転写シート

監修:株式会社アイセロ

転写シートとは

転写シートとは、デザインやイラスト、電子回路パターンなどの画像を転写するためのシートです。

シート上にインクや顔料が特殊な方法で塗布されており、熱や圧力をかけることで対象物に転写される仕組みの熱転写は代表的な手法であり、布地やプラスチックなど、さまざまな素材や表面に対応しています。これにより、様々な製品にデザインを転写することが可能です。最近ではデザインだけではなく、電子回路、電磁波シールドなどの機能を転写するシートも開発されています。

転写シートは高品質な製造技術によって作られており、印刷解像度に優れます。細かいディテールや色彩を正確に再現することができ、射出成形を利用したインモールド成形や真空成形を利用したアウトモールド成形により自動車部品や家電部品などへの表面加飾にも使用されています。

また、ポリエステルなどの透明プラスチックシート上に感光性樹脂層が塗工されたドライフィルムレジスト (DFR) は、プリント基板などへの電子回路パターンの転写に利用されています。

転写を目的とした製品に、転写“フィルム”も存在します。一般的に転写シートは、厚手の紙、不織布、プラスチックなどの基材に、感光層などの転写用インクが塗布されたシートです。転写フィルムは、薄手のプラスチックなどの基材に転写シートと同様にコーティングが施された製品です。

転写シートの使用用途

転写シートには以下のような使用用途があります。

1. アパレル業界

アパレル業界では、転写シートを使用して衣料品にデザインを転写することが一般的です。Tシャツやスウェットシャツなどの素材にデザインやイラストを転写することで、カスタムデザインの衣類を製作することができます。また、イベントやプロモーションなどのために、チームウェアを製作したりする際にも使用されます。主に熱転写シート、昇華転写シートが利用されています。

2. 工業製品

工業製品や製造品には、ロゴや安全マークなどを転写することがあります。プラスチック製品や金属製品、ガラス製品などの表面に、デザインやブランド名を転写することで、製品の識別やブランディングを強化することが可能です。

また、製品に付加価値を与えるために、電子回路や電磁波シールド、保護膜などの機能を転写することもあります。家電や自動車などの部品には、射出成形や真空成形を用いた熱転写シート、三次元形状の部品には水圧転写シート、電子回路パターンの転写にはドライフィルムレジストが利用されています。

3. 家具

家具製造業では家具にデザインを転写することも多いです。テーブルや椅子、キャビネットなどの家具に、模様やイラストを転写することで、個性的な家具を製作することができます。また、インテリアデザインに合わせて、家具の表面に模様を追加することもあります。水転写式デカールが利用されています。

4. 建築

インテリアデザインでは、壁や床などのインテリアにデザインを転写することがあります。壁画や装飾アートなどに転写シートを使用することで、空間の雰囲気やスタイルを演出することが可能です。また、季節やイベントに合わせて、インテリアをデコレーションする際にも活用されます。最近では、壁紙や床に本物素材に近い感触を表現した転写シートがあります。

転写シートの原理

代表的な転写シートである熱転写の原理は、一般的には熱や圧力を利用してインクをシートから対象物の表面に移す仕組みです。特殊なインクがシートの表面に塗布されており、必要なデザインを印刷することが可能です。熱や圧力によってインクをシートから対象物の表面に移して転写します。基本的な構成は基材 / 離型層 / インク層 / 接着層 / 剥離層となっています。

一部の転写シートには、対象物の表面にインクを固定させるための接着剤が含まれます。この接着剤を熱などで活性化して、インクをしっかりと表面に固定させることが可能です。このことで転写されたデザインが耐久性を持ち、剥がれたりすることがなくなります。

インクは、対象物の表面に転写された後、冷却されて固化・固定されます。紫外線 (UV) 露光して固化・固定されるものもあります。この過程でデザインが対象物表面に完全固定され、耐久性を向上させることが可能です。一部のシートには固化・固定プロセスが完了するまでシートを保持するための保護フィルムを有する場合があります。

転写シートの種類

転写シートには以下のような種類が存在します。

1. 熱転写シート

熱転写シートは加熱プレス機などを使用して、対象物の表面にインクを転写するシートです。加熱によってインクが溶けて転写されます。主にテキスタイルや布地への転写に使用されます。射出成型機や真空成型機を使用して、プラスチック成形品の表面加飾に用いるシートもあり、基材と一緒に一体成形するタイプとインクのみを転写するタイプがあります。

2. 圧着転写シート

圧着転写シートは、シートを対象物の表面に貼り付け、圧力をかけることで転写するシートです。シートの背面に接着剤が付いており、圧力によってインクが表面に転写されます。主にカッティングマシンなどで使用されます。ドライフィルムレジストは、ポリエステルなどの透明プラスチックフィルム基材に感光性樹脂が塗工されたシートであり、専用の装置を用いて熱を掛けながら感光性樹脂をプリント基板などに圧着します。その後、電子回路パターンをUV露光し、基材を剥離させ、現像することで電子回路パターンが転写できます。

3. UV転写シート

UV転写シートは、紫外線硬化インクを使用して転写するシートです。紫外線によってインクが硬化して転写されます。耐久性や耐候性に優れているため、主に工業製品や屋外広告などに使用されます。

4. 水転写シート

水溶性および水分散可能なプラスチック、紙などの基材に特殊なインク層を設けた転写シートです。水で基材を溶かしてインク層を転写でき、デカールと水圧転写が有名です。

デカールは陶器や家具、スポーツ用品等へのデザインの転写、水圧転写は自動車部品等の三次元形状のプラスチック成形体へのデザインの転写に用いられています。

5. 水溶性転写シート

水溶性転写シートは、水溶性層と支持層で構成される転写シートです。水溶性層に、転写をしたいパターンや機能膜を塗工し、対象物へ貼り付けます。その後、支持層を剥がし、水溶性層をシャワーなどで水洗することで、パターンや機能膜を転写させます。高透明で高平滑な水溶性転写シートでは、細かいパターンの塗工や積層転写に用いられています。

また、単体では破壊されやすい薄膜の取り出しも、水溶性転写シートを用いることで可能となります。

本記事は転写シートを製造・販売する株式会社アイセロ様に監修を頂きました。

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転写フィルム

監修:株式会社アイセロ

転写フィルムとは

転写フィルムとは、写真、イラスト、幾何学模様、電子回路パターンなどの画像を複写、転写するためのフィルムです。

最近では製品に付加価値を与えるために、電磁波シールド、保護膜などの機能を転写するフィルムもあります。

複写機や印刷機で使用される転写フィルムは、透明なベースフィルム上に感光層や保護層などの複数層がコーティングされており、光や熱などの刺激を受けることで画像を複写する仕組みです。これにより、鮮明でクリアな複写結果を得ることができます。

自動車や家電などの部品に画像を転写するフィルムは、ベースフィルム上に保護層や画像層、接着層が形成されており、射出成形を利用したインモールド成形、真空成形を利用したアウトモールド成形により部品表面に画像を転写することができます。

また、ポリエステルなどの透明プラスチックフィルム上に感光性樹脂層が塗工されたドライフィルムレジスト (DFR) は、プリント基板などへ電子回路パターンを形成するためのレジスト膜の転写に利用されています。

転写フィルムには、長期の保存や使用、耐久性が高く、経年劣化を抑えるために、画像を形成する層以外に、傷付き防止や紫外線劣化などを防ぐような保護層が形成されているものもあります。

転写フィルムの使用用途

転写フィルムには、以下のような使用用途があります。

1. 服飾

服飾デザインやテキスタイルデザインにおいて、転写フィルムを使用してパターンやデザインを転写することがあります。特に、複雑な模様やグラフィックを正確に転写する際に有利です。

また、Tシャツやスウェットシャツなどの衣料品にプリントを施す際に、転写フィルムが使用されます。特殊なインクジェット転写フィルムを使用することで、写真やイラストなどの複雑なデザインを衣料品に印刷することが可能です。これにより、デザインTシャツなどを大量に複製することができます。一般に熱転写フィルム、昇華転写フィルムが利用されています。

2. オフィス業務

オフィスでは契約書や報告書などの書類を複写する必要があります。転写フィルムを使用することで、これらの書類を効率的に複製することが可能です。ただし、近年では転写フィルムを使用せず、プリンタや複合機によって印刷することが多いです。複合機では熱転写フィルムによりインクが転写されます。

3. 工業製品

工業製品や製造品には、製品や部品に識別情報やラベル、ロゴを付ける必要があります。転写フィルムを使用して、プラスチック製品や金属製品、ガラス製品などの部品表面にバーコードやロゴ、デザインなどの情報が転写されています。

家電や自動車などの部品には、箔押しや射出成形、真空成形を用いた熱転写フィルム、三次元形状の部品には水圧転写フィルムによるデザイン転写、また、電子回路パターン作製のためのレジスト膜転写にはドライフィルムレジストが利用されています。

転写フィルムの原理

転写フィルムの原理は、転写方式により様々です。
例えば熱転写フィルムは、基本的にはベースフィルム上に離型層、インク層、接着層を設けた構成となり、熱と圧力を掛けることで、離型層から剥離したインク層が接着層を介して、部品等へ転写されます。

水溶性転写フィルムは、水溶性のベースフィルムと離型層で構成される転写フィルムで、水溶性ベースフィルム上に転写をしたいパターンや機能膜を塗工し、対象物へ貼り付けます。その後、離型層を剥がし、水溶性ベースフィルムをシャワーなどで水洗することで、パターンや機能膜を転写させます。また、単体では破壊されやすい薄膜の取り出しも、水溶性転写フィルムの原理を用いることで可能となります。

透明ベースフィルム上に感光層などの特殊なコーティングを施したドライフィルムレジストは、プリント基板上などに加圧しながら感光層を貼り付け、感光層を明暗のパターンが描画されたマスク (原版・マスタ・フォトマスク) 超しに露光 (焼き付け) 行い、その後、現像することで電子回路パターンの像を転写する仕組みです。

ベースフィルムは、転写フィルムの基本構造を提供する透明なフィルムです。ポリエステルやポリプロピレンなどのプラスチック素材で作られています。複写・転写の支持体として機能し、他の層を保護しつつ支持する役割を果たします。

離型層は、対象物へインク層を転写させる時に、温度等の転写条件でベースフィルムからインク層を剥離させるために設ける層です。ベースフィルムと離型層の間で剥離させるタイプと離型層とインク層の間で剥離させるタイプがあります。前者では離型層が転写後の保護層としての機能も備えています。離型層を設けず、ベースフィルムも含めて対象物へ転写する場合もあります。

インク層は、意匠性のデザイン、画像、機能材などが、有機・無機材料などから形成されたものです。グラビア、ダイコートなどのコーティング法、スクリーンやインクジェットなどの印刷法、蒸着・スパッタリング法などで形成されます。

接着層は光や熱などに感応のある層です。光や熱に反応する化学物質が含まれているため、熱や露光などによって化学的な変化を起こし、対象物への転写を可能にする層です。

保護層は転写された像を保護するための層です。フィルム全体を覆い、損傷や劣化から保護する役割を果たします。一般的には、耐摩耗性や耐候性の高いポリウレタンなどの材料で構成されます。

転写フィルムの選び方

転写フィルムを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. 寸法

転写フィルムの寸法は、使用する機械の対応サイズと一致している必要があります。一般的な寸法にはA4などの国際規格サイズがありますが、特定の機器や用途に応じてカスタムサイズのフィルムも販売されています。roll-to-rollのプロセスでは、フィルムが長尺で巻かれたロールで購入する場合も多いです。

2. 解像度

解像度は転写される画像の鮮明度、精度等の機能を決定する重要な要素です。高解像度の転写フィルムを選ぶことで、細部の再現性が向上し、クリアで鮮明な複写結果を得ることができます。解像度はdpiで表されることも多いです。ドライフィルムレジストでは、現像後の線幅、ラインアンドスペース (L/S) 、ホールサイズで表現されます。

3. 耐久性

耐久性は、複写・転写物の製品保証を示す指標です。耐久性が高い転写フィルムは摩耗や汚れ、湿気などの外部要因から複写・転写物を保護し、長期間にわたって品質を維持します。特に厳しい環境下で使用する場合は、耐久性の高い製品を選択する必要があります。

本記事は転写フィルムを製造・販売する株式会社アイセロ様に監修を頂きました。

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PVAフィルム

監修:株式会社アイセロ

PVAフィルムとは

PVAフィルムとは、ポリビニルアルコール (英:Polyvinyl Alcohol) という合成樹脂から作られる薄膜です。

PVAは1924年にドイツのヘルマン博士らによって発見された水溶性でありながら結晶性であるユニークな熱可塑性樹脂であり、PVA水溶液を乾かすことでフィルム状の膜が得られます。

一般的には透明なフィルムであり、添加剤処方により柔軟性をコントロールすることができます。また、水に溶けやすい一方で、様々な有機溶媒に対して耐性が高いという性質を持っています。フィルムにした場合、透明性および光沢性が高く、また気体等のバリア性の高い材料です。これらの特性から、様々な産業や用途に使用されます。

PVAフィルムは気体の透過性が低く、食品などの製品を酸化や汚染から保護するのに効果的です。生分解性もあるため、環境への負荷を低減するために有用です。また、透明なフィルムのため、製品の見た目を損なわずに包装することができます。PVAフィルムは、これらの特徴を利用して繊維製品の包装材としても使用されてきました。

PVAフィルムの使用用途

PVAフィルムは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 洗剤

PVAフィルムは水に溶けやすい一方で、薬品への耐性が高い性質を持っているため、家庭用の食器洗浄機やランドリー用洗剤、工業用洗浄剤などの一回性の包装に適しています。例えばランドリー用洗剤の場合、製品を包装したまま、直接洗剤に手を触れることなく計量レスで洗濯機に入れることができます。製品を使用した後、PVAフィルムは水に溶けるため包装材の廃棄物量を減らすことが可能です。

2. 農薬・肥料

農業ではPVAフィルムを農薬や肥料の包装に使用します。高いバリア性を持つため、農薬や肥料の品質を保ちながら長期間保存することが可能です。また、PVAフィルムは生分解性があり、土壌中に分解されるため、環境への影響を最小限に抑えることができます。

3. プラスチック表面加飾

プラスチック筐体への印刷柄の転写用にPVAフィルムが使用されています。グラビア印刷等でデザイン柄を印刷したPVAフィルムを水面に浮かべ、膨潤した後にプラスチック筐体を押し当てることでPVAフィルムと共にデザイン柄が三次元状の筐体に付きまわり転写が可能です。雑貨や家電、自動車内装等で利用されています。

4. 電子材料

PVAフィルムは透明度が高く、g線(436nm)、i線(365nm)の波長における光透過性も高い材料であり、電子材料や光学材料分野への応用も可能です。ヨウ素をドーピングした延伸PVAフィルムは液晶パネルの偏光フィルムとして利用されています。

5. 医薬品

医薬品や医療機器の包装にもPVAフィルムが利用されます。高いバリア性が保証されるため、製品の品質や安全性を維持しつつ、外部からの汚染を防ぐことが可能です。また、PVAフィルムは非毒性であり、医療品に対して安全であるという特性も重要です。医薬品には医薬用グレードのPVA樹脂が販売されております。

6. 食品

PVAフィルムは食品包装業界で広く使用されています。バリア性能と透明性が高いことから、食品の鮮度を保ちながら消費者に製品を提供することができます。さらに、生分解性のPVAフィルムを使用することで、環境への負荷を低減することが可能です。

PVAフィルムの特徴

PVAは、酢酸ビニルから重合されたポリ酢酸ビニル (PVAc) を鹸化によりアセトキシ基 (-O-CO-CH3) を水酸基(-OH)に加水分解することで得られる熱可塑性樹脂です。鹸化度が高い程、ポリマー鎖中の水酸基の数が多くなります。

鹸化度により冷水や熱水への水溶性のコントロールが可能です。例えば、鹸化度が99mol%以上と高くなると、分子間の水酸基同士の水素結合性が強くなり、バリア性が高くなる一方で、冷水への溶解性が低下します。

各種反応によってもPVAの性質をコントロールでき、分子間の水酸基をジアルデヒド、ジイソシアネート、金属錯体等により架橋反応することで耐水性の向上が可能です。また、他のモノマーを共重合することにより水溶性、機械物性、化学反応性等を改善することができます。

このような化学的性質よりPVAフィルムには以下のような主な特徴があります。

  • 水溶性
  • 耐有機溶剤性が高い
  • 熱可塑性であるため熱溶着シールが可能
  • 透明性が高い
  • 透湿性が高い
  • 気体等のバリア性が高い
  • グラビア、フレキソ、スクリーン等の印刷が可能
  • 環境の湿度の影響を受けやすく機械物性に影響し易い

PVAフィルムの選び方

PVAフィルムを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. 用途

使用する用途に応じて、PVAフィルムの特性を選択することが重要です。一例として、食品包装には食品安全基準に適合し、高いバリア性を持つフィルムが適しています。洗剤包装には、水溶性と洗剤成分との相性、製袋適性が求められます。

2. 厚さ

PVAフィルムの厚さは、使用時のハンドリング性や製品の保護性、耐久性に影響する指標です。一般的に厚いフィルムはハンドリング性の観点で扱いやすく、耐久性が高く、製品をより強固に保護しますが、水に溶解する速度は遅くなる傾向があります。一方、薄いフィルムは包装対象物等の形状に適応しやすく、水に溶解する速度は速くなる傾向にありますが、環境中の湿度の影響により柔らかくなり、扱いにくくなる場合があります。

また、厚いフィルムほど高価となることが多いです。使用用途や使用環境を考慮し、適切な厚さを選ぶことで、製品保護性と柔軟性のバランスを取る必要があります。

3. 寸法

使用する製品のサイズに合わせて、適切なPVAフィルムの寸法を選択する必要があります。PVAフィルムは、環境の湿度の影響を受けやすいため、使用環境を考慮し、使用用途や製品に適した大きさのフィルムを選ぶことが重要です。

4. 溶解温度

PVAフィルムは水溶性ですが、溶解温度が製品によって異なる場合があります。製品の使用環境や加工プロセスに応じて、適切な溶解温度のPVAフィルムを選択する必要があります。

本記事はPVAフィルムを製造・販売する株式会社アイセロ様に監修を頂きました。

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バッテリーシミュレータ

バッテリーシミュレータとは

バッテリーシミュレータとは、バッテリーの動作を模擬して動作する電源です。

あらかじめ設定した電池特性に基づいて充電や放電を疑似的に動作させることができ、各種機器の動作試験に使用されます。任意の電池状況を設定することができるため、仮想のバッテリーをシミュレーションすることは勿論、 敢えて低充電状態のバッテリーや異常なバッテリー使用下の機器動作の確認もすることが可能です。実バッテリーでは再現が困難な状況を繰り返して再現することにも使用されます。

放電試験などのチャート

また、後述するマイクログリッドの様なバッテリーを利用したBESS(バッテリーエネルーギーストレージシステム)の試験においては、電力系統の模擬に用いられるグリッドシミュレータと呼ばれる回生型交流電源と併用してバッテリ-シミュレータが使用されます。その他にも、グリッドシミュレータはパワーコンディショナ、インバータ給電、UPSなどのグリッド特性を試験することが可能です。

バッテリーシミュレータの使用用途

バッテリーシミュレータの主な使用用途は、

  • バッテリーが使用されている機器一般において各種バッテリーの実際の動作の電流・電圧を模擬的に再現します。

    ※アプリケーションによってバッテリーパックの使用エリアが定義されており、例えばEVが定義するバッテリーSOC使用エリアは0〜90%、HEVは20〜70%と定義されています。リチウムバッテリーは事故による危険度が高いため、BMSで過電圧、低電圧(OVP, UVP)を監視、管理しており、通常のバッテリー使用エリア管理では過充電圧、過放電圧、上限動作電圧、下限動作電圧、100%-0%充放電圧の6つの重要電圧ポイントがあります。

バッテリーシミュレーション再現性試験チャート

  • 電圧の歪みや周波数の変動などが想定される電源系統の模擬動作をするグリッドシミュレーターがあり、バッテリーシミュレーターと併用してBESSなどの動作試験に用いられます。

1. バッテリーのシミュレーション

バッテリーシミュレータは、実際のバッテリーの電圧・電流の挙動をシミュレートし、家電製品や産業用電子機器の開発などに生かされています。シミュレーションできるバッテリーの種類はバッテリーシミュレータによりますが、リチウムイオン電池、 ニッケル水素電池、 ニッケル・カドミウム電池、 鉛蓄電池、 NiMh-12V組電池など、多岐に渡ります。主な試験・検証項目は下記の通りです。

  • 各種電池の出力模擬
  • 低充電状態によるシャットオフ電圧の検証
  • 電池の出力模擬
  • モバイル機器の開発における試験
  • バッテリー寿命の推定
  • 異常状態のバッテリーの模擬動作
  • インバータやコンバータなどの、電力を効率的に使う機器の開発や評価

2. 自動車分野分野

バッテリーシミュレータは、自動車バッテリーの模擬動作に特化して使用されることもあります。電圧・電流の立ち上がりをシミュレートし、

  • バッテリーパックやモジュールの充放電試験、寿命の推定 (ライフサイクル試験)
  • 燃料電池試験
  • EV/HEV用モータやインバータの試験
  • パワートレインの耐久試験
  • NVH試験
  • 高電圧バッテリーパックのエミュレート
  • eモータ、インバータ、e-Axle試験
  • スーパーキャパシタ試験

などの試験に用いられます。モータシミュレータや高速モータベンチと組み合わせて使用することも可能です。

3. エネルギー・マイクログリッド分野

バッテリーシミュレータの中には、マイクログリッド試験における電力供給や、その他、パワーコンディショナ、インバータ給電、UPSなど、様々な電力供給のシミュレーションに用いられるものがあります。この電力系統を模擬する多くの製品は、グリッドシミュレータと呼ばれています。

マイクログリッドとは、特定の限定エリア内でエネルギー供給施設 (発電・蓄電) と消費施設とをネットワーク化し、エネルギーを地産地消する仕組みです。マイクログリッド試験は、マイクログリッドを実装する前に行われる試験であり、バッテリーシミュレータ (グリッドシミュレータ) は、マイクログリッド試験における電力供給に使用されます。

マイクログリッドは、太陽光発電・風力発電・コージェネレーション・燃料電池などの発電設備および蓄電設備を複数組み合わせ複数組み合わせた電力予測が難しい仕組みであることから、複雑で信頼性の高い制御システムが必要です。

バッテリーシミュレータ (グリッドシミュレータ) は、これらの発電装置の模擬動作を行い、マイクログリッド試験に要求される電圧歪みと周波数変動などの様々な試験条件に対応して電力供給を行います。その他にも電力をグリッドに送る機能を持つ製品 (V2G 電気自動車の充電スタンド、蓄電システム) などの模擬動作にも使用されています。

バッテリーシミュレータの原理

バッテリーは、残容量によって出力される電圧や電流が変化する性質があります。バッテリー シミュレータは、このようなバッテリーの動作を模倣させることができます。

バッテリー負荷試験チャート

バッテリーシミュレータの多くは、充電と放電の両方を模擬することが出来るように、直流電源と電子負荷が一体になった装置になっています (回生型直流電源) 。 バッテリーシミュレーションでは、バッテリーの基本特性であるI-Vカーブ特性を元に動作を行います。

充電モードのシミュレーション (電子負荷モード) 時は、バッテリーシミュレータ機能付きの回生電源を利用して、消費電力をACラインに戻すことが可能です。直流電源と直流電子負荷の両方の機能を合わせもっているため、インバータやパワーコンディショナ、双方向のDC-DCコンバータなどの評価の際にも接続を切り替えることなく動作させることができます。

バッテリーシミュレータの種類

前述の通り、バッテリーシミュレータは、製品によって用途・機能が異なります。また、バッテリーシミュレータだけでなくバッテリーテスターとしても使える製品もあります。製品によってはAC入力を単相入力または3相入力に切り替えることも可能です。

計測機能を備えた製品では、出力電圧、電流、ピーク電圧及び電流、有効電力などの計測を行うことができる場合があります。また、製品によってGUIは大きく異なっています。用途に合わせて適切なものを選定することが必要です。

バッテリーシミュレータのその他情報

1. マイクログリッドと環境

近年の自然災害の激甚化によって、既存の系統電源供給では大規模かつ長期にわたる停電が懸念されています。小規模電力グリッドであるマイクログリッドはこのような問題を解決するシステムとして期待されています。

例えば、地震や台風で既存の系統電源が停電した場合もエリアごとのグリッドで電力供給を行うことができる他、夏期における電力不足に対して、太陽光パネル+蓄電システムの分散式グリッドを用いてエリアの電力不足を解消することが可能です。災害対応力強化として、マイクログリッドを構築する流れが自治体などを中心として進められています。

また、エリア内でエネルギー供給側とエネルギー消費側をネットワーク化し、エネルギー消費量に合わせて電力の供給を最適化されるよう制御することが可能です。また、発電時に発生するコージェネレーションの排熱を冷暖房や給湯に利用することで、熱エネルギーを有効利用することも可能であると考えられています。

紙成形機

紙成形機とは

紙成形機とは、紙を素材として、商品パッケージなどの立体を成形したり、また、成形と同時に製品包装を行ったりする機械です。

紙容器成型機、紙容器成型充填機などと呼ばれる場合もあります。工具、部品、食品など、様々な製品の包装に使用されており、容器、トレーなどの各種包装・梱包資材や、緩衝材などを製造することに活用されています。また、紙容器製造は、脱プラスチック的観点でも注目されている技術です。どろどろのパルプを成形するパルプモールド技術を利用したものが多いですが、中には乾燥した状態の紙を材料として成形する装置もあります。

紙成形機の使用用途

紙成形機の主な使用用途は、各種包装・梱包資材、緩衝材の製造です。カップなどの容器や、パッケージ、トレーをはじめとする様々な立体資材が製造されています。また、資材製造の過程で、製品充填も同時に行われることもあります。下記は製造される主な包装資材の例です。

  • 工具、部品、食品用などのトレー、容器
  • 紙製ブリスターパック
  • 製品の固定をおこなう緩衝材
  • 紙カップ
  • 飲料、液体食品、酒類、調味料などの紙パック

食品用容器・トレーでは、たまごのパックや果物のケースなどのやや複雑な形状の容器も製造することが可能です。また、非食品では、化粧品、文具、スポーツ用品、トイレタリー用品などの包装・梱包資材の製造にも使用されています。液体を充填する紙パックでは、

  • 牛乳をはじめとする各種乳飲料
  • 清涼飲料 (ジュース、茶類、コーヒーなど)
  • 液体食品 (生クリームやスープなど)
  • 酒類
  • 調味料・その他

など、幅広い飲料・食品に対応しています。また、こうした紙容器は、プラスチックに代替ができる素材として、脱プラスチック観点でも注目されています。

紙成形機の原理

紙成形機は、水分を含んだどろどろのパルプを成形して製造するパルプモールドと呼ばれる技術を用いた装置と、乾燥した状態の紙材を成形して製造する装置があります。

1. パルプモールド

パルプモールド製法では、大きく分類して下記の工程で製造されます。

  1. 溶解: 水の中に古紙またはバージンパルプを入れてかき混ぜ、どろどろになるまで溶解させます。
  2. 異物除去: どろどろになったパルプの中から紙以外のゴミを取り除きます (紐、金具、ビニールなど) 。
  3. 成形・乾燥: 金型に流し込み成形し、水分を蒸発させて固めます。

成形・乾燥の加工工程にはいくつか種類があり、

  • 乾式パルプモールド: 金型で形を整えた後に乾燥機を用いて乾燥を行う
  • 湿式パルプモールド: 金型の中で形を固めながらそのまま乾燥させる
  • パルプ射出成形: パルプをペレット状にしたものを金型に射出する
  • パルプ発泡成形: 発泡材を配合したパルプ原料を金型内に充填し加熱する

などがあります。乾式パイプモールドでは、表面がざらざらした表面をもち緩衝性がある製品が完成し、湿式パルプモールドでは、表面が滑らかな製品が完成します。射出成形は特に複雑な形状加工が可能であることが特徴です。また、パルプ発泡成形は、成形品は気泡が充満するため、他のパルプ成形品に比べ軽量で緩衝性が高いという特徴があります。

2. 乾燥紙材成形

パイプモールドと対象的に、乾燥した状態の紙材を成形する仕組みの装置も使用されています。ロール状の原紙を成形する仕組みや、シート状の紙素材を複数層重ねて加熱や圧着を行う仕組み、1枚の紙素材を金型で挟み、プレス機械で加熱・加圧して折りたたむ仕組みなどがあります。

乾燥紙材を成形する装置では、乾燥時間がないことや、水の使用量が少ないため特殊な排水処理設備を備える必要がないことなどのメリットが挙げられます。

紙成形機の種類

前述の通り、紙成形機には、用途・仕組みなどの点で様々な種類があります。また、非食品用ブリスターパックや、飲料包装などでは、一つのライン上で包装成形と製品充填が完結するようになっています。

紙筒製造に特化した形状の装置もある他、特に射出成形による成形を行う装置は複雑な成形に向いている装置です。使用する際は、用途・目的・設備環境に合ったものを選定することが必要です。

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Nylon Tape

What Is Nylon Tape?

Nylon tape, made from strong nylon fibers, serves various functions across multiple industries.

Known for its durability and abrasion resistance, nylon tape secures and reinforces loads in packaging, furniture, and automotive production. It’s also integral in creating outdoor and sports equipment like hiking gear, backpacks, tents, and sleeping bags, benefiting from its durability and light weight.

Moreover, nylon tape is utilized in apparel and bag design, and its flexibility and strength make it a popular choice for DIY projects and crafts.

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Mounting Tape

What Is Mounting Tape?

Mounting tape, also known as double-sided tape, has adhesive on both sides for attaching materials together.

This tape is versatile, used for tasks like hanging frames, mounting panels, repairing devices, decorating cars, and in furniture construction. Its ease of use and strong bond make it a go-to for both temporary and permanent applications.

With its durable adhesive, mounting tape can withstand various conditions, making it appropriate for indoor and outdoor settings.

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Mica Tape

What Is Mica Tape?

Mica tape, featuring adhesive on a paper or plastic base, is versatile for packaging, repairs, marking, crafting, art, and DIY projects.

Its key attributes include flexibility, durability, and strong adhesion, making it effective for various applications from temporary fixes to decorative uses. Mica tape is notable for its thinness and ability to stick to different surfaces.

Some mica tapes also offer significant heat and water resistance, making them ideal for high-temperature or outdoor applications. This includes industrial use for insulation, protection, and masking, especially in electronic device manufacturing.

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Mastic Tape

What Is Mastic Tape?

Mastic tape, made from polyethylene film and an acrylic-based adhesive, is designed for durability and moisture resistance.

Suitable for outdoor use and humid conditions, it’s utilized in construction, repairs, and waterproofing projects. Its flexibility ensures strong adherence to various surfaces and shapes, making it useful for insulating pipes and wires, as well as securing items.

The tape is easy to cut for convenient sizing, and some versions feature added weather and heat resistance.

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Laminated Tape

What Is Laminated Tape?

Laminated tape combines a transparent plastic film with adhesive for a durable finish.

This process involves bonding the film and adhesive under pressure or heat, creating a tape used for document and photo protection, label making, and poster and flyer creation. Its waterproof and durable characteristics protect against fading and damage, preserving the quality of printed materials and photos over time.

Available in clear, glossy, matte finishes, and options with UV-cut features, laminated tape caters to preservation and presentation needs.