接ぎ木クリップとは
接ぎ木クリップとは、野菜や果樹などの苗を接ぎ木する際に用いられる資材のことです。
接ぎ木クリップは農業分野のみならず、家庭菜園や園芸でも使われることから、ホームセンターなどでも容易に入手できます。接ぎ木クリップで接ぎ木することで成功率が高まり、連作障害や病害虫の予防などにも役立ちます。
接ぎ木クリップの使用用途
接ぎ木クリップは、土台となる「台木苗」と育てる果菜類の「穂木苗」とをつなぎ合わせ、1つの株として育てる際の留め具として使用されます。
接ぎ木クリップは、ウリ科のスイカやキュウリをはじめ、トマトやぶどう、ナスなどの果菜類、大菊などの接ぎ木を安定させるために活用されています。
接ぎ木クリップの特徴
長所
- 使用方法が簡単なので初心者、高齢者でも扱いやすい
- 穂木と台木を傷めない
- サイズが複数あるので苗の太さによって選べる
- 軽量で苗に負担がかからない
- 紫外線劣化に強い素材なので複数回使用できる
短所
- 100個からの販売が多いため、家庭菜園では数量が多すぎることがある
接ぎ木クリップの種類
接ぎ木クリップの種類は、主に「チューブ型」「クリップ型」「ピン型」の3種類に大別できます。
1.「チューブ型」の接ぎ木クリップ
「チューブ型」の接ぎ木クリップは、穂木苗と台木苗の切断面が合うように、チューブに差し込んで使用します。透明な素材でできていることが多く、苗の接合部分を確認しやすいのが特徴です。
また、素材の柔軟性が高いので、苗が成長したあとに自然と外れます。チューブ型の接ぎ木クリップは初心者でも使いやすいことから、主流の接ぎ木方法として広く利用されています。
2.「クリップ型」の接ぎ木クリップ
「クリップ型」の接ぎ木クリップは洗濯バサミのような形状をしており、台木の太さに応じてバネ操作強弱できるのが特徴です。茎全体を丸く囲んで挟むタイプや、洗濯バサミのように面で圧をかけるタイプなどがあり、穂木苗と台木苗を挟み込むようにして固定して使います。
トマトやメロンなどの誘引に使う際は、内径サイズが大きいクリップ型の接ぎ木クリップがおすすめです。
3.「ピン型」の接ぎ木クリップ
「ピン型」の接ぎ木クリップは、切断した台木と穂木の中央に真っすぐ刺して使うタイプです。活着率を高めるために、ザラザラした素材を用い、形状を六角形にするなど工夫されています。
ピン型の接ぎ木クリップの径は0.5mm程度、長さは15mm程度と大変細いのが特徴で、斜めにカットする斜め接ぎだけでなく、平らにカットする平接ぎにも使われています。
チューブ型の接ぎ木クリップと比較して1.3倍ほど作業効率が高まる点と、廃棄する必要がない点、初心者でも接ぎ木に成功しやすい点がメリットです。
接ぎ木クリップの使い方
接ぎ木の方法には、「チューブ接ぎ」「割り接ぎ」「呼び接ぎ」などがあります。穂木苗と台木苗がうまく接着して生育できるよう、双方を20~30度の角度で斜めにカットしておくのがポイントです。
1. チューブ接ぎの場合
チューブ接ぎの場合は、台木苗にチューブ型の接ぎ木クリップを装着し、穂木苗の切断面を台木苗に密着させて使用します。
2. 割接ぎ・呼び接ぎの場合
割接ぎや呼び接ぎの場合は、茎の太さや苗の種類に応じたクリップ型の接ぎ木クリップが使われます。
接ぎ木クリップの選び方
新規就農者や家庭菜園で初めて接ぎ木クリップを選ぶ際は、接ぎ木したい苗の種類・形・太さなどに応じて最適なタイプやサイズを選ぶことが大切です。接ぎ木クリップの商品説明欄には対象となる植物の名前が記載されていることが多いので、購入時の参考にしてください。
果樹への種ナシ化を施すジベレリン処理の目印に使用するなら、同じサイズでカラーが違う商品を選ぶのがおすすめです。
接ぎ木クリップのその他情報
接ぎ木するメリット
接ぎ木には接ぎ木クリップの活用が欠かせません。接ぎ木した際のメリットは大きく3つあります。
- 連作障害に感染するリスクを軽減できる
- 背が高い植物を誘引してコントロールしやすくなる
- 果実の収穫期間の短縮や収量増加が期待できる
台木に近縁種を選ぶことで、連作障害や病害虫への抵抗力が高まります。