SMARCモジュール

監修:コンガテックジャパン株式会社

SMARCモジュールとは

SMARCモジュールとは、モバイルデバイスなどに使用されるコンパクトなコンピューター・オン・モジュール (システム・オン・モジュール) です。

SMARCはSmart Mobility ARChitectureの略であり、デバイスの設計と開発を容易にすることを目的とした規格です。

SMARCモジュールは、組込み技術のための標準化グループであるSGeTにより策定されたSMARC規格に準拠したモジュールで、CPUやメモリ、ストレージ、グラフィックスおよびその他の周辺機能を含む完全なシステムを1枚の小さなボードに集積しています。

また、コンピューター・オン・モジュールの利点は、設計や動作検証に時間がかかるプロセッサー周辺を、モジュールの形で動作検証された状態で利用できる点で、システムの設計者は比較的設計の容易なモジュールを搭載するキャリアボードを設計することでシステムを構築できるため、開発コストや時間を節約できる点です。

これにより、開発者は独自のアプリケーションに焦点を当てることができ、ハードウェアの設計や組み立てに時間を費やす必要がありません。

SMARC規格はハードウェアベンダー間での互換性を確保するために標準化されています。これにより、異なる製品間でモジュールを交換することが可能です。したがって、システムの拡張やアップグレードを容易に行うことができます。

SMARCモジュールの使用用途

SMARCは様々な場面で使用されます。以下はその一例です。

1. 産業システム

SMARCモジュールは工場内の様々なプロセスを監視および制御するために使用されます。例えば、ロボットアームの制御やコンベアベルトの速度調整などがその一例です。これにより、工場の省人化に寄与しつつ、製品の品質管理を強化することができます。

また、高度な産業用ロボットにもSMARCモジュールは組み込まれています。産業用ロボットでは高度なセンサーおよび画像処理機能が必要です。これらの用途において高性能な処理を実行するためにも本製品が使用されます。

2. 医療機器

MRIやX線などの医療画像処理装置には、高度な画像処理能力が必要です。SMARCモジュールはこれらの装置で処理能力を向上させるために使用されます。患者の生体情報をリアルタイムでモニタリングするためのモバイルデバイスなどに、SMARCモジュールが多く使われています。

3. 自動車

先進運転支援システムや自動運転システムには、高度なセンサーとリアルタイムの処理が必要です。SMARCモジュールはこれらのシステムで車両の状態を監視し、適切な制御を行うために組み込まれます。ナビゲーションや通信などにおいても活用されることがあります。

4. その他

SMARCモジュールはポータブルデバイスやモバイルロボットなどでも数多く使用されています。自律型移動ロボットやドローンがその一例であり、環境を認識しつつタスクを実行するための高度な計算を行うことが可能です。これにより、高性能な処理を実行しつつ自律運転が期待されます。

SMARCモジュールの原理

SMARCモジュールは小型のため、組み込みシステムやモバイルデバイスの設計においてスペースを節約できる点が特徴です。コンピューティングコアやメモリ・ストレージ、インターフェースなどで構成されます。

コンピューティングコアは処理能力と動作を制御するための中心的な部分です。一般的にプロセッサーやSoC (System on Chip) が搭載されています。プロセッサーの種類や性能は、モジュールの目的や使用環境に応じて異なります。

メモリ・ストレージはデータを格納するための領域です。メモリはプロセッサーが実行するプログラムやデータを一時的に格納することができます。ストレージはアプリケーションなどのデータを永続的に格納するために使用されます。

インターフェースは外部のデバイスやネットワークと接続するための部位です。USBやイーサネットまたはHDMIを代表としたディスプレイインターフェースなどがあります。用途などに応じて、様々なインターフェースを選択することが可能です。

SMARCモジュールの選び方

SMARCモジュールを選ぶ際は、以下のような要素を考慮することが重要です。

1. メモリ

用途に応じて適切なRAM容量を選択します。大規模なデータ処理や複雑なアプリケーションを実行する場合は、大容量のRAMが必要です。また、使用するソフトウェアやデータのサイズに応じて、適切なストレージ容量を選ぶ必要もあります。

2. インターフェース (I/F)

USBやイーサネットなど、用途において必要な入出力ポートが揃っていることを確認します。また、表示インターフェースとしてHDMIなどのディスプレイインターフェースが必要な場合は、それに対応したモジュールを選択します。拡張性が重要な場合は、拡張性のあるモジュールを選ぶことも重要です。

3. 電源

モジュールの消費電力が使用可能な電力範囲内に収まることを確認します。一般的に消費電力が大きい製品が高速で複雑な処理を実行可能です。また、電圧についても電源環境に適したモジュールを選択します。

4. 動作環境

モジュールが使用される環境の温度範囲に応じて、動作温度範囲が適切であることを確認します。厳しい環境下での使用が予想される場合は、広い動作温度範囲を有するモジュールを選択します。

5. プロセッサ

SMARCモジュールには、ARM、x86などのプロセッサが搭載されています。用途に応じて処理速度、コア数、スレッド数、キャッシュサイズなど適切なプロセッサを選択することが重要です。

本記事はSMARCモジュールを製造・販売するコンガテックジャパン株式会社様に監修を頂きました。

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検針機

検針機とは

検針機はアパレル製品において、製造過程で混入した針、折れた針の破片、ホッチキス針などを検出する機械です。

アパレル業界では、一般的に生地に対して針と糸を使って縫い合わせて製品を作ります。縫い合わせの工程で、針が折れて、その破片が製品に混入すると重大なクレームになります。

そこで、アパレル製品を製造する会社では、製品を出荷する前に、製品の中に針や針の破片が紛れ込んでいないことを、検針機を使って検査しています。

検針機は、医療現場では、患者の頭部に針やヘアピンがないことを確認するためにも使用されています。

検針機の使用用途

検針機は主にアパレル業界を始め、医療現場や食品業界など幅広い業界で、針や金属片の混入を防ぐ目的で使用されています。

検針機が使用される業種は縫製、リサイクル、医薬、医療、物流、ベビー用品、スポーツ用品、化学、警備、防犯など広い範囲におよびます。

検針機の具体的な使用例は以下の通りです。

・縫製品に混入した針、折れ針、鉄片の部分探知
・婦人服・子供服・紳士服などアパレル製品の忘れ針などの検針
・ネクタイ、ストッキングなど小物の製品の検針
・テキスタイル、カーペット、フェルト、不織布など繊維製品に混入した針の鉄片を探知
・医薬品に混入した針、釘等の鉄片探知
・ヘアピン除去などの医療用探知
・凶器、警備、保安用探知
・ゴム、プラスチック原料、シート、ボード、段ボールなど工業原料に混入した鉄製の検針
・バッグなどの手荷物、小包の検査
・製品に混入したボルト、ナット、鋲、針など小鉄片の探知

検針機の原理

検針機が被検査物の中から針や金属を見つける方式には、磁場を利用する磁気誘導方式と電磁場を利用する電磁誘導方式があります。

1.磁気誘導方式

磁気誘導方式の検針機は、永久磁石のN極とS極の間に作られた磁界の中を鉄片が移動する際に生じる磁界の歪みを検出する方式です。

磁気誘導方式の検針機は鉄片探知機の一種で、鉄製の針、釘、ナットやその破片の検出に使用されています。

2.電磁誘導方式

電磁場を利用した検針機では、相対するコイルの間に生じる電磁場を利用します。片方のコイルに電圧をかけると、他方のコイルには誘導起電力が生じます。この電磁場内を金属片が通過するとコイル内に電圧変動が発生します。この電圧の変化を検知することで金属片の存在を検知します。

電磁場を利用した検針機は、金属探知機の一種で、金・銀・銅・アルミ・ステンレスなどの磁石に吸い寄せられない金属も検知可能です。しかし、鉄類に比較して検出感度は低くなります。

検針機の種類

アパレル製品に混入した針の破片などを検出する検針機には、ハンディタイプ、卓上タイプ、コンベアタイプなどの種類があります。

1.ハンディタイプ

ハンディタイプは、台の上に広げたアパレル製品にハンディタイプのセンサーを近づけて針な残存物の存在を検知します。小型で軽く扱いやすいのが特徴です。但し、センサーと被検査物との距離によって感度が変化します。

2.卓上タイプ

卓上タイプの検針機は、センサーが仕込まれたフラットな台の上に、アパレル製品をおいて針などの残存物を検出します。比較的小型で場所を取りませんが、被検査物が台の面から離れるに従って感度が低下します。

3.コンベアタイプ

コンベアタイプの検針機は、トンネル状のセンサーの中をベルトコンベアに乗せたアパレル製品を通過させる構造になっています。アパレル製品を大量生産する工場のラインに組み込まれて使用するのに向いています。

4.その他の方式

アパレル製品以外にも使用される検針機には、超音波を利用した方式、X線を利用した方式、赤外線を利用した方式などもあります。

超音波を利用した検針機はアパレル製品の他に食品、医療機器などで使用されます。X線を利用した検針機は医療分野などで使用されています。赤外線を利用した検針機は食品分野などで使用されています。

参考文献
http://www.hashima.co.jp/j/products/category1010.html
https://jmdm-atter.co.jp/product/index.html
https://shop.webshiro.com/item_list/01155/
http://www.sanko-denshi.co.jp/teppen/index.html

ハイパーバイザー

監修:コンガテックジャパン株式会社

ハイパーバイザーとは

ハイパーバイザー (VMM: Virtual Machine Monitor) とは、仮想化技術によって仮想マシン (VM: Virtual Machine) を動作させるソフトウェアまたはファームウェアです。

物理的なコンピューターハードウェア上で仮想マシンを作成し、それぞれ独立して動作できるようにします。これにより、複数のオペレーティングシステムが同じハードウェア上で同時に実行されることを可能にします。CPUやストレージなどの物理的なサーバーリソースを効率的に活用できる点が特徴です。

ハイパーバイザーを使用して仮想化することにより、サーバーの物理的な台数を減らすことが可能です。これにより、データセンターのスペースや電力消費または冷却コストなどが削減され、コスト効率が向上します。また、新しい仮想マシンを作成したり、既存の仮想マシンのリソースを変更したりすることが容易なため、柔軟性も高いです。

産業用システムに適用されているリアルタイムOSが遅延無く動作するリアルタイム ハイパーバイザーも提供されており、ハードリアルタイムが必要な制御機器においても仮想化が進展しています。

ハイパーバイザーの使用用途

ハイパーバイザーは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 情報通信産業

情報通信企業はクラウドサービスを提供するためにハイパーバイザーを使用します。ハイパーバイザーを利用することで物理的なサーバーリソースを最適化し、複数のテナントや顧客にサービスを提供することが可能です。また、、ネットワーク機能を仮想化するためにも使用されます。

2. 自動車産業

自動車メーカーは車載システムや組み込みソフトウェアの開発にハイパーバイザーを使用します。これにより、複数のシステムを単一のハードウェア上で実行し、車載システムの統合や効率化が可能になります。これにより、製造する自動車の市場競争力を向上させることが可能です。

3. 小売業

小売業界ではPOSシステムを仮想化してセキュリティを強化したり、複数の店舗で一貫したシステムを提供したりするためにハイパーバイザーを使用します。これにより、リソースの共有やセキュリティの強化が可能です。また、オンラインストアやバックオフィスのシステムを効率的に運用するためにも使用されることが多いです。

4. 産業用システム (リアルタイム制御)

産業用システムでは、モーション制御などにリアルタイムOSが用いられておりますが、一般的なハイパーバイザーは、リアルタイムOSの動作に必要な確定的な動作が保証されないため、リアルタイム ハイパーバイザーが使用されます。これにより、操作パネルなどの (HMI) 用OSと制御用のリアルタイムOSが単一のハードウェア上に統合され、設置スペース、保守管理などのコストが削減できます。

ハイパーバイザーの原理

ハイパーバイザーは物理的なハードウェアを仮想マシンに提供するために、ハードウェアの抽象化を行います。これにより、各仮想マシンは自分が物理的なハードウェアを占有しているかのように振る舞うことが可能です。

CPU処理能力やメモリ、ストレージなどのリソースを抽象化・仮想化する仕組みです。各仮想マシンは、割り当てられたリソースの範囲内で動作し、他の仮想マシンから隔離された環境であるかのように振舞います。

最近のCPUでは、ハードウェアにより仮想環境を支援する機能を備えたプロセッサが主流となり、仮想マシン情報の管理がソフトウェアから解放され、リアルマシンと同等の遅延が無い動作が可能となっています。

また、ハイパーバイザーは仮想マシンの作成や起動・停止などの管理機能を提供します。リソースの割り当てやバックアップなどの操作も行うことが可能です。

各仮想マシン上ではゲストOSが実行されます。このための仮想環境をハイパーバイザーが提供します。ゲストOSはハイパーバイザーと通信してハードウェアリソースを要求し、仮想化されたハードウェア上で動作する仕組みです。

ハイパーバイザーの種類

ハイパーバイザーにはType1とType2が存在します。それぞれ異なる使用シナリオやニーズに対応しています。ハイパーバイザーを選択する際には、その要件や目的に応じて適切なタイプを選択することが重要です。

1. Type 1 (ベアメタルハイパーバイザー) 

Type 1 ハイパーバイザーは物理的なハードウェアの上で直接動作します。ハイパーバイザー自体が最初にロードされ、その上で仮想マシンが実行されます。ホストOSの必要がないため、リソースの使用効率が高い点が特徴です。

通常、データセンターでの仮想化環境やクラウドプラットフォームで使用されます。Microsoft Hyper-VやXen Hypervisorなどがその一例です。

2. Type 2 (ホスト型ハイパーバイザー) 

Type 2 ハイパーバイザーは既存のオペレーティングシステムの上で動作します。ホストOSが最初に起動し、その上でハイパーバイザーが実行される仕組みです。デスクトップ環境や開発環境など、小規模な仮想化環境で使用されることが一般的です。

導入が容易であり、複数のオペレーティングシステムを同時に実行できる点が特徴です。ただし、パフォーマンスが Type 1 ハイパーバイザーよりも低い場合があります。

3. リアルタイム ハイパーバイザー

モーション制御などに適用されているリアルタイムOSを一般的なハイパーバイザー上で動作させた場合、ハイパーバイザーによるデバイスへのアクセス、仮想マシンのスケジューリングなどにより動作に遅延が生じるためリアルタイムOSへの適用は困難です。特にハードリアルタイムが要求される環境においては、確定的な遅延時間の下で動作する必要があります。リアルタイム ハイパーバイザーは、リアルタイムOSが遅延無くリアル環境と同様に動作可能です。

本記事はハイパーバイザーを製造・販売するコンガテックジャパン株式会社様に監修を頂きました。

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ワイヤーハーネス加工

監修:有限会社トウセーエレクトロン

ワイヤーハーネス加工とは

ワイヤーハーネス加工とは、電線を加工して機械や電源と効率的に接続するための技術です。

ワイヤーハーネスは複数の電線やケーブルを束ねて整理した組み立て品です。ワイヤーハーネス加工はこれらの電線やケーブルを所定の長さに切断し、適切な配線パターンに配置し、端子やコネクターなどの部品と結合して機能的かつ耐久性のある電気配線系統を構築する工程を指します。高度な精度と専門知識を必要とし、製品の品質や性能に大きな影響を与えます。

複数の電線やケーブルを一つのハーネスにまとめることで、配線が乱雑になることを防ぎます。これにより、設備や機器の配線が簡素化され、保守やトラブルシューティングが容易です。また、ワイヤーハーネスは設計要件や製品仕様に合わせてカスタマイズされることが多いです。

ワイヤーハーネスの使用用途

ワイヤーハーネス加工は様々な場面で使用されます。以下はその一例です。

1. 自動車産業

自動車のエンジンでは、燃料供給や点火、排気制御などの機能を管理するために多くの電気配線が必要です。ワイヤーハーネスによってこれらの電気部品を効率的に接続します。ナビゲーションシステムやオーディオなどの電子機器への給電にもワイヤーハーネスが使用されることが多いです。

また、自動車には衝突回避システムや運転支援システムまたは駐車支援システムなどのセンサーと安全機能が組み込まれています。これらのシステムはワイヤーハーネスを介して車両の他の部分と通信している仕組みです。

2. 航空産業

航空機では航法装置や飛行制御システムなど、航空機の運用に不可欠な制御系統が内蔵されています。また、乗客のためのエンターテイメントシステムなども内蔵されていることが多いです。これらのシステムは高品質で信頼性の高いワイヤーハーネスによって接続する必要があります。

3. 機械産業

工業用ロボットや自動製造装置では、多くの場合は複雑な電気配線が必要です。ワイヤーハーネスはこれらのシステムを機能させるために、信頼性高く各部位を接続しています。特に産業用ロボットには多数のセンサーが内蔵されているため、ワイヤーハーネスの加工が必要不可欠です。

4. 電子機器産業

デスクトップコンピューターやサーバーなどのコンピューターには、電源ケーブルやデータケーブルなどのワイヤーハーネスが必要です。信頼性の高いデータ転送や電力供給を確保するためにワイヤーハーネスが使用されます。また、スマートフォンやタブレットなどの携帯機器も複雑な内部構造を有するため、ワイヤーハーネスを介して相互に接続されています。

ワイヤーハーネス加工の原理

ワイヤーハーネス加工の原理は、電気配線を効率的かつ整理された状態で提供することにあります。まず、製品の要件や仕様に基づいてワイヤーハーネスの設計が行われます。必要な電線やケーブルの種類または長さなどを検討し、接続方法を決定するプロセスです。

次に、ワイヤーハーネス作製のために必要な電線やコネクターなどの材料を準備します。準備した電線は所定の長さにカットされ、必要に応じて端子が取り付けられます。これにより、ワイヤーハーネスの構造が形成される仕組みです。

最後に、製作したワイヤーハーネスを機器に接続します。製品内の適切な位置に取り付けられ、他の電子部品と接続されます。これにより、電気信号や電力が効率的に伝送することが可能です。

ワイヤーハーネス加工の選び方

ワイヤーハーネスの加工サービスを選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。

1. 信頼性

長年の経験と専門知識を有するサービス企業を選定します。信頼性の高い企業は、技術的な問題に対処する能力や適切な品質管理手法を備えていることが多いです。過去の顧客のフィードバックや業界での評判も参考にします。

2. 品質保証

ワイヤーハーネスは製品の信頼性に重要な役割を果たすため、品質保証が欠かせません。ISO認証などの規格を遵守し、品質管理プロセスが優れた企業を選ぶことが重要です。

3. カスタマイズ能力・生産能力

製品の仕様が変更される可能性がある場合、柔軟性のある業者を選ぶことが重要です。仕様のカスタマイズに柔軟に対応可能な企業を選びます。また、最新の機器と技術を備え、大量生産に対応できることなども確認します。

4. 納期・価格

納期の遵守と迅速なカスタマーサポートは重要です。納期に関する明確な合意と、問題解決のための迅速な対応を提供できる企業を選定します。また、製品の市場競争能力を高めるために、価格と品質のバランスを考慮し、コスト効率の良い業者を選ぶことも重要です。

本記事はワイヤーハーネス加工を行う有限会社トウセーエレクトロン様に監修を頂きました。

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微小電流計

微小電流計とは

微小電流計はナノアンペア、ピコアンペアなどの微小な電流を測定する装置です。マルチメーター、ピコアンメーターとも呼ばれます。電子機器の技術の進歩に伴って回路の小型化、省エネ化が進み、回路を流れる電流もマイクロアンペア未満と非常に小さくなりました。一般的な電流計では測定時に生じるノイズなどの影響があるため、非常に小さな電流を検出するのは困難です。しかし、微小電流計はこのようなノイズの影響が極力小さくなるように設計されており、小さな電流の測定が可能になっています。

微小電流計の使用用途

微小電流計は電気回路を流れる電流の評価や半導体デバイスのリーク電流の評価を始め、材料の特性評価、バイオテクノロジーなど、様々な分野で使用されています。

微小電流計は電気、電子回路の電流値測定に用いられており、例えば増幅回路や通信回路など、高集積化、小型化した回路で使用されています。装置によってはフェムトアンペアまで測定可能な装置もあります。

また、トランジスタやダイオードのような回路素子単体の漏れ電流の検出にも微小電流計が用いられます。

材料の性能評価の方法に、材料の電気的特性を用いることがあります。これには、評価対象となる材料に電圧をかけて、材料に流れる微小電流を測定する手法があります。

バイオテクノロジーの分野では、細胞の電気的活動や生体分子の相互作用を調査する際に微小電流計が利用されます。

その他、微小電流計は、物理学、化学、材料科学、生物学などの研究分野で、実験や測定に広く活用されています。

微小電流計の原理

微小電流計は、電流が装置内を通過するときに、その周囲に磁場が生成されることを利用して電流を測定します。この電流によって生成された磁場は、電流計内の永久磁石またはコイルと相互作用し、指針がスケール上で偏向する機械的な力を引き起こします。

この方式は電流計の一般的なものです。微小電流を正確に測定するためには、ノイズと過剰電流に注意が必要です。

1.微小電流計使用時はノイズに注意が必要

微小電流計はナノアンペア、ピコアンペアの微小な電流から1A程度の電流が測定可能な装置です。微小電流を測定する際はノイズの原因となるものを極力排除する必要があります。微小電流計自体はノイズの影響を受けないように対策されていますが、サンプルの抵抗や電源、設置している環境の温度などもノイズの要因となるため測定対象に由来するノイズの影響にも注意が必要です。

2.微小電流計は過剰電流が流れないように注意する

微小電流計には超高抵抗計が組み合わせられた装置もあります。このような装置ではエレクトロメーターとしても用いることができます。またサンプリングスピードを優先する形式とノイズ削減を優先する形式を選択できる微小電流計も販売されています。なお測定値の誤差は測定値に対する相対値であるため、常にナノアンペア程度の精度で測定できるわけではなく、測定値によって誤差の絶対値も変化する点に注意が必要です。また、装置の上限値以上の電流を流すと装置を破損させる恐れがあるため、測定時に過剰な電流が流れないように注意が必要です。

微小電流計の選び方

微小電流計を選択する際には、流れる電流の大きさの範囲と感度、校正と保守、サンプルとの接続方法などを考慮する必要があります。

1.流れる電流の大きさの範囲と感度

測定したい電流値に合った感度と測定範囲を持つ微小電流計を選びます。感度が高いほど小さな電流を正確に測定できますが、測定範囲が広すぎると精度が低下します。

2.校正と保守

正確な測定を行うためには定期的な校正や保守が必要になります。メーカーが提示する校正手順、保守手順に従って、校正や保守が行えるか確認します。

3.サンプルとの接続方法

測定対象(例:回路、素子、バイオセンサーなど)に電流プローブ等を適切に接続することで、正確な測定が可能になります。測定対象にあった接続方法が用意されているか確認しましょう。

参考文献
https://www.hioki.co.jp/jp/products/detail/?product_key=1633
https://www.keysight.com/jp/ja/assets/7018-03320/technical-overviews/5990-9804.pdf
https://www.adcmt.com/products/dc/5450