安全機器とは
安全機器とは、自動化された装置の安全対策に寄与する機器の総称です。
可動範囲が大きかったり、大きな力や回転部を持つ工作機械や製造装置が稼働していたりするときに、人が近づくと巻き込まれなどの事故につながる可能性があります。そのため、装置の周りを安全柵で囲うなどの対策が必要です。
しかし、柵で覆うだけでは省略行為などで作業者が柵を開けて稼働中の装置に近づく危険性もあります。そのようなリスクを無くすために、多くの工作機械や製造装置は安全柵が開いている場合は装置が停止するような安全装置を組み込んでいます。安全装置に使用される個々の機器が安全機器です。
安全機器の使用用途
安全機器は、製造装置など安全対策を怠ると事故が発生するリスクが高い装置に組み込まれている場合が多いです。例えば、大量生産ラインでは大型ロボットなど、多くの機械が高速動作を行っています。これらの機械は制御プログラムによってコントロールされていますが、人の検知はできないため、機械に近づいた作業者に接触して怪我をさせるなどのリスクが潜んでいます。
このようなリスクを下げるために、機械の周りの安全柵にドアスイッチを設置したり、ライトカーテンのようなセンサー検知型の安全機器を取り付けたりする場合がほとんどです。製造装置や工作機械に使用される安全装置は、「インターロック」とも呼ばれます。インターロック機構は、装置のドアやカバーを開けると装置が停止するように構成されています。
安全機器の原理
安全機器として代表的なドアスイッチの仕組みは、以下の通りです。
ドアスイッチは開閉するドアの両側にスイッチが設置されており、ドアが開いている状態では電気回路が遮断されていますが、ドアが閉まると接点が閉じるように設計されています。ドアスイッチは2種類あり、両端の端子が機械的に接続されることで接点が閉じる機械的なドアスイッチと、リードスイッチの接点開閉に専用のアクチュエータに内蔵された磁石の磁力が使用される非接触式のドアスイッチです。
磁力を用いる場合はドア自体の接触が不要になるため、機械的な接触に比べて様々な用途に対応しやすいという利点があります。ドアスイッチのような回路を遮断するタイプの安全機器に対して、カバーや蓋などアナログに装置と人を遮断する安全機器もあります。つまり、装置の可動部に手や頭などが入らないように物理的にふさぐ手法です。
現場ではこのような安全機器を導入するだけではなく、非常停止ボタンも合わせて用意して緊急時は全ての動作を即座に停止できるようにすることも重要と言えます。なお、安全装置は装置のメインの制御装置とは独立していることが望ましいです。安全装置が装置のメインの制御システムの支配下にあると、メインの制御システムに不具合が生じた場合、装置を安全に停止させることができなくなります。
安全機器の種類
代表的な安全機器は以下の通りです。
1. 安全スイッチ
機械の動作を制御するためのスイッチです。作業者が緊急時に機械を停止できるようにします。一般的な例として、緊急停止スイッチやフットスイッチが挙げられます。
2. 安全センサー
安全センサーは、機械の周囲や作業領域で人や物体の接近を監視したり、ドアーやカバーの開閉を検知したりするセンサーです。光電センサーや近接センサーなどが一般的な安全センサーの例です。
3. 安全スピード制御装置
安全スピード制御装置は、機械の動作速度を制御するための装置です。作業状況に応じて機械の速度を制限することにより、危険な状況や事故のリスクを軽減します。
参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/product/special/safetynavi/feature/
https://tabetainjya.com/archives/koneta/_h/