X線チップカウンター

X線チップカウンターとは

X線チップカウンターとは、リールに巻かれたテープの中の半導体チップ等の電子部品の数を、X線を照射して得られる透過イメージを解析して計数する装置です。

スマートフォンやパソコンなどほとんどすべての電子機器類は、ICやダイオード、コンデンサなど様々な電子部品を搭載したプリント基板を持っています。これらの電子部品の総称をチップと言います。チップは多種多様で、その大きさも数ミリ程度の非常に小さなものも多くあります。

X線チップカウンターの使用用途

X線チップカウンターは半導体メーカー、電子部品メーカーがリールに収納したチップの数や、リールの状態を確認する際に使用します。また、組み立てメーカーでは、チップの受入検査及び在庫管理で使用しています。

組み立てメーカーではプリント基板に電子部品を実装します。その際、リールで収められたチップはリールのままチップマウンターに装着され、チップマウンターがリールからキャリアテープを引き出しながら、1つ1つチップを取り出し、基板に装着して行きます。

基板実装の際には、リールから使用するチップを1つずつ抜き出します。残りのチップはリールに巻かれたまま、在庫として管理されます。基板実装では多種多様なチップを多種多様な種類の基板に使用します。従って、工場内でのチップの管理が非常に重要になります。

X線チップカウンターの原理

X線は、波長が0.1nm~10nm付近の電磁波であり広義の光です。しかし、X線は可視光線の約1,000倍のエネルギーを持った透過力の強い光です。レントゲンに使用されているように、X線を物に当てると、その中の物質の違いに応じた割合でX線が透過してきます。

チップは、テーピング工程を経てキャリア・テープに封入されて、リールに巻きとられています。X線チップカウンターはこのリールをそのままの形でチャンバーの中に入れ、リールにX線に当て、リールを透過してくるX線を、X線カメラやスキャナーで捉えて画像化します。

キャリアテープを巻き取るリールはプラスチックでできています。従って、リール及びキャリアテープと、半導体やコンデンサーなどの電子部品からなるチップとでは、X線の透過率が全く異なります。リールの透過画像にはチップが渦巻状に並んだ黒い小さな塊りとして映し出されます。X線チップカウンターは画像処理ソフトを使って、チップの数を計数します。

チップカウンターにはAV機器のオープンリールリール・テープ録画機のように、リールからからキャリアテープを引き出し、チップの数をひとつづつ数えながら、反対側のリールに巻き取る装置もあります。

X線チップカウンターはこの方式のチップカウンターと比較して、計数速度が圧倒的に早くなり、テープの引き出しや巻き取り時の手間やトラブルもなくなります。その一方で、計数の結果に僅かな誤差が含まれることと、装置価格が高くなることが現状の課題となっています。

X線チップカウンターの選び方

リールの中に収められたチップの大きさや形状は様々です。X線チップカウンターはリールのX線透過画像を画像処理ソフトを使って解析し、計数をしている関係上、計数に誤差が生じます。メーカー各社はX線の照射方法や画像解析アルゴリズムの工夫によって計数精度の向上に努めています。X線チップカウンターの選択に当たっては、取り扱うチップの形状に対して十分な計数精度が得られることの確認が必要と思われます。

また、X線チップカウンターは製造ラインと在庫管理に直結した装置なので、自動化への対応や、在庫管理に役立つ機能の充実度も検討対象に含めると良いと思います。

X線チップカウンターのその他情報

X線チップカウンターの納品方法

半導体メーカーや電子部品メーカーから、電子機器の組み立てメーカー (あるいはプリント基板にチップを実装するメーカー) にチップを納品する際には、そのパッケージ方法にはいくつかの種類があります。具体的なパッケージ方法は、テープに装着してそのテープをリールに巻き取ったもの、トレイ上に並べたもの、スティックに入れたもの、ばらに袋に詰められたもの等があります。部品メーカーから組み立てメーカー間へのチップの供給がスムーズに運ぶように、これらのパッケージ方法については、JISで細かく規定されています。

チップをテープに付けて、リールに巻きとって出荷する方法は、比較的小さなチップを一度に多数納品する際に使われます。チップを付けるテープは、厚みがあって一定間隔にくぼみが作られたエンボス・キャリアテープと言い、材質は樹脂または紙です。テーピングマシーンを使って、その窪みに1つ1つチップを挿入して、上部を粘着テープで固定し、リールに巻きとります。

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