チューンアップ

チューンアップとは

チューンアップ(兼商チューンアップ顆粒水和剤)とは、アグロ カネショウ株式会社から販売されている害虫防除剤です。

チューンアップの成分は、有効成分として、バチルス チューリンゲンシス菌の生芽胞及び産生結晶毒素(BT)が10%含まれており、さらにその他の物質として界面活性剤などが90%含まれています。チューンアップの色は暗褐色で、その形状は、水和性細粒及び微粒です。

チューンアップの有効成分は、菌の生芽胞及び産生結晶毒素であり、チューンアップは、微生物薬剤です。そのため、チューンアップは、魚類、鳥類、そして蜂などに影響が少ないという利点があります。

チューンアップの使用用途

チューンアップは、農業用微生物薬剤として使用されています。具体的には、チューンアップを農地に散布することで害虫を防除することができます。

以下にチューンアップの代表的な適用害虫を説明します。まず、チューンアップは、水稲の害虫であるフタオコビヤガ・コブノメイガ・イネツトムシに効果があります。また、チューンアップは、りんごの害虫であるシャクトリムシやケムシ、さらに野菜類の害虫であるアオムシ、コナガ、ウリノメイガなども防除することができます。

鉄力あくあ

鉄力あくあとは

鉄力あくあとは、愛知製鋼株式会社から販売されている植物用の鉄補給剤です。

鉄は、植物が生育していくために必要な物質です。植物は、葉緑素で光合成を行い、生育に必要なエネルギーを獲得します。この光合成に必要不可欠な葉緑素を作るためには、窒素と鉄が必要になります。つまり、鉄が欠乏した環境で、植物を育てると、光合成により得られるはずのエネルギーが不足するため、適切に生育しない可能性があります。

鉄力あくあは、液体タイプの鉄補給剤で、植物に水やりをするように、鉄力あくあを散布することで、植物は鉄を補給することができます。

鉄力あくあの使用用途

鉄力あくあを栽培している植物に与えることで、植物が効率よく鉄を取り込むことができます。

鉄力あくあの使用方法として、まずは、鉄力あくあを500倍から1000倍の倍率で希釈します。この希釈した鉄力あくあを5日から10日の間隔で栽培している植物に散布します。

植物は、希釈鉄力あくあの鉄を葉からも吸収可能です。そのため、鉄力あくあを散布する際には、鉄が不足している土壌のみならず、植物の葉に直接散布することで、高い効果を得ることができます。

ルアートラップ

ルアートラップとは

ルアートラップとは、主に蛾(が)などの害虫を捕獲するためのツールで、フェロモントラップに分類される捕虫器です。

フェロモントラップは、昆虫のフェロモンを主成分とする誘引剤(フェロモンルアー)を使って昆虫をおびき寄せ、捕獲します。

フェロモントラップの主な種類として、粘着型とファネル型とがあります。ファネル型フェロモントラップは、バケツ状の捕獲容器の上に、漏斗(じょうご)部を有するふたが取り付けられているのが特徴です。ファネル(funnel)とは漏斗(じょうご)を意味しています。

ルアートラップは商品名ですが、一般的なファネル型フェロモントラップとして知られています。ルアー(lure)とは「誘う・誘惑する」を意味しています。

ルアートラップの使用用途

昆虫の発生生態を調査する際、昆虫採集に捕虫器を用いることが多く、捕虫器の代表的なものとしてはフェロモントラップがあります。

昆虫を捕虫器へおびき寄せるには昆虫の習性や本能を利用しますが、フェロモントラップは、昆虫の性フェロモンを主成分とした誘引剤でおびき寄せます。

ルアートラップをはじめとするファネル型フェロモントラップは、ふたに漏斗部が設けられており、誘引剤によっておびき寄せられた昆虫は、漏斗部から捕獲容器内へ落下します。落下した昆虫は、捕獲容器底部の水や殺虫用プレートによって死滅します。

フェロモントラップを利用すれば、害虫の発生時期や規模が予測できるので、防除作業の要否や最適な時期を決めやすくなります。また、誘殺によって成虫が減少すれば、交尾率も下がるので、結果的に害虫の発生量が抑えられます。

リドミルゴールド

リドミルゴールドとは

リドミルゴールド(リドミルゴールドMZ)とは、シンジェンタジャパン株式会社から販売されている農業用の殺菌剤です。リドミルゴールドの形状は、水和性微粒および細粒で、色は暗黄色です。リドミルゴールドは、マンゼブ・メタラキシルM水和剤で、有効成分としてマンゼブが64.0%、メタラキシルMが3.8%含まれています。

リドミルゴールドを散布すると、有効成分であるメタラキシルMが植物に浸透し、殺菌効果を示します。リドミルゴールドが植物体に浸透すると、植物に潜んでいる病原菌も死滅させることができます。そのため、まだ植物が発病していなかったとしても、リドミルゴールドを散布することで、発病を防ぐことができます。

リドミルゴールドの使用用途

リドミルゴールドは、殺菌剤として使用します。リドミルゴールドを栽培している作物に散布することで、殺菌効果を得ることができます。

リドミルゴールドの使用方法としては、まずリドミルゴールドを希釈をして、その希釈液を植物に散布します。リドミルゴールドの希釈倍率や散布方法は、栽培している農作物によって異なりますので、使用前に説明書を参照する必要があります。

ここでは、例として、トマトへのリドミルゴールドの散布方法を説明します。まず、リドミルゴールドを1000倍に希釈します。この希釈リドミルゴールドをトマトに散布します。収穫前日まで、散布することが可能ですが、最大で2回までしか散布ができないので注意が必要です。

サンサンネット

サンサンネットとは

サンサンネットは、日本ワイドクロス株式会社から市販されている農業用の防虫ネットです。サンサンネットは、ポリエステルでできています。サンサンネットの色は、黒か白から選ぶことができます。

サンサンネットは、細かな網目が入ったネットです。このネットをビニールハウスに設置することで、農作物に害のある虫がビニールハウスに侵入するのを防ぐことができます。サンサンネットは、網目の大きさによって、4種類ありますので、侵入を防ぎたい害虫の大きさにあわせて選択することができます。

サンサンネットの使用用途

サンサンネットは、ビニールハウスに設置することで、ビニールハウスへの害虫の侵入を防ぐことができるネットです。害虫は、主にビニールハウスの妻面、側面、出入口から侵入します。そのため、サンサンネットをそれらの部位に設置することが害虫の侵入防止に効果的です。

上記した通り、サンサンネットは網目の細かさによって4種類市販されており、虫の大きさによって、網目の大きさを選ぶ必要があります。当然、網目の細かいサンサンネットほど、大小様々な害虫の侵入を防ぐことができます。しかし、網目の細かいサンサンネットは、通気性が悪くなります。そのため、通気性を必要とする作物を栽培する時には、注意が必要です。

コンバイン袋

コンバイン袋とは

コンバイン袋とは、米の収穫時に袋取りタイプのコンバインにセットして使える、軽くて丈夫な袋のことです。

材質には、ポリエチレンやポリプロピレンなどの化学繊維が用いられており、機械的な収穫作業にも耐えられるように作られています。また、コンバイン袋はメッシュ状に編まれているため通気性が良く、中身が蒸れにくいのが特徴です。

コンバイン袋の使用用途

コンバイン袋は、主に米を収穫する際の籾を入れる用途で使用されます。籾殻、堆肥、根菜類の運搬にも重宝されます。そのほか、小麦、米、トウモロコシ、大豆など様々な農作物の移動や一時保管にも使用可能です。

また、乾燥機がない農家の場合、乾燥・籾摺りを行うライスセンターへの持ち込みが必要ですが、小分けになっていることで軽トラへの積み込みがしやすくなります。収穫した籾をコンバイン袋に保管する場合は、コクゾウムシの被害に合わないよう、しっかりとファスナーを閉めることが重要です。

コンバイン袋の特徴

コンバイン袋のサイズは60×80cmを中心に展開されており、約30kgの籾が入る容量です。また、一般的には中身が見えない作りですが、透視性が高いタイプのコンバイン袋もあり、内容物の量を目視で把握できます。

長所

1. 取り扱いやすい
人間が持ちやすいよう、コンバイン袋の上下には把手が付いています。また、角状糸が使用されているコンバイン袋は、荷積みの際の荷すべりや重量による横伸びが少ないのが長所です。

コンバイン袋は厚手ながらも軽いため、使用しない時期は畳んで収納可能で、保管場所を取りません。

2. 耐久性が高い
コンバイン袋の長所の1つに、耐久性が高いことが挙げられます。農作物を収穫するための機械的な収穫作業にも耐えられ、何度も再利用できます。

3. 効率性の向上
米のような散らばりやすい農作物であっても、刈り取りながらコンバイン袋に直接米を入れられるため、移動が容易となり作業効率が向上します。

短所

1. 重量がある
籾を満杯に入れたコンバイン袋は重いため、1人での取り扱いは難しい場合があります。腰を傷めずに運べる重さを把握し、コンバイン袋を活用してください。

2. 輸送時のトラブル
籾がはいったコンバイン袋を、車種に応じた最大積載量を超えるほど積むのは危険です。輸送時に荷崩れやブレーキ不良などのトラブルが発生することがあります。車種に応じた最大積載量を守ることが大切です。

3. 経年劣化
コンバイン袋の経年劣化や製品不良などにより、把手がちぎれたりファスナーが破損したりすることがあるので、十分にチェックしてください。さらに、密封が不十分だと、虫や湿気などの問題が発生することがあります。

コンバイン袋の使い方

コンバイン袋の使い方については、いくつかのポイントがあります。まず、収穫された農作物をコンバイン袋に入れる前に、十分に乾燥させます。湿った状態で袋に入れると、腐敗や発酵が起こりやすくなります。

次に、コンバイン袋をしっかりと密封することが重要です。袋の口をしっかりと閉じることで、虫や湿気の防止につながります。コンバイン袋を軽トラに積んで運搬する際は、揺れたり倒れたりすることを防ぐために、正しく運搬することが重要です。

コンバイン袋のその他情報

1. 取り扱いの注意点

コンバイン袋は収穫された農作物を保護するために作られた、比較的厚く丈夫なプラスチック製品であるため、一般的に水濡れに強い設計になっています。ただし、高品質のコンバイン袋は耐水性が高く、破れにくいものの、低品質のコンバイン袋は耐水性が低かったり簡単に破れたりする可能性があるので注意してください。

また、コンバイン袋を使用する前に、農作物が完全に乾燥していることを確認することが重要です。湿った農作物をコンバイン袋に詰め込むと、袋の中でカビが発生する可能性があります。

2. 処分方法

使用済みのコンバイン袋の処理方法として、自治体が定めるゴミ収集ルールに従うのが一般的です。プラスチックゴミとして指定されている場合には、指定された収集方法に従って出すことができます。

ただし、コンバイン袋にはファスナーやハトメなどの金属部分もあります。金属部を切り取ってからゴミに出すのか否かは、自治体のHPや電話にて確認してください。また、大量に枚数がある場合は、家庭ゴミとして出せない可能性があります。

複数の市町村のゴミを持ち込みできる施設、またはゴミ処理業者に問い合わせることをおすすめします。

アーチ支柱

アーチ支柱とは

アーチ支柱

アーチ支柱とは、アーチ型 (弓型) の形状をした支柱のことです。

主に農業や園芸において、植物の上に天井を作るためにネットやビニールシートと合わせて使用します。鋼管ポリエチレン等の樹脂で被覆されているものが一般的です。

アーチ支柱の使用用途

アーチ支柱は、主に農業や園芸に利用されています。アーチ型をしているため、上部にビニールを張ることで雨よけにしたり、温室効果を発揮したりすることが可能です。

また、菜園ネットを張ることでキュウリやカボチャなどのつる性植物の栽培に利用したり、 防鳥ネットを張ることで鳥よけの囲いに利用したりなど、様々な用途があります。

1. 菜園ネットと組み合わせる

アーチ支柱を菜園ネットと組み合わせることで、キュウリやとうもろこしなどのつる性植物を効率的に栽培することができます。例えば、キュウリは地這い栽培の場合、曲がってしまったり、地面につくと黄色くなってしまったりすることがあります。

アーチ支柱と菜園ネットを組み合わせて利用すれば、縦の空間を利用した栽培ができるので、このような被害を防ぐことが可能です。

2. ビニールシートと組み合わせる

アーチ支柱をビニールシートと組み合わせることで、雨除けや防寒対策として使用することも可能です。トマトなどの水気を嫌う作物では、土壌中の水分が多い場合、大量の雨を地面から吸い込み、実が裂けてしまうことがあります。

アーチ支柱に雨除けのビニールシートを被せることで、このような被害を防止することが可能です。さらにビニールシートを用いると、防寒対策にも効果があります。

3. 防虫・防鳥ネットと組み合わせる

アーチ支柱を防虫・防鳥ネットと組み合わせることで、収穫前の作物を害虫や鳥から守ることができます。収穫間近の作物は、害虫だけでなく鳥からも狙われやすいため、対策が必要な場合も少なくありません。

アーチ支柱の上から防鳥ネットを被せて作物を保護することで、害虫や鳥による被害から収穫前の作物を守ることが可能です。

アーチ支柱の特徴

長所

1. 多様な目的で使用できる
アーチ支柱は必要に応じて様々な用途に応用することが可能です。1本での利用はもちろん、支柱同士をジョイントで繋ぐことでさらに様々な場面で役立ちます。大きさにもよりますが、人が中に入って作業ができるサイズのものであれば、農作業の効率化にも繋がります。

2. アーチ型で形状を活用しやすい
直線タイプの支柱でアーチを作るのは、初心者には難しい場合があります。アーチ支柱を用いればアーチを自作する必要がなくなり、初心者でも簡単にアーチを活用することが可能です。また、使い方も多岐に渡っているため、様々な場面で活用することができます。

3. 低コストで導入できる
ビニールハウスなどと比較すると、アーチ支柱は比較的安価で販売されています。導入時の負担がそれほど大きくないため、農家の方はもちろん家庭菜園でも導入しやすい特徴があります。

もちろん本数が増えたり、ネットやビニールと組み合わせて導入したりする場合は、費用が膨らむことが考えられます。しかしながら、単価自体はそれほど高くないため、比較的出費がかさまない点も魅力の1つです。

短所

1. 耐えられる重量に限りがある
アーチ支柱は、全ての重量に耐えられるわけではありません。そのため何か重量のあるものを立て掛けたりする場合などは注意が必要です。購入する際には目的に合ったものを選び、想定されていないような使い方は極力避けるようにしてください。

2. サイズの確認が必須
アーチ支柱は、購入前のサイズの確認が必須です。高さのある作物に使用する場合などは特に、目的に合ったサイズのアーチ支柱でなければ全く使い物にならないこともあります。導入前にはサイズに間違いがないよう、しっかり確認しておくことが大切です。

3. 管理に場所をとる
通常の支柱が1本の線上であるのに対し、アーチ支柱は弓型に湾曲しています。そのため、使用せずに置いておく場合は少々場所をとります。使用場面だけでなく管理場所についても検討したうえで、アーチ支柱を購入することも重要なポイントです。

アーチ支柱の種類

アーチ支柱には、様々なサイズがあります。具体的には、1本でアーチを作れる長さのものや、他の支柱と組み合わせて高さのあるアーチを作るものなどがあります。また、他の支柱と連結しやすいよう凹凸がある商品を用いれば、連結して使用する際に非常に便利です。

この他にも、土にさしこむ間口の部分を広げられる商品など、使いやすさにこだわったアーチ支柱もあります。

アーチ支柱の選び方

アーチ支柱はサイズや種類が多いことに加えて、使い方は多方面に応用が可能です。そのためアーチ支柱を選ぶ際には、利用場所の広さを確認しておくだけでなく、組み合わせるネットのサイズなども把握しておく必要があります。

事前に目的を確認し、用途に合ったアーチ支柱を選ぶことが大切です。

接ぎ木クリップ

接ぎ木クリップとは

接ぎ木クリップ

接ぎ木クリップとは、野菜や果樹などの苗を接ぎ木する際に用いられる資材のことです。

接ぎ木クリップは農業分野のみならず、家庭菜園や園芸でも使われることから、ホームセンターなどでも容易に入手できます。接ぎ木クリップで接ぎ木することで成功率が高まり、連作障害や病害虫の予防などにも役立ちます。

接ぎ木クリップの使用用途

接ぎ木クリップは、土台となる「台木苗」と育てる果菜類の「穂木苗」とをつなぎ合わせ、1つの株として育てる際の留め具として使用されます。

接ぎ木クリップは、ウリ科のスイカやキュウリをはじめ、トマトやぶどう、ナスなどの果菜類、大菊などの接ぎ木を安定させるために活用されています。

接ぎ木クリップの特徴

長所

  • 使用方法が簡単なので初心者、高齢者でも扱いやすい
  • 穂木と台木を傷めない
  • サイズが複数あるので苗の太さによって選べる
  • 軽量で苗に負担がかからない
  • 紫外線劣化に強い素材なので複数回使用できる

短所

  • 100個からの販売が多いため、家庭菜園では数量が多すぎることがある

接ぎ木クリップの種類

接ぎ木クリップの種類は、主に「チューブ型」「クリップ型」「ピン型」の3種類に大別できます。

1.「チューブ型」の接ぎ木クリップ

「チューブ型」の接ぎ木クリップは、穂木苗と台木苗の切断面が合うように、チューブに差し込んで使用します。透明な素材でできていることが多く、苗の接合部分を確認しやすいのが特徴です。

また、素材の柔軟性が高いので、苗が成長したあとに自然と外れます。チューブ型の接ぎ木クリップは初心者でも使いやすいことから、主流の接ぎ木方法として広く利用されています。

2.「クリップ型」の接ぎ木クリップ

「クリップ型」の接ぎ木クリップは洗濯バサミのような形状をしており、台木の太さに応じてバネ操作強弱できるのが特徴です。茎全体を丸く囲んで挟むタイプや、洗濯バサミのように面で圧をかけるタイプなどがあり、穂木苗と台木苗を挟み込むようにして固定して使います。

トマトやメロンなどの誘引に使う際は、内径サイズが大きいクリップ型の接ぎ木クリップがおすすめです。

3.「ピン型」の接ぎ木クリップ

「ピン型」の接ぎ木クリップは、切断した台木と穂木の中央に真っすぐ刺して使うタイプです。活着率を高めるために、ザラザラした素材を用い、形状を六角形にするなど工夫されています。

ピン型の接ぎ木クリップの径は0.5mm程度、長さは15mm程度と大変細いのが特徴で、斜めにカットする斜め接ぎだけでなく、平らにカットする平接ぎにも使われています。

チューブ型の接ぎ木クリップと比較して1.3倍ほど作業効率が高まる点と、廃棄する必要がない点、初心者でも接ぎ木に成功しやすい点がメリットです。

接ぎ木クリップの使い方

接ぎ木の方法には、「チューブ接ぎ」「割り接ぎ」「呼び接ぎ」などがあります。穂木苗と台木苗がうまく接着して生育できるよう、双方を20~30度の角度で斜めにカットしておくのがポイントです。

1. チューブ接ぎの場合

チューブ接ぎの場合は、台木苗にチューブ型の接ぎ木クリップを装着し、穂木苗の切断面を台木苗に密着させて使用します。

2. 割接ぎ・呼び接ぎの場合

割接ぎや呼び接ぎの場合は、茎の太さや苗の種類に応じたクリップ型の接ぎ木クリップが使われます。

接ぎ木クリップの選び方

新規就農者や家庭菜園で初めて接ぎ木クリップを選ぶ際は、接ぎ木したい苗の種類・形・太さなどに応じて最適なタイプやサイズを選ぶことが大切です。接ぎ木クリップの商品説明欄には対象となる植物の名前が記載されていることが多いので、購入時の参考にしてください。

果樹への種ナシ化を施すジベレリン処理の目印に使用するなら、同じサイズでカラーが違う商品を選ぶのがおすすめです。

接ぎ木クリップのその他情報

接ぎ木するメリット

接ぎ木には接ぎ木クリップの活用が欠かせません。接ぎ木した際のメリットは大きく3つあります。

  1. 連作障害に感染するリスクを軽減できる
  2. 背が高い植物を誘引してコントロールしやすくなる
  3. 果実の収穫期間の短縮や収量増加が期待できる

台木に近縁種を選ぶことで、連作障害や病害虫への抵抗力が高まります。

土壌殺菌剤

土壌殺菌剤とは

土壌殺菌剤とは、土壌中に存在する有害な病原菌を殺すために用いる薬剤のことです。

土壌殺菌剤は古くから農業用途に広く用いられますが、化学物質であるため使用方法を誤ると人体に害を及ぼしたり、臭気によって近隣環境に問題を与えたりする恐れがあります。さらに、土壌に残留すれば薬害発生の原因ともなるため、使用方法・量を順守して使用することが重要です。

土壌殺菌剤の使用用途

土壌殺菌剤の使用用途としては、連作障害の回避、土壌病害の軽減、土壌病害虫の防除が挙げられます。これらの現象は互いに密接に関係しています。

連作障害は同じほ場で同じ作物を作り続けることで、土壌中の成分バランスが崩れたり、病害虫が発生したりする障害です。土壌殺菌を実施することで、これらの悪循環を解消・予防できます。

また、集中豪雨などによる冠水が発生すると、病害菌などの発生につながる恐れがあり、このような場合にも土壌殺菌剤が用いられます。

土壌殺菌剤の特徴

長所

太陽の光や防虫効果のある植物を利用して殺菌する手間や時間を考えると、土壌殺菌剤は使用方法に従い適切に使用することにより、より早く・的確に効果を発揮することができます。

短所

化学的な殺菌方法であるため使用方法を誤ると、ほ場だけでなく人体にも悪影響を及ぼします。また、使用時の作業が簡単になるほど、薬剤も高価になる点も短所の1つです。

土壌殺菌剤の種類

土壌殺菌剤は発生する病害虫や使用時期、ほ場の状態によって使用する薬剤が異なります。有効成分によって効果が変わるため、使用時期や用途などを考慮したうえで選定することが重要です。

1. クロルピクリン

薬剤名はクロールピクリン、ドジョウピクリンなどがあります。幅広い種類の農作物に利用可能で、かび・細菌・害虫・センチュウ・雑草と多岐にわたり有効です。土壌注入タイプの薬剤で、気化しやすいのでフィルムなどで被覆する必要があります。地温が低いと (10℃以下) 、効果が現れにくくなります。

2. D-D

薬剤名はD-D、テロンなどが挙げられます。主に害虫やセンチュウに効果を発揮します。土壌注入タイプの薬剤で、クロロピクリンと同様の処理方法です。

3. クロルピクリン+D-D (混合剤)

クロルピクリンとD-Dを配合した薬剤で、ソイリーン、ダブルストッパーが挙げられます。配合することによって両者の利点を生かし、かび・細菌・害虫・センチュウ・雑草と、幅広い効果があります。

特に殺センチュウ力に有効的です。クロルピクリン剤より刺激臭が抑制され、ビニルハウス内でも使用しやすいのが利点と言えます。なお、処理方法は土壌注入です。

4. ダゾメット

ガスタード微粒剤、バスアミド微粒剤の薬剤が挙げられます。かび・細菌・雑草に効果的ですが、害虫・センチュウには効果がやや劣ります。処理方法は、土壌混和です。

混和後ガス化するので、フィルムによる被覆か散水することによりガスの発生を抑制します。地温に注意が必要です (10~15℃程度) 。微粒剤なので、手や散布機で散布しやすく、散布状態を目視できます。

5. カーバムNa塩

薬剤はキルパーなどです。かび・細菌・雑草に有効的で、害虫・センチュウには効果がやや劣ります。土壌の表面に散布する液剤タイプが主で、ジョウロや専用散布機をトラクターに取り付けて簡単に散布できるので、土壌注入より取り扱いやすいのが利点です。

6. MITC+D-D (混合剤)

メチルイソチオシアネート油剤とD-D剤を混合した薬剤で、ディ・トラペックスサイドが挙げられます、かび・細菌・害虫・センチュウ・雑草にと幅広い効果があります。刺激臭が比較的少なく、取り扱いやすい薬剤です。主な処理方法は土壌注入で、土壌消毒機で効率よく使用することができます。

土壌殺菌剤の使い方

土壌殺菌の効果を発揮するには、下準備として被害残渣をできるだけほ場外に持ち出す必要があります。トラクター、ロータリーなど作業に使用する泥を落とし、未消毒土の混入を防止します。

薬剤によって処理方法が異なりますが、土壌注入タイプの場合、手動の注入機や機械などで土壌に注入していきます。表面散布の場合は、散布機などで表面散布していきます。希釈する場合は、記載されてある使用方法に従い希釈しましょう。

また、土壌に触れるとガスが激しく発生する場合は、すぐにトラクターなどで耕運し、必要であればフィルムによる被覆を行います。約7~14日のくん蒸期間を置き、さらに約3~14日のガス抜き期間を経て、は種や定植が可能になります。

薬剤散布とフィルム被覆を同時に行う機械や、トラクターに取り付け可能な専用散布機もあるので、それらの機械を使うと効率的です。

水稲育苗

水稲育苗とは

水稲育苗

水稲育苗とは、水稲栽培において水田に移植することを前提とした苗を育てる作業のことです。

水稲栽培には、直接水田に種籾をまく「直播栽培」と、あらかじめ育てた苗を水田に植え付ける「移植栽培」の2通りの方法があります。

日本の水稲栽培では田植え機をメインで使うため、後者の移植栽培が広く普及しています。また、若干の地域差はあるものの、一般的に3月から水稲育苗作業が始まります。

水稲育苗の使用用途

水稲育苗は、あらかじめ育苗箱で育てた苗を、田起こし・代掻きが終わった水田に移植して使用します。育苗箱から苗を取り出してから田植え機にセットし、1株が育苗3~5本ずつになるように田植えを行います。

田植え機で苗を移植できない角部分は、手植えで田植えします。

水稲育苗の特徴

水稲育苗の長所と短所を紹介します。

長所

1. 品質のよい米を作れる
抵抗力が弱い水稲苗を、環境的にコントロールしやすいビニールハウス内などで育てることで、健全な苗を得られます。また、稲の成長と収穫時期を揃えられるため、結果として安定した収量や品質のよい米を収穫できます。

2. 根張りを良くする
ビニールハウス内に作った簡易プールに育苗箱を設置して育てる「プール育苗」により、根張りを良くすることができます。

3. 雑草に負けない水稲栽培が可能
雑草よりも生育が進んだ苗を田植えするため、雑草に負けない水稲栽培が可能です。

4. 均等な成長が望める
育苗箱で健全に育った苗の草丈は比較的揃っているため、田植え機に設置しやすいだけでなく、均等な成長が期待できます。

5. 収穫が安定する
水稲育苗作りなどの栽培方法は、全国各地の気象条件に応じて確立しており、収穫の安定化につながっています。

例えば、宮崎県などの温暖地では、台風被害を免れるために水稲早期栽培が奨励されており、水稲育苗による苗の田植えから収穫を早期に完了させることで、収穫の安定化を図っています。

短所

1. 手間・費用などがかかる
水稲育苗は手間がかかるだけでなく、育苗箱や育苗シート、育苗培土、消毒剤、農薬、播種機などの資材購入費用がかかります。

また、ハウスや畑などの育苗場所も必要です。催芽した種もみを育苗箱で育てる水稲育苗期間は約20~25日かかり、ハウス内の温度管理や通気性管理、灌水作業などの労力も要します。

2. 育苗を失敗する可能性がある
育苗いかんで作柄が大きく左右されるため、失敗できない点は水稲育苗の短所です。質がよくない苗と健全な苗が混在するだけでも、生育ムラや収量・品質低下を招きます。

新規就農者など不安がある人は、ベテラン農家がまとめて水稲育苗しているケースもあるので相談してください。その他、JAを通じて、すぐに田植えが可能な水稲苗を購入できます。

水稲育苗の種類

水稲育苗の種類は、直播栽培と移植栽培に大別できます。また、日本の水稲栽培の98%は、移植栽培を採用しています。

1. 直播栽培

直播栽培とは、田植えの代わりに種籾を田に直接播く栽培方法のことです。直播栽培は、育苗作業と移植作業が省略されるため、労力軽減や時間短縮、人件費・資材費をカットできます。また、直播栽培の導入により経営規模の拡大が可能となります。

しかし、苗よりも雑草の生育が早い点や、天候による発芽の遅れ、根張りの浅さ、倒伏などの生育不良を起こしやすい短所があります。

2. 移植栽培

移植栽培とは、育苗箱に培土もしくは水稲育苗マットをセットして種籾を育てる栽培方法のことです。自動播種機に育苗箱を流し、灌水・種籾播き・覆土をして播種作業を完了させます。

手播きの場合は、灌水後の育苗箱に播種板で種籾を落とし、覆土機で覆土します。移植栽培に使う苗を育てるには、「種子の塩水選」「消毒」「浸種」「催芽」「播種」「出芽」「育苗管理」の作業工程が必須です。

水稲育苗のその他情報

水稲育苗の期間

水稲育苗は、稲の成長や収穫を左右する重要な位置付けです。水稲育苗期間は、約20~25日の間に実施されます。

慌ただしい時期の時間短縮や労力の削減を図るには、便利な育苗資材を活用することをおすすめします。

例えば、培土よりも3割ほど軽量化が図れる「水稲用育苗マット」や、安全に育苗箱を軽トラに乗せて運べる「育苗箱用の枠」、育苗箱を道路から田植え機まで容易運べる「苗供給レール」などが販売されています。