オイルレスブッシュ

オイルレスブッシュとはオイルレスブッシュ

オイルレスブッシュとは、産業用機械などの回転軸を支えるすべり軸受 (ブッシュ) の一種で、特に無給油でも使用できるものです。

軸受には大きく分けて、ボールベアリングなどの転がり軸受とブッシュなどのすべり軸受がありますが、通常はどちらも給油やグリス潤滑などが必要です。一方で、オイルレスブッシュはその材質に潤滑効果が含まれているため、無給油でも使用できます。

なお、一部ではオイルレスブッシュではなく、オイルレスベアリングと呼ばれる場合もあります。

オイルレスブッシュの使用用途

オイルレスブッシュは、さまざまな機械において、軸受部品として使用されています。特に給油状態で使用できない機械では、必要不可欠な部品です。例えば食品機械において、食品と直接接する箇所などが挙げられます。

その他の産業機械においても、給油の難しい箇所では欠かせません。自動車、鉄道車両、建設機械、印刷機械、住宅機器関連、発電所設備など、オイルレスブッシュの使用用途は多岐にわたっています。

オイルレスブッシュを使用する事でオイルの交換に要する費用や、オイルのリサイクル費用を低減できます。同様に給油に関する部品の設計が不要となるため、設計にかかる時間の削減、および機械自体をシンプルにするために使用されます。

オイルレスブッシュの原理

オイルレスブッシュが無給油で使用できるのは、その構成材料自体に潤滑効果があるからです。材料自体に潤滑効果を得るためには、2つの方法があります。材料に固体潤滑剤を配合するか、または摩擦係数の低いエンジニアリングプラスチックを用いる方法のいずれかです。

1. 固体潤滑剤を配合する方法

固体潤滑剤の配合は、例えば金属に潤滑性のある二硫化モリブデン、金属石ケン、軟質金属などを配合することにより、通常温金属よりも、はるかに摩擦係数の小さい金属を作る事ができます。このような潤滑性のある金属を配合した材料を加工することによって、オイルレスブッシュが製造されます。

2. エンジニアリングプラスチックを用いる方法

エンジニアリングプラスチックと呼ばれるプラスチックで、オイルレスブッシュを製造することも可能です。エンジニアリングプラスチックの中でも良く使用されるのは、摩擦係数が低く、強度とのバランスが取れ、食品の中に万が一混入しても人体に大きな問題が発生しない材料です。

特にテフロン (PTFE ) や、ポリアセタール樹脂のジュラコンやデルリン、非常に高価ですがポリエーテル・エーテル・ケトン (PEEK) という材料が用いられています。

オイルレスブッシュの種類

オイルレスブッシュの種類は、材質によって樹脂系、複層系、金属系の3つに分類することができます。

1. 樹脂系

樹脂系のオイルレスブッシュには、一般的にポリアセタールや四フッ化エチレン、ポリアミドなどの材料に充填剤や潤滑油を添加したものが使用されます。樹脂系は金属系に比べ強度は劣りますが、低摩擦係数、軽量、低コストなどのメリットがあり、アルミなどの柔らかい材料の支持にも使用されます。

2. 複層系

複層系のオイルレスブッシュには、バックメタル、焼結層、表面層を持ち、表面層には樹脂系材料や固体潤滑材料を使用したタイプがあります。薄肉で機械的強度に優れているので、コンパクトな設計が可能です。オイルレスブッシュなので無潤滑で使用できますが、潤滑油を併用することで、更に優れた特性を発揮します。

3. 金属系

金属系のオイルレスブッシュでは、銅合金やアルミ合金に固体潤滑材を埋め込んだものが一般的です。高負荷軸受け部などに使用され、高強度、長寿命な軸受け材料とされています。固体潤滑材は、グラファイトが多く使用されています。

他にも焼結金属内に固体潤滑材を分散させたタイプがあり、特に高温環境で多く使用されています。

オイルレスブッシュのその他情報

1. オイルレスブッシュの寿命

オイルレスブッシュの寿命とは、摺動によってブッシュが摩耗していき、軸とブッシュの隙間が設計隙間より大きくなり、摺動部にガタができるまでの時間を指します。オイルレスブッシュの寿命に明確な値はありませんが、理論式より摩耗量を求め、その摩耗量が設計隙間より大きくなるまでの時間を寿命とする方法があります。

推定摩耗量は、比摩耗量 (mm/ (N/mm^2・m/s・hr) )設計面圧 (N/mm^2)設計速度 (m/s)摩擦時間 (hr) を乗じたもので、摩耗量の目安として計算します。比摩耗量は実験データから得られますが一般的には無潤滑状態で、0.0006~0.003となっています。

オイルレスブッシュ設計時には摩擦時間を必要寿命とし、推定摩耗量に許容軸受け隙間、設計速度に使用速度を設定して設計面圧を計算します。設計面圧が求まったら、その面圧以下になるように、軸径やブッシュ長さを選択します。

参考文献
https://www.oiles.co.jp/bearing/oiles_bearing/about.html
https://www.oiles.co.jp/bearing/oiles_bearing/list/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/g0059.html

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