微小電流計

微小電流計とは

微小電流計はナノアンペア、ピコアンペアなどの微小な電流を測定する装置です。マルチメーター、ピコアンメーターとも呼ばれます。電子機器の技術の進歩に伴って回路の小型化、省エネ化が進み、回路を流れる電流もマイクロアンペア未満と非常に小さくなりました。一般的な電流計では測定時に生じるノイズなどの影響があるため、非常に小さな電流を検出するのは困難です。しかし、微小電流計はこのようなノイズの影響が極力小さくなるように設計されており、小さな電流の測定が可能になっています。

微小電流計の使用用途

微小電流計は電気回路を流れる電流の評価や半導体デバイスのリーク電流の評価を始め、材料の特性評価、バイオテクノロジーなど、様々な分野で使用されています。

微小電流計は電気、電子回路の電流値測定に用いられており、例えば増幅回路や通信回路など、高集積化、小型化した回路で使用されています。装置によってはフェムトアンペアまで測定可能な装置もあります。

また、トランジスタやダイオードのような回路素子単体の漏れ電流の検出にも微小電流計が用いられます。

材料の性能評価の方法に、材料の電気的特性を用いることがあります。これには、評価対象となる材料に電圧をかけて、材料に流れる微小電流を測定する手法があります。

バイオテクノロジーの分野では、細胞の電気的活動や生体分子の相互作用を調査する際に微小電流計が利用されます。

その他、微小電流計は、物理学、化学、材料科学、生物学などの研究分野で、実験や測定に広く活用されています。

微小電流計の原理

微小電流計は、電流が装置内を通過するときに、その周囲に磁場が生成されることを利用して電流を測定します。この電流によって生成された磁場は、電流計内の永久磁石またはコイルと相互作用し、指針がスケール上で偏向する機械的な力を引き起こします。

この方式は電流計の一般的なものです。微小電流を正確に測定するためには、ノイズと過剰電流に注意が必要です。

1.微小電流計使用時はノイズに注意が必要

微小電流計はナノアンペア、ピコアンペアの微小な電流から1A程度の電流が測定可能な装置です。微小電流を測定する際はノイズの原因となるものを極力排除する必要があります。微小電流計自体はノイズの影響を受けないように対策されていますが、サンプルの抵抗や電源、設置している環境の温度などもノイズの要因となるため測定対象に由来するノイズの影響にも注意が必要です。

2.微小電流計は過剰電流が流れないように注意する

微小電流計には超高抵抗計が組み合わせられた装置もあります。このような装置ではエレクトロメーターとしても用いることができます。またサンプリングスピードを優先する形式とノイズ削減を優先する形式を選択できる微小電流計も販売されています。なお測定値の誤差は測定値に対する相対値であるため、常にナノアンペア程度の精度で測定できるわけではなく、測定値によって誤差の絶対値も変化する点に注意が必要です。また、装置の上限値以上の電流を流すと装置を破損させる恐れがあるため、測定時に過剰な電流が流れないように注意が必要です。

微小電流計の選び方

微小電流計を選択する際には、流れる電流の大きさの範囲と感度、校正と保守、サンプルとの接続方法などを考慮する必要があります。

1.流れる電流の大きさの範囲と感度

測定したい電流値に合った感度と測定範囲を持つ微小電流計を選びます。感度が高いほど小さな電流を正確に測定できますが、測定範囲が広すぎると精度が低下します。

2.校正と保守

正確な測定を行うためには定期的な校正や保守が必要になります。メーカーが提示する校正手順、保守手順に従って、校正や保守が行えるか確認します。

3.サンプルとの接続方法

測定対象(例:回路、素子、バイオセンサーなど)に電流プローブ等を適切に接続することで、正確な測定が可能になります。測定対象にあった接続方法が用意されているか確認しましょう。

参考文献
https://www.hioki.co.jp/jp/products/detail/?product_key=1633
https://www.keysight.com/jp/ja/assets/7018-03320/technical-overviews/5990-9804.pdf
https://www.adcmt.com/products/dc/5450

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