電力監視

電力監視とは

電力監視とは、使用電力や電力量を計測して監視することです。

電力は使用量を目視できませんが、発電設備を持たない場合は電力会社より購入しなければならないエネルギーです。したがって、請求電気代が妥当であるかを確認するために、電力量計や電力監視システムを使用して監視する必要があります。

従来、電力監視は電力料金の削減が目的でした。近年はそれだけではなく、CO2削減などの環境保護活動の一環としても実施されます。また、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者は、省エネ法によりエネルギー管理が義務づけられています。

事業活動する上で、電気は大きな割合となりやすいエネルギーです。そのため、エネルギー管理の中でも特に電力監視は重要項目の1つです。

電力監視の使用用途

電力監視は、商業や産業において幅広く実施される活動です。一般家庭において実施される場合もあります。以下は、電力監視の実施例です。

  • 大規模施設における使用電力量の監視
  • ソーラーパネルを持つ商業施設の発電量監視
  • 家計における日毎の電力量監視

大規模施設を持つ企業・団体は、多くの場合は電力監視システムを導入します。電力監視システムでは施設全体の消費電力量だけでなく、設備・セクター毎の使用量などを確認可能な場合が多いです。エネルギー消費状況を詳細に分析可能で、効率的な省エネ検討や電力管理ができます。

ソーラーパネルや発電機を持つ施設では、発電の電力監視を実施している場合もあります。また、近年では電力会社のアプリケーション開発などにより、家庭での使用電力も管理できるようになってきました。

電力監視の原理

電力は主に電流、電圧、力率などを測定することで監視します。電力は電流と電圧の掛け算で求められます。ただし、電流と電圧の位相がずれるにしたがって、有効に消費される電力が発生しなくなっていきます。

電力は電流と電圧の実効値だけではなく、位相一致具合の比率である力率を掛け合わせることで計算可能です。電流の測定では変流器 (CT) を使用し、電圧の測定には計器用変圧器 (VT) を使用するのが一般的です。CTとVTによって測定した電流・電圧を電力計などで演算し、力率を算出しつつ電力へと変換します。電力量計の場合は、これらで測定した電力を時間積分し、電力量として出力します。

なお、位相のずれた電流・電圧によって発生する電力を無効電力と呼びます。無効電力が発生すると負荷に消費されない電流が送電線を行き来し、送電設備容量を圧迫するため電力会社側にとって不利です。したがって、高圧以上の電力契約を締結する場合、力率を高く保つことによる割引項目が盛り込まれることが多いです。

電力監視の構造

家庭用の電力契約は、一般的にアンペア契約です。電流の上限はアンペア契約で決まっていますが、負荷機器を多くつなげれば契約以上の電流が流れてしまいます。ただし、アンペア契約では負荷機器が増えると、契約電流以上の電流が流れた際にブレーカーが遮断して、電力供給を打ち切ります。

一方、高圧または特別高圧で受電する施設は、電力を遮断すると復電に手間や時間が掛かるため非経済的です。病院などの公共施設では、人命に関わる場合もあります。したがって、電力会社も上限を超えた際に電力を遮断せず、デマンド料金制で電力契約を締結することが多いです。

デマンド料金制とは、30分の平均電力の上限予想値を契約電力とする方式です。30分の平均電力値を需要家と電力会社の両者で監視し、契約電力を超えそうになった場合は需要家が使用電力を制限して対応します。契約電力を超えてしまった場合は、電力会社から違約金や契約電力の見直しを請求します。

デマンド料金制における30分電力予想値の管理をデマンド監視と呼びます。高圧以上の需要家では、30分平均電力予想値を分単位で監視したり、使用電力を制限したりすることが可能な電力監視システムを導入して、電力監視します。

参考文献
https://www.watanabe-electric.co.jp/contact/material/pdf/booklet/05.pdf

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