四角ボルトとは
四角ボルト (英: Square Head Bolts, Square Head Screws)とは、ボルト頭部の形状が四角形 (正方形、長方形) になっているボルトです。
六角ボルトの頭部が六角形であるのに対して、四角ボルトは四角形になっています。四角頭ボルトとも呼ばれることがあります。
ボルト頭部形状が四角形のものとして、菱形形状の「菱形ボルト (英: Diamond Head Bolts)」や、長方形形状の「T型ヘッドボルト (T-Head Bolts)」なども挙げられますが、四角ボルトでない分類として記載しています。
四角ボルトと、菱形ボルト、T型ヘッドボルトの形状の違いは、図1を参照してください。
図1. 四角ボルト・菱形ボルト・T型ボルトの形状
四角ボルトの規格として、下記が挙げられます。
- JIS B1182 四角ボルト Square Head Bolts
- ASME B 18.2.1 Square Head Bolts
四角ボルトの使用用途
四角ボルトは、主に建設補強金物に使われています。ボルト頭部の形状が四角形のため、高トルクをかけて締め付けても、ボルト頭の角が摩耗して丸まりにくく、損傷する可能性が低いでしっかりと締め付けができます。
建設補強金物とは、梁 (はり) と柱などの木材同士を固定する際に、角に取り付けたわみや歪みなどを防止し建築構造物を補強する金物です。その建設補強金物を木材に固定するときに使用されるのが四角ボルトです。
六角ボルトに比べて、工具とネジの接触面積が大きいため、ソケットやレンチとボルト頭部との滑りが少ないのが特長です。ボルト頭部の角が摩耗して丸まりにくく、損傷しにくいので、大きなトルクをかけるようなねじに使用されます。強く固定するものや、取り外しをしないようなものに使用され、工具を滑らせず回すことができます。
四角ボルトの原理
図2. 四角ボルトの形状
四角ボルトは一般の六角ボルトと同じで、ねじ (この場合の「ねじ」は、スクリュー状の形状だけを示します) により被締結物を締結します。四角ボルトも六角ボルトと同様に、ボルト頭部にレンチやソケットなどの工具をはめ込み、締め込みます。
四角ボルトのねじは、メートル並目ねじとインチねじがあります。なお、四角ボルトの長さ表示は、六角ボルトなど一般のボルトの長さと同様に、ボルト頭部の高さを除きねじ部を含む軸部の長さで表されています。
四角ボルトの種類
JIS B1182 四角ボルトには、ボルト頭部大きさが2種類あります。標準サイズ以外に幅が大きいのは、大型四角ボルトと呼びます。
また、ボルトの仕上げ程度として、表面粗さに3種類が規定されています。
- 上: 座面 (ボルト頭下部の被締結部に接触する面) 、円筒部及び頭部上面の表面粗さはRz25、頭部側面はRz50
- 中: 座面の表面粗さはRz25、円筒部はRz50、頭部上面及び頭部側面は特に規定なし
- 並: 特に表面粗さは規定なし
四角ボルトのその他情報
1. 四角ボルトの主な材質と表面処理
四角ボルトの材質は、比較的強度区分の低い材質を使用しており、鋼製の場合 JIS B1051 4.6, 4.8を採用しています。使用箇所や用途に適した強度区分選定が必要です。
JIS B1182では材質は鋼製のみ規定されています。しかし、市販されている四角ボルトは、耐食性が求められる箇所に使用するために、SUS304などのステンレス鋼も販売されています。
ボルトの強度区分と材質は下記の通りです。
- 強度区分 6 普通鋼、炭素鋼、SS400、S20Cなど
- 強度区分 8 普通鋼、炭素鋼、SS400、SWRCHなど
表面処理に関してJIS B1182では、「ボルトには、一般的に表面処理を施さない。特にめっき又はその他の表面処理を必要とする場合には、受渡当事者間の協定による。なお、電気めっきを施す場合は、JIS B1044による。」と記述されています。
しかし、市販されている四角ボルトは、保管中の防錆のために、ユニクロメッキが施されているものも多くあります。
2. 締め付け工具
図3. 四角ボルト締め付け工具
一般的な締め付け工具の種類は、片口スパナ、T型レンチ、ソケット (四角穴) などがあります。また、ソケットには、四角穴 (4 Point) と八角穴 (8 Point) があり、八角穴は2重4角ソケットと呼ばれています。
参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/221000550870/?CategorySpec=00000239242%3a%3aa
http://www.tokyo-sekkei.com/