埋込機

埋込機とは

埋込機とは、一定のサイズの樹脂へ試料を埋没させるために使用する装置のことです。

小さなサンプルの金属組織、めっき、塗装の膜厚などを確認する際に、指でのサンプル保持が困難なため、容易に研磨工程の作業を行う用途で埋込機を使用します。ただし、樹脂埋没の工程で加熱や加圧などの工程を伴う種類もあり、低融点材料や軟質材料の埋没には注意が必要です。

埋込機による埋込方法には、熱や圧力が必要な加熱加圧埋込と熱や圧力が必要ない常温硬化埋込があります。サンプルを埋め込むための樹脂には、主にエポキシ、フェノール、アクリルなどが使われています。エッジ保持、硬度、硬化時間などを考慮して、埋込機を選択可能です。

埋込機の使用用途

埋込機は顕微鏡観察用として試験片を準備する際に、樹脂にサンプルを埋め込むために用いられています。埋込機を使用した埋め込みのメリットは手作業による取り扱いが容易になるためです。埋め込みによって自動研磨機を用いて研磨できます。金属の材料組織、硬度、組成を検査する際に、埋込機を利用する場合が多いです。

埋込機によって樹脂へ材料片を埋め込むことで、研磨の際のダレを防止できるだけでなく、指で持って研磨する際にエッジを保持できます。構造完全性の表面評価のためにも、エッジの保持は重要ですが、特に自動研磨用のホルダーを用いれば、研磨条件が安定します。小形や異形の材料で優れた試料面が得られるため、非常に有利です。

埋込機の原理

埋込機を用いた加熱加圧埋込では、熱と圧力によって試料を樹脂で包埋します。ハンドプレス、電動プレス、半自動プレスで加圧して、温度が制御されたヒーターにより加熱するため、短時間で材料を樹脂に埋め込みます。加熱加圧埋込は、熱や圧力で影響を受けない試料を大量かつ素早く埋め込むために適した方法です。

冷却水の給排水の設備がない環境では、埋込機に循環冷却タンクを接続して使用できます。循環冷却タンクは埋込機の冷却水の給水や排水ができ、圧力センサによって給水のONとOFFを制御可能です。タンクの水はヒーターユニットの配管を回っているだけであり、一般の排水口へ流せます。

常温硬化埋込では、アクリルやエポキシなどの樹脂を混合して埋込用カップに注入します。試料を埋め込む際に一部の特殊システムを除いて、圧力や外部の熱は必要ありません。常温硬化埋込は、高温や高圧によってダメージを受ける可能性があるサンプルや少量の試料の埋め込みに適しています。

埋込機の構造

埋込機はヒーターユニット以外にも、上ラム、中間ラム、下ラム、モールドなどから構成されています。モールドのみを取り外して交換すれば、さまざまな径の試料を埋め込めます。循環冷却タンクを埋込機に接続すると冷却水の給排水が可能です。埋込機との接続には給水ホースや排水ホースを用います。

埋め込む試料や方法のほか、最終解析の目的に合わせて、埋め込み用のアクセサリが必要です。埋め込みの取り外しの際に、離型剤は加熱加圧埋込と常温硬化埋込の両方で使用可能です。モールド用のスプレー離型剤や粉末離型剤などがあります。樹脂の性能や色を変えるために、常温硬化樹脂用ピグメント、フラットエッジフィラー、導電性フィラーなどが役立ちます。埋込試料を保持できるサポートクリップ以外にも、サイズや形状に合わせた埋込用カップも追加可能です。

埋込機の種類

埋込機には全自動式と半自動式があります。全自動式では、試験片の研磨や研磨の前工程に使用し、自動的に加熱や加圧埋め込みが可能です。半自動式では、手動で油圧プレスにより埋め込むことが必要です。

自動埋込機には1軸タイプだけでなく、埋込ユニットが2つあり、モールドを2種類取り付け可能な2軸タイプもあります。2軸タイプの自動埋込機は、埋込径が複数必要な現場や埋込量の多い場合に適しています。自動埋込機によっては、特殊な埋め込みにも対応しており、プログラムで管理可能です。

埋め込みの関連機器として、常温樹脂の硬化で生じる気泡を減らし、試料の密着性や透明度を改善する真空含浸脱泡器や加圧含浸脱泡器などもあります。短時間で試料を乾燥させるためには、大容量のヒーターやブロアを有する試料乾燥機も必要です。

埋込機の選び方

埋込機の断熱材やカバーでヒーターが保護されていて、水冷方式によって埋込試料を短い時間でも冷却できれば、安全性が高いです。その一方で、ヒーターが剥き出している旧型の埋込機は危険です。それに加えて、冷却機能がない埋込機を用いると、埋込不十分の熱い試料を取り出した際に、樹脂が破裂する可能性もあります。

埋込機を使用するために、熱間埋込用樹脂のような消耗品が必要です。熱間埋込用樹脂の具体例として、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられます。フェノール樹脂は経済性に優れており、アクリル樹脂は埋込成形後に透明になり、エポキシ樹脂は硬度と密着性に優れています。それ以外にも、硬度が高くて寸法安定性に優れたアリル樹脂のほか、硬化時間が早くてコストパフォーマンスに優れたポリエステル樹脂なども選択可能です。

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