クリーンベンチ

クリーンベンチとは

クリーンベンチは、ホコリや浮遊微生物などの混入を防ぐために洗浄度を保つ囲い付き作業台のことを言います。フィルタに通すことで洗浄された空気が対象物に当たるようにすることで局所的に高い洗浄度にすることができます。

HEPAまたはULPAフィルタなど高性能なエアフィルタや送付機、照明などに構成されています。JIS B9922によって構成や性能、試験方法が規定されています。また、防爆構造のクリーンベンチはJIS C 0903に規定されています。

クリーンベンチの使用用途

クリーンベンチは微生物や細胞などをはじめ、外から菌や遺物の混入を避けたいものを取り扱う際に使用されます。

例えば、医薬の分野では微生物や細胞の培養、医薬品の調整など、産業分野では、半導体や液晶など精密さが要求される電子部品などの作製時に使用されます。

空気の吹き出す位置は正面と天井の2種類あり、正面から吹き出す場合は、作業者や器具の周辺に空気が滞留し、洗浄度が下がってしまう可能性があるため、生物の培養などの無菌作業には天井から送風するタイプが使用されています。

通常は囲いが付いたクリーンベンチがほとんどですが、囲いがないタイプのクリーンベンチもあり、作業性改善に貢献しています。

クリーンベンチの原理

クリーンベンチは、ホコリや浮遊微生物などの混入を防ぐためにベンチ内を陽圧(ベンチ内の圧力を外気の圧力より高くする)にすること外から中への空気の流れを遮断し、HEPAフィルタなど高性能な粉塵除去機能をもったフィルタにより洗浄された空気だけを中に取り込む仕組みになっています。一般的には、99%を超える集塵効率をもっています。

クリーンベンチの構造はJIS B9922にて細かく規定されています。例えば、壁面の剥離や錆びがないことに加えて、メインとなるエアフィルタはHEPAもしくはULPAでなければなりません。また、酸や有機・有毒ガスを扱う場合は所定の経路から排気できる構造を持つことや、照明灯と殺菌灯は協定がない限り同時に点灯してはならないなどが明記されています。

性能については定格風速が0.3~0.6m/sと定められており、平均風速が定格風速の±20%であることや洗浄度はクラス1~8などがあるが、「特別仕様の作業空間の場合は,風速は受渡当事者間での協定によってもよい」とも明記されています。

クリーンベンチのその他情報

1. HEPAフィルター

High Efficiency Particulate Air Filterの略であり、定格風量で粒径0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有し、初期圧力損失が245Pa以下のエアフィルターとJIS規格で規定されています。

クリーンルームの清浄度を保つために重要な部品でありますが、使用していくと目詰まりにより性能が下がっていきます。一般的な寿命は3年程度ですが、使用環境によっても異なります。定期的に風量が出ているか、フィルターに亀裂やクラック等がないかなどの性能チェックを行い、クリーンベンチ内の清浄度を維持することが重要です。

2. クリーンベンチとドラフトチャンバーと安全キャビネットの違い

クリーンベンチとドラフトチャンバーと安全キャビネットの違い

図1. クリーンベンチとドラフトチャンバーと安全キャビネットの違い

クリーンベンチと似たものとしてドラフトチャンバと安全キャビネットがあり、気流の流れと使用目的が大きく異なります。

クリーンベンチはホコリなどの異物の混入を防ぐために用いられ、サンプルの保護が第一目的です。クリーンベンチでは陽圧になった容器内の空気が作業する窓から外に流れ出るため、有害なものを取り扱うと作業者に被曝する恐れがあります。

ドラフトチャンバーは有害ガス等をスクラバーで処理し、ダクトを介して系外に排出するため、作業者の保護が第一目的です。一方で、容器内を負圧にするため大気の空気が容器内に入り込むため、清浄環境を保つ目的には不向きです。

安全キャビネットはフィルターで正常にした空気を容器内に送りつつ、作業窓と別の吸気口から排気用フィルターを介して安全に排気を行います。このため、安全キャビネットではサンプルと作業者を同時に保護可能であるため、バイオハザードのリスクのあるウィルスや細菌を取り扱う場合に使用されます。

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