超音波レベルセンサーとは
超音波レベルセンサー (英: Ultrasonic Level Sensor)とは、超音波を使用して対象物の液位や距離を測定するセンシングデバイスです。
超音波レベルセンサーは超音波を発生させて、それが対象物に反射して戻ってくる時間を測定することによって距離を計算します。これにより、対象物までの距離を高精度に測定することができます。あらかじめ液位や変位のレンジを設定しておくことで、距離をレベルに変換することが可能です超音波センサーは液体のレベルを非接触で測定できる点が特徴です。
したがって、腐食性の液体や酸・アルカリを有するタンクの液位測定に適しています。さらに、食品産業などの場合には測定対象の汚染リスクを最小限に抑えるのにも役立ちます。また、超音波センサーは一般的に高い精度で測定が可能です。ミリメートル単位の距離や液位を正確に測定することができます。
超音波レベルセンサーの使用用途
超音波レベルセンサーは高精度かつ非接触で測定できるため、さまざまな産業で使用されます。以下は超音波レベルセンサーの使用用途です。
1. 石油精製
石油精製プラントでは、超音波レベルセンサーがタンク内の原油や製品のレベル管理に使用されます。これにより、タンクの容量を最適に活用することが可能です。原油やガソリン燃料などのタンクレベルをリアルタイムで監視し、満杯になる前に製品の供給や排出を制御することで過剰流量や品質の低下を防ぎます。
2. 水処理
水処理施設では、超音波センサーが水や廃水のレベル管理に使用されます。これにより、用水供給や排水処理を効率的に管理することが可能です。水処理タンクや貯水池内の水位をモニタリングし、必要に応じてポンプやバルブを制御して液位を管理する仕組みです。
また、洪水防止のために河川の水位を監視する場合にも使用されます。必要に応じて警報を発するためにも超音波センサーが使用される場合も多いです。
3. 化学プラント
化学プラントでは、超音波センサーが液体や化学薬品のタンク内のレベルを測定し、プロセス制御に使用されます。超音波センサーであれば、腐食性のある液体や高温の環境でも信頼性が高いため、化学プラント内の液体のレベルを監視するために使用されます。化学プラントでは反応槽内の液体レベルの正確な測定が特に重要であり、超音波センサーはプロセスの安全性と効率性を高めるためにも有利です。
4. 食品加工
食品加工業界では超音波センサーが飲料やパウダーのタンク内のレベルを測定し、生産プロセスの制御に使用されます。食品加工業界では衛生要件が厳格です。超音波センサー非接触で液位を測定可能なため、食品製造の安全性を確保することができます。
超音波レベルセンサーの原理
超音波センサーは周波数40 kHz以上の超音波を発生させます。この超音波はセンサー内にある振動子によって生成されることが多いです。振動子は電気信号を超音波に変換する役割を有し、一般的にセンサーヘッドとして知られる部分に取り付けられています。
発生した超音波はセンサーから対象物に向かって送信されます。超音波は空気を通じて伝播しますが、対象物表面に当たると一部は反射されて戻ってくるため、この往復時間を計測することで液位を測定する仕組みです。距離は、次の公式を使用して計算されます。
距離 = 速度 × 往復時間 / 2
ここで、速度は超音波が空気や液体中で伝播する速度であり、通常は音速です。音速は温度や圧力に依存するため、センサーが正確な距離を計算するためにはこれらのパラメータも考慮する必要があります。
超音波レベルセンサーの選び方
超音波レベルセンサーを選ぶ際には、いくつかの重要な要因を考慮する必要があります。以下は超音波レベルセンサーの選定要素です。
1. 測定距離
最も重要な要因の一つはセンサーが測定できる最大距離です。必要な測定最大距離に応じて製品を選定します。センサーの仕様シートは最大および最小測定距離が記載されているため、測定要件に合わせて購入することが重要です。
2. 防塵・防水性能
使用環境によってはセンサーが防塵性や防水性を有するかが重要です。工業環境や野外環境では、防塵性能や防水性能を持つセンサーが必要となります。IP(Ingress Protection)規格がセンサーの防塵および防水性能を示す指標として使用されます。
3. 出力形式
超音波レベルセンサーはさまざまな出力形式の製品が販売されています。を持つものがあります。一般的にはDC1-5VまたはDC4-20mAのアナログ伝送出力を有する製品が多いです。ただし、必要に応じてシリアル通信出力などが可能な製品も販売されています。
4. 測定精度
測定精度はセンサーの性能に直接影響を与える要因です。高い測定精度が必要な用途では、高精度のセンサーを選択する必要があります。センサーの精度はデータシートに記載されている誤差範囲で表されます。