冷蔵庫とは
冷蔵庫とは10℃以下の低温空間を作り出し、主に食品を保存する用途で使用される電化製品です。
-18℃以下の低温にして食品などを冷凍保存するものは冷凍庫として区別されます。冷蔵庫と冷凍庫は温度が違うだけで仕組みは全く同じです。
冷蔵庫の仕組み
冷蔵庫の原理はエアコンとほとんど同じで、「ヒートポンプ」という仕組みが利用されています。ヒートポンプとは、温度の低い場所と温度の高い場所の熱を交換する仕組みです。冷蔵庫の内部の熱を吸収して冷蔵庫の外部へ放熱することで庫内の冷気を保っています。
冷媒と呼ばれる物質が熱の交換の媒介に用いられ、物質の「気化するときに周囲の熱を奪う」「液化するときに放熱する」といった物理法則を利用しています。ヒートポンプの機能は主に「圧縮機」「凝縮器」「膨張弁」「蒸発器」の4つの機器によって構成されています。これら4つの機器はそれぞれ以下のような役割を持っています。
1. 圧縮機 (コンプレッサ)
圧縮機は気体冷媒を圧縮します。圧縮時には熱が発生するため、圧縮機は冷蔵庫の外に設置されています。多くの冷蔵庫では圧縮機は冷蔵庫の背面に取付けられており、背面のスペースが充分ではないと熱が逃げきらないので、冷却効率が下がり消費電力があがってしまいます。
2. 凝縮器 (コンデンサー)
凝縮器は、圧縮機によって圧縮された高温・高圧の気体冷媒を液化する役割を持っています。凝縮器も冷蔵庫の外に設置されます。
3. 膨張弁 (エキスパンションバルブ)
膨張弁は、コンデンサーによってが液化された液体冷媒の圧力を低下させて、沸点を下げる役割を担っています。膨張弁は冷蔵庫内に設置されます。
4. 蒸発器 (エバポレーター)
蒸発器は、膨張弁から送られてくる沸点の低下した液体冷媒を気化させます。液体は気化する際に、周囲の熱を奪うので庫内の冷気を保つことができます。その後気化した冷媒は圧縮機に送り込まれ、圧縮機によって熱を外部に放出し、このサイクルを繰り返すことで冷蔵庫は庫内を冷やし続けることができます。
冷蔵庫の種類
冷蔵庫は一般的に冷却方式によって分類され、「直冷式」「ファン式」「ペルチェ式」の大きく3種類があります。
1. 直冷式
冷蔵庫内に蒸発器が設置されており、自然対流によって庫内を冷却する方式です。冷却効率がよく電気代が安いというメリットがあります。各室ごとの温度設定ができないことや、霜取りをする必要があるというデメリットがあります。
2. ファン式
冷蔵庫外に蒸発器を設置し、ファンによって冷気を送る方式です。各室ごとの温度設定が可能であり、霜取りも不要というメリットがあります。ファンを設置するので本体サイズが大きくなることや動作音が大きいというデメリットがあります。
3. ペルチェ方式
電流を流すことで熱の吸収と放出を行う「ペルチェ素子」を利用した冷却方式です。5~15℃の冷却が可能です。起動音や振動音がなく静音であり、小型かつ霜取りが不要というメリットがあります。直冷式やファン式と比較して、5℃以下の低温を保つことはできないというデメリットがあります。