リチウム金属とは
リチウム金属 (Li) とは、原子番号3番の化学元素のことです。
柔らかく銀白色のアルカリ金属です。標準的な条件下では、リチウム金属は最も密度の低い金属であり、すべてのアルカリ金属と同様に、リチウムは反応性と可燃性が高く、真空、不活性雰囲気、または精製灯油や鉱油などの不活性液体で保管する必要があります。
リチウム金属は、陶器やガラスの添加剤や電池として使用されています。特に、今日では、リチウム金属はリチウムイオン電池の分野で注目を集めています。
リチウム金属の使用用途
リチウム金属は、陶器やガラスの添加剤や電池として使用されています。以下では、リチウム金属の使用用途について紹介します。
1. リチウムイオン電池
リチウムイオン電池は、今日使用されている最も一般的な充電式電池です。携帯電話や飛行機、電気自動車など、私たちが使用している様々なデバイスに搭載されています。
1965年にNASAによって最初のリチウムイオン電池が作成されました。商業的に生産されるようになったのは、1991年にソニーによって作られた充電式のリチウムイオン電池が最初です。
リチウムイオン電池の利点は、エネルギー密度が高く優秀であること、放電率が低いこと、他の充電式電池よりも軽量であることが挙げられます。反対に、リチウムイオン電池の欠点は、過熱状態になりやすいことです。そのため、場合によっては発火の可能性が存在します。
リチウムイオン電池は、電極としてさまざまな材料を使用できます。以下では、リチウムイオン電池の主な6種類の長所と短所、およびそれぞれの最適な用途について詳しく見ていきます。
- リン酸鉄リチウム (LFP) 電池
熱安定性と電気化学的性能に優れており、長期間にわたって使用することができます。 - コバルト酸リチウム (LCO) 電池
一般的に使用されているリチウムイオン電池です。様々な小型の装置で、幅広く使用されています。 - リチウムマンガン酸化物 (LMO) 電池
熱安定性と安全性に優れており、HV、EV、医療機器などで一般的に使用されます。 - リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物 (NMC) 電池
比エネルギーと安定性の点が優秀で、電動工具等で使用されます。 - リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物 (NCA) 電池
長期間に渡って高電流を供給可能であるという特性からEVでよく使用されます。 - チタン酸リチウム
高価ですが、充電速度が速く、長く使用することが出来、安全性の高い電池です。様々な大型機械で使用されています。
2. 陶磁器・ガラス
酸化リチウムは、シリカを処理するための添加剤として広く使用されており、材料の融点と粘度を下げ、低熱膨張係数などの物理的特性の改善を促します。陶磁器やガラスに添加剤として使用することは、リチウム化合物の最大の用途の1つです。
3. 潤滑グリス
リチウムの3番目に一般的な用途はグリスです。水酸化リチウムは強塩基であり、脂肪と一緒に加熱すると、ステアリン酸リチウムでできた石鹸が生成されます。リチウム石けんは油の粘度を増加させる能力があり、多目的の高温潤滑グリスの製造に使用されます。
4. 冶金
炭酸リチウムなどは、流動性を高める連続鋳造鋳でのスラグへの添加剤として使用され、2011年の世界のリチウム使用量の5%を占めます。リチウム化合物は、ベーニング (鋳物表面に突起ができること) を減らすための鋳鉄用鋳物砂への添加剤としても使用されます。
リチウム金属の原理
現代では、リチウムはビッグバンで合成されたと考えられています。
リチウムは他の元素に比べて宇宙に存在する量が著しく少ないですが、これは、リチウムを破壊するのに必要な星の温度が比較的低いことと、リチウムを生成するための一般的なプロセスが不足していることが原因だとされています。
リチウム金属の種類
リチウムの天然同位体としては、質量数が6の6Liと、質量数が7の7 Liが存在しています。天然存在率95.15%であるため、7Liの方が自然界では多く見られます。
7Liはビッグバンの核合成で生成された始原元素の1つです。6Liと7Liの両方が恒星の核合成時に少量生成されますが、7Liは炭素星においても生成されます。さらに少量の6Liと7Liが太陽風や、より重い原子に当たる宇宙線、初期の太陽系7Beと10Beの放射崩壊から発生することもあります。