紙成形機

紙成形機とは

紙成形機とは、紙を素材として、商品パッケージなどの立体を成形したり、また、成形と同時に製品包装を行ったりする機械です。

紙容器成型機、紙容器成型充填機などと呼ばれる場合もあります。工具、部品、食品など、様々な製品の包装に使用されており、容器、トレーなどの各種包装・梱包資材や、緩衝材などを製造することに活用されています。また、紙容器製造は、脱プラスチック的観点でも注目されている技術です。どろどろのパルプを成形するパルプモールド技術を利用したものが多いですが、中には乾燥した状態の紙を材料として成形する装置もあります。

紙成形機の使用用途

紙成形機の主な使用用途は、各種包装・梱包資材、緩衝材の製造です。カップなどの容器や、パッケージ、トレーをはじめとする様々な立体資材が製造されています。また、資材製造の過程で、製品充填も同時に行われることもあります。下記は製造される主な包装資材の例です。

  • 工具、部品、食品用などのトレー、容器
  • 紙製ブリスターパック
  • 製品の固定をおこなう緩衝材
  • 紙カップ
  • 飲料、液体食品、酒類、調味料などの紙パック

食品用容器・トレーでは、たまごのパックや果物のケースなどのやや複雑な形状の容器も製造することが可能です。また、非食品では、化粧品、文具、スポーツ用品、トイレタリー用品などの包装・梱包資材の製造にも使用されています。液体を充填する紙パックでは、

  • 牛乳をはじめとする各種乳飲料
  • 清涼飲料 (ジュース、茶類、コーヒーなど)
  • 液体食品 (生クリームやスープなど)
  • 酒類
  • 調味料・その他

など、幅広い飲料・食品に対応しています。また、こうした紙容器は、プラスチックに代替ができる素材として、脱プラスチック観点でも注目されています。

紙成形機の原理

紙成形機は、水分を含んだどろどろのパルプを成形して製造するパルプモールドと呼ばれる技術を用いた装置と、乾燥した状態の紙材を成形して製造する装置があります。

1. パルプモールド

パルプモールド製法では、大きく分類して下記の工程で製造されます。

  1. 溶解: 水の中に古紙またはバージンパルプを入れてかき混ぜ、どろどろになるまで溶解させます。
  2. 異物除去: どろどろになったパルプの中から紙以外のゴミを取り除きます (紐、金具、ビニールなど) 。
  3. 成形・乾燥: 金型に流し込み成形し、水分を蒸発させて固めます。

成形・乾燥の加工工程にはいくつか種類があり、

  • 乾式パルプモールド: 金型で形を整えた後に乾燥機を用いて乾燥を行う
  • 湿式パルプモールド: 金型の中で形を固めながらそのまま乾燥させる
  • パルプ射出成形: パルプをペレット状にしたものを金型に射出する
  • パルプ発泡成形: 発泡材を配合したパルプ原料を金型内に充填し加熱する

などがあります。乾式パイプモールドでは、表面がざらざらした表面をもち緩衝性がある製品が完成し、湿式パルプモールドでは、表面が滑らかな製品が完成します。射出成形は特に複雑な形状加工が可能であることが特徴です。また、パルプ発泡成形は、成形品は気泡が充満するため、他のパルプ成形品に比べ軽量で緩衝性が高いという特徴があります。

2. 乾燥紙材成形

パイプモールドと対象的に、乾燥した状態の紙材を成形する仕組みの装置も使用されています。ロール状の原紙を成形する仕組みや、シート状の紙素材を複数層重ねて加熱や圧着を行う仕組み、1枚の紙素材を金型で挟み、プレス機械で加熱・加圧して折りたたむ仕組みなどがあります。

乾燥紙材を成形する装置では、乾燥時間がないことや、水の使用量が少ないため特殊な排水処理設備を備える必要がないことなどのメリットが挙げられます。

紙成形機の種類

前述の通り、紙成形機には、用途・仕組みなどの点で様々な種類があります。また、非食品用ブリスターパックや、飲料包装などでは、一つのライン上で包装成形と製品充填が完結するようになっています。

紙筒製造に特化した形状の装置もある他、特に射出成形による成形を行う装置は複雑な成形に向いている装置です。使用する際は、用途・目的・設備環境に合ったものを選定することが必要です。