標準光源装置

標準光源装置とは

標準光源装置とは、人間が目視でモノや製品の色を確認する際に、対象物に基準となる照明を当てる装置です。

人間が眼で物を見る際には、その物に当たっている光の強さや色合いによって印象も違って見えます。電球の下ではちょうど良い印象に見える製品が、蛍光灯の下では冷たい印象を与える製品に見えることがあります。一般的に工業製品や製品のパッケージの色を決める際には、少しでも印象を良くするために微妙な色合いの調整が行われます。現在でも色合いの調整の多くは目視で行われています。

標準光源装置の使用用途

標準光源装置の使用用途としては、インキメーカーはインク、塗料メーカーは塗料、印刷会社は印刷物の色の確認に使用しています。特に色合わせに厳しい業界では、同じ光源のもとでの確認作業が必要です。

また、電機メーカーをはじめ、各種家庭用品メーカーのデザイン部門の担当者などが製品やパッケージの色を決める際に使用します。カメラメーカーでは標準光源装置の中でサンプルに照明を当て、そのサンプルを撮影してカメラの評価を行っています。

標準光源装置の原理

標準光源装置は、予め基準となる光源をいくつか定めておいて、いつもそれらの光源から出て来る光で観察し結果を判断します。

目視で色合いの調整や管理を行う場合、光源が異なると結果も異なります。そこで標準光源装置を使用することで安定した結果を得ることが可能です。

標準光源装置には各国の基準に準拠した標準光源を備えている以外に、特色のある光源や照明方法を組み込み、さらに豊富な色合いの光で観察ができることを長所として挙げている装置もあります。

標準光源装置の構造

一般的な標準光源装置は、上部に光源をいくつか格納したブースの形をしています。照明の下には、サンプルを置く場所があり、そこに対象物を置いて光源を切り替えながら照明を当て、対象物の色合いを観察します。

サンプル置き場の周辺は観察用の正面を除いては光を通さないパネルで囲まれていて、周囲の光の影響をなるべく受けずに観察ができるようになっています。

標準光源装置の選び方

標準光源装置の選択に際しては、実際に使用する光源の種類を考えて、必要な種類の光源を搭載できる装置を選択します。取引先や他社との色合わせに使うのでなければ、標準イルミナント準拠以外の光源でも、欲しい色合いの光源を備えた装置を選択することもできます。

その一方で、光源には寿命があります。稼働中は安定して同じ色合いの光を供給できることが大切です。光源の寿命を知り、交換時期が来たら、光源が切れる前に交換品を入手可能であるかなど、標準光源装置の選択に当たっては、光源の交換を考慮した保守メンテナンス性が重要です。

標準光源装置のその他情報

1. 標準イルミナントについて

国際照明委員会 (CIE) は製品や材料など物の色を測定する際に基準となる光を、標準イルミナントAと、標準イルミナントD65として規定しています。

標準イルミナントAは完全黒体が絶対温度2856K (ケルビン) の状態にあるときに発する光と規定していますが、実際には色温度が2856Kで発行するタングステン電球を光源としています。

標準イルミナントD65については、CIEが色温度が約6,500Kの状態にある昼の自然光の、光の強度の相対分布がどのようになっているかを定めていて、紫外線領域から可視光線領域までその相対分布に沿った光であるとしています。

2. 光源の開発

CIE (国際照明委員会) はその他にもD50、D55、D75などの標準イルミナントを規定しています。それに応じて各国で電球や蛍光灯、水銀ランプ、キセノンランプなどで、標準イルミナント準拠の光源が開発されてきました。

現代では、あらゆる場所の照明がLED照明に置き換わりつつあります。日本では2021年に国立研究開発法人 産業技術総合研究所 (産総研) が日亜化学工業株式会社と共同で、LEDの標準光源を開発したことを発表しています。

市販されている標準光源装置は、これらCIEの標準イルミナントの規格に準拠した光源をいくつか搭載しています。さらに各社独自に様々な環境を想定した光源を用意したり、色温度を変化できるようにする、光源の先にディフューザーを入れて光が均一に当たるようにするなど、付加価値を持たせた装置を開発しています。

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