アバランシェフォトダイオード

アバランシェフォトダイオードとは

アバランシェフォトダイオードとは、APDとも呼ばれる光エネルギーを電気エネルギーに変換できるフォトダイオード (PD) の1つです。

光の検知や具体的な強弱などの検出に用いられます。超高速で優れた応答性が特徴です。また、電子なだれを発生させてアバランシェ増幅を引き起こすことが可能です。

強い逆電圧を印加することで増幅機能を持つ特性があり、微弱な光信号も検出できます。

アバランシェフォトダイオードの使用用途

アバランシェフォトダイオードは、光の強度測定や光信号検出に使用されます。具体的には、高感度な光検出が求められる場面です。

PDは光量や光の強弱を測定したり光信号を検出したりする場合に利用され、私たちが使う様々な製品に組み込まれています。例えば、リモコンには赤外線光線を受信できる装置として組み込まれています。

APDも同様に光の検出に利用されますが、一般的なPDでは検出できないほど弱い光でもAPDならば検出可能です。これは印加された高い逆電圧によりアバランシェ増幅が起こり、微弱な光でも大きな変化になって検出できるからです。

アバランシェフォトダイオードの原理

アバランシェフォトダイオードは受光した光を半導体に衝突させることで、発生する電子を増幅する仕組みを持ちます。電圧を付加させることで発生した電子のエネルギーを増大させており、この原理から微弱な光も検出可能です。

「アバランシェ」という言葉ですが、日本語では「なだれ」という意味があります。その名の通り、APDは高い逆電圧を印加させることで電子なだれを引き起こします。

電子なだれとは1つの電子の衝突が原因となって、次々に電子が生み出されていく現象のことです。半導体の原子に衝突した光子が電子を発生させ、この電子は印加された高電圧によって加速されます。

そして、加速された電子は高速で他の原子とぶつかり、次々と電子を生み出していきます。この現象は「なだれ」のように電子を発生させて増幅することから、「アバランシェ増幅」と言います。

アバランシェフォトダイオードの構造

アバランシェフォトダイオードは、半導体のp型とn型が結合したpn接合をしていますが、キャリア濃度が異なるp層が存在します。通常のpn接合部分に、キャリア濃度の高いp層とキャリア濃度の低いp層が重なっている構造です。

キャリア濃度の低いp層は、光を吸収して正孔を発生させます。pn接合のp層は、発生した電子を高電圧によって加速して電子なだれを発生させることで、アバランシェ増幅を引き起こしています。

検出した光が弱いと発生する電子と正孔も少ないですが、この増幅によって何倍もの電子を発生させることが可能です。そのため、微弱な光の検出に役立ちます。

アバランシェフォトダイオードの特徴

アバランシェフォトダイオードでは、以下の性質が特徴として挙げられます。

  • 高い受光感度
  • 高速応答
  • 高い信頼性

上記のようなハイクオリティな機能を提供する一方で、使用する際に高い逆電圧を必要とすることやアバランシェ増倍の効果が温度に依存して変化してしまうといった短所もあります。

アバランシェフォトダイオードのその他情報

アバランシェフォトダイオードの開発

アバランシェフォトダイオードは、高い逆電圧が必要なことや増倍率が温度依存性なことが欠点です。そのため、より簡単にデバイスが使用できるように、低い逆電圧で使用が可能なアバランシェフォトダイオードの研究開発が行われています。

その他にも、表面実装型のCSP (Chip Size Package) アバランシェフォトダイオード、外乱光の影響を阻害するアバランシェフォトダイオード、増倍率の均一性が保たれた大面積アバランシェフォトダイオードなど様々なタイプが研究開発されています。

参考文献
https://www.cybernet.co.jp/optical/course/word/a09.html
http://yoshikawa-lab.imr.tohoku.ac.jp/APD/apd-j.html

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