評価ボード

評価ボードとは

評価ボードとは、ICや特定の機能を持つ回路、入出力端子を搭載した電子基板のことです。

リファレンスボードとも呼ばれます。半導体メーカーによるCPU評価ボードや、マイコンメーカーによるマイコン開発ボード (ターゲットボード) などが存在します。

評価ボードの使用用途

評価ボードは搭載されているICの性能確認や回路の互換性確認、ハードウェア、ソフトウェア開発などの目的に利用されます。 用途に応じたICや電子部品が搭載されている評価ボードを選ぶ必要があります。

評価ボードの使用例は、以下のとおりです。

  • 機器メーカー (評価)
    搭載ICや回路の性能評価、互換性確認を行うため。
  • 機器メーカー (開発)
    評価ボードを利用して新規製品やソフトウェアを短時間、低コストで開発するため。
  • 教育機関、学生、一般向け
    電子工学、電気回路、プログラミングなどの教育学習のため。

各半導体メーカーから多種多様な評価ボードが発売されていますが、代表的な評価対象は以下のとおりです。

  • 車載システム
  • ビデオカメラ
  • 工業用ロボット
  • 地上/衛星通信
  • 移動体通信端末
  • 航空宇宙関係

身近な家電製品に近いものからロボットや衛星に関するものまで、幅広い製品での評価に使われています。

評価ボードの原理

動作原理としては、電源が供給されるとマイコンのメモリに書き込まれているプログラム内容に沿ってマイコンが動作します。 プログラムは任意に書き換えが可能で、PCで作成したプログラムのソースコードを「ライタ」と呼ばれるソフトウェアを使ってマイコンのメモリ領域に書き込みます。

デバッグ作業を支援するためのハードウェアがエミュレータです。エミュレータは、評価ボードに接続して使用します。

評価ボードの構成

評価ボードは、大抵の場合1枚のプリント基板にICチップや通信機器、センサー、入出力端子などを備えています。 評価ボードには搭載されている部品によって様々な種類がありますが、マイコンメーカーが販売するマイコン評価ボードが一般に広く普及しています。

マイコン評価ボードとは、搭載されているマイコンの機能や回路特性を評価、実験するための評価ボードです。

1. マイコン

プログラムを書き込み、他の回路と組み合わせて任意の動作をさせるためのLSIです。様々な処理を行うCPUと、プログラム書き込みのためのフラッシュメモリやSRAMなどで構成されます。

2. 電源IC

AC100Vの電源電圧からマイコンが動作するための電圧を作り出すICです。

3. クロック

マイコンを動作させる特定周波数をもつ発振器です。マイコンに内蔵されていることもあります。

4. 通信機器

プログラミングで外部PCとの通信を行うためのUSB端子やLANが挙げられます。

5. 入出力端子

通信/電源用のUSB端子や、外部インターフェースにデータを送信するための入出力(I/O)ピンが挙げられます。

 

デバッグ機能として、マイコンの状態を目視で確認するためのLEDやリセットボタン、動作の切り替えスイッチ、外部情報を計測するセンサー、収集したデータを表示させるための7セグメント表示器などがあります。

評価ボードのその他情報

1. ICE (In Circuit Emurator) 

CPUの機能を担うことができ、開発中の基板にCPUの代わりに装着することでプログラムの動作検証が可能になります。ターゲットボード上にマイコンが無いため、ICE自体にエミュレーションチップやメモリを持っており、周辺回路の動作はターゲットボードが担います。リアルタイムトレース等高度なデバッグ機能が使用可能です。

一般的には、マイコン評価ボードを動作させるためのサンプルプログラムが添付されていることが多いです。

2. 評価ボードの使い方

評価ボードは評価用のPCと接続して使用することが多いです。インターフェースはUSB、RS232Cなど、PCが装備している端子を実装しているものが一般的です。

ボードの電源は一般の家庭用100Vコンセントに差し込めるACアダプターが付属しているものや、電圧の変化による評価も視野に入れて、ACアダプターではなく安定化電源などの電源ユニットに接続するケーブルの場合もあります。

評価用のPCでの環境は評価ボードのメーカーから提供されている、その評価ボードに特化したソフトウェアパッケージを使用することが多いです。しかし、納入を受けたメーカー等で独自に評価用ソフトウェアを準備することもあります。

また、オシロスコープやロジスティックアナライザーなどの測定機器を使用して波形計測することが多いので、評価ボードによってはあらかじめそれらの機器を接続するための端子を用意していることもあります。

3. 評価ボードの価格

半導体メーカーや目的により価格に大きな差がありますが、RFIDなどワイヤレス技術の開発にのみ特化した小型なボードで4,000円未満のものもあります。基本的には10万円前後までで購入できるものが多くなっており、学習の目的での導入コストを考えても無理のない範囲で準備が可能です。

なお、メーカーが自社製品の開発のためにフルカスタムでオーダーする場合は、半導体メーカーの見積もり次第となります。

参考文献
http://rohmfs.rohm.com/jp/products/databook/applinote/ic/audio_video/bu94603kv_evm-j.pdf https://www.tij.co.jp/jp/lit/pdf/jaja310
https://japan.xilinx.com/products/boards-and-kits/see-all-evaluation-boards.html
https://www.mouser.jp/new/xilinx/xilinx-zynq-ultrascale-zcu102-eval-kit/
https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/pickup/130649/
https://eetimes.jp/ee/articles/2101/25/news030.html

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