸方向の制振用途で使用されるものも有ります。

また、光学系のユニットのような外部からの振動に影響を受ける精密機器においては、設置面上に防振ゴムを介して保持することにより、外部からの振動の影響を受けないようにしています。

防振ゴムを選択する基準

1.固有振動数

防振するためには、構造体の固有振動数との関係が重要です。

固有振動数とは機器本体の駆動もしくは外部からの振動により構造体が振動する時に最も振動する振動数です。固有振動数は周波数の単位Hz(ヘルツ)で表され、構造体は固有振動数から大きく外れた振動数で駆動する若しくは外部から揺すられても、あまり反応せず大きく振動する事は有りません。従って、構造体を防振ゴムで保持する際は、その防振ゴムの固有振動数を対象となる振動(構造体の駆動若しくは設置個所の振動)から大きく離しておくことにより、振動の伝達を効果的に緩和できます。

これは緩衝材として用いる場合も防音材として用いる場合も同じです。

2.ばね定数防振ゴムの特性を決める要因

防振ゴムは、先に述べた様に、ゴムの伸縮性や弾力を利用して、振動の伝達を抑えるため、その特性は、伸縮性や弾力を表すばね定数により決まります。

防振ゴムにおいては、形状や寸法を適宜選択することで、上/下、左/右、前/後の各方向におけるばね定数を任意の値に設定できます。先に述べた固有振動数を変動させるのは、このばね定数です。

3.材質

防振ゴムに一般的に使用される、一般加硫ゴムであるNR(天然ゴム)、SBR(スチレンゴム)は、振動による発熱が小さく、高い耐久性を有します。

しかし、使用する環境の温度条件(高温環境・低温環境)によっては、対候性の高いCR(クロロブレンゴム)製の防振ゴムの使用をおすすめします。

また、耐油性が必要な場合においては、NBR(ニトリルゴムウレタンゴム製の防振ゴムが好適です。

参考文献
https://www.nok.co.jp/pdf/product/vibe/vibe/vibe_No519_2018.pdf
https://kotobank.jp/word/%E9%98%B2%E6%8C%AF%E3%82%B4%E3%83%A0-132191
https://www.techno-kitagawa.com/techinfo/tech/vib/vib2.html

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