検版

検版とは

検版とは、印刷の工程において、印刷物の出来上がりイメージ (マスター) と比較して、刷版やフィルム上に相違がないかを詳細に調べる作業のことです。

印刷物を作ると、誤字・脱字だけではなく、文字の大きさや、配置のずれ、写真や図形の形や色合いの違い、そして紙面全体での欠陥やゴミの転写など、画像イメージ上での相違点が発生します。

書籍やパンフレット、ラベルなど商用印刷物は、クライアントから承認を得たイメージを忠実に再現する必要があるため、検版は印刷工程に欠かせないステップです。検版の作業には校正を含む場合もありますが、本説明では画像イメージの検査を中心に説明します。

検版の使用用途

検版は、商業印刷において発注を受けて印刷物を納品するまでに何度か行われます。

クライアントからの修正依頼や、校正での変更点、紙面上での文章や写真、図のレイアウトなどを確認し、印刷物の出来上がりのイメージに問題が無いかを検証する作業を、組版工程の検版、またはデザイン工程の検版と言います。現在では、コンピュータを使用した印刷イメージの製作が一般化しています。この検版作業では、市販されているDTP (英: Desk Top Publishing) ソフトを使って修正前後のファイルを比較しながら作業を進めています。

組版工程を経て出来上がった印刷用のファイルを、その作業をしたDTPソフトがインストールされているPCでPDFファイル等の画像ファイルに書き出し、印刷用のファイルと共に印刷工程に送ります。印刷工程では画像ファイルを読み込んで表示させた印刷物のイメージを、印刷用のファイルを読み込んで表示したイメージおよび、試し刷りした印刷物と比較し、正しく行われるかを確認します。この作業を製版工程の検版、あるいはデータ入稿工程の検版と言います。

最終的に出来上がってきた印刷物を、画像ファイルや、試し刷りをして相違点がないことを確認できている印刷物 (プルーフ) と比較し、相違点が無いことを確認する作業を印刷工程の検版と言います。

検版の原理

検版は作業の上流工程で発生した問題点を下流工程に持ち込まないために行います。先に記述した検版の種類は一般的なものであり、必要に応じて検版の段階数を調整することも可能です。

現在では、紙等に印刷するまでの作業をコンピュータ上で進めるのが一般的になりました。検図もコンピュータ上でファイル同士を比較したり、印刷物をスキャンして画像ファイルに書き出し、そのファイルを前工程から送られてきたファイルと比較して検版を行います。

検版は、職人が印刷物を眼で確認しながら進める場合もあります。特に2枚の印刷物を重ねて、比較しながら相違点を見つけ出す作業をあおり検版と言います。あおり検版を始めとする職人による検版では、熟練度の違いによる品質のバラツキがあることや、職人が育つまでに時間がかかることなどから、装置を用いた検版が普及してきています。

検版に使用する装置のことを検版機と言います。検版機では、検版の対象となる刷版やフィルム、印刷物をスキャナーで読み取り、画像ファイルに収納し、正しいイメージと比較します。正しいイメージとは、前工程から送られてきた画像ファイルや印刷用ファイルから出力した画像ファイルの場合もあれば、正しいことが確認できたスキャナー読み込みイメージの場合もあります。

検版機では、文字、図形、写真も画像イメージとして捉え、比較対象となった2つのイメージ間での相違点を欠陥として検出し、その部分を枠線で囲むなどしてディスプレイに表示します。オペレータはその相違点を1つずつ確認しながら不良品の判断をします。

一般的に検版機は人間の眼よりも小さな相違点を短時間で検出することが可能です。相違点は、明らかに品質上問題があるものもあれば、肉眼ではわからない程度のものもあります。その相違点を明らかな欠陥として不良品とするか、問題なしとするかはクライアントとの取り決めに依存します。

検版の選び方

ここでは検版機の選び方について記述します。

検版機を選ぶ際には、紙を始めどのような印刷物に対応しているか、またファイルとの比較では、どのような種類のファイルに対応しているかを確認します。次に、検査可能エリア、検査時間、検査感度など検査装置としての基本スペックを確認します。

検査装置は人間の眼よりも高感度ですが、無視できない欠陥と無視して良い欠陥をうまく選別できるかが重要です。一方、装置は微妙な色ムラ、緩やかに変化する濃度ムラを見つけるのが苦手な場合もあります。これらの事項は、実際に装置をデモさせてもらって確認するのが良いと思います。

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