ウェブクリーナー

ウェブクリーナーとは

ウェブクリーナーとは、ロールtoロール装置のライン上に設置され、搬送中のウェブ (基材) 表面に付着した微細な異物や粉塵、静電気によるチリなどを除去するための機器です。

フィルムや紙などのシート状素材を巻き取りながら加工するシステムであるロールtoロール装置において、異物混入による品質低下を防止する目的で設置され、主に電子部品やディスプレイなどの精密な製造工程で利用されます。

ウェブクリーナーには接触式と非接触式があります。接触式は粘着ロールやクリーニングブレードをウェブに直接当てて異物を取り除く方式で、高い除去性能が特長です。非接触式はエアーブローや真空吸引、イオナイザーなどを用いて、物理的な接触を避けながら異物を除去するため、基材へのダメージを抑えられます。

ウェブクリーナーの使用用途

ウェブクリーナーは、大きく分けて以下の用途で使用されています。

1. エレクトロニクス分野 (電子部品・ディスプレイ製造)

半導体、プリント基板、ディスプレイ類、太陽電池などの製造工程において、ウェブクリーナーは極めて重要です。これらの製品は、わずかな異物でも電気的特性の不良や画質の欠陥に直結するため、表面のミクロン単位の塵やパーティクルを徹底的に除去する必要があるため、ウェブクリーナーが不可欠です。

2. フィルム・シート製造

光学フィルム、医療用フィルム、機能性シートなどの製品は、透明性、平滑性、機能性が求められるため、原料粉や裁断屑、空気中の浮遊塵などが表面に付着すると、製品の外観不良や機能低下を引き起こします。ウェブクリーナーは、これらの異物を除去し、高品質なフィルム・シート製品の安定供給に貢献します。

3. 印刷・ラミネート分野

印刷工程や、複数のフィルムを貼り合わせるラミネート (積層) 工程でもウェブクリーナーが活用されます。印刷面への異物付着は、インクの転写不良や印刷欠陥の原因となります。また、ラミネート工程では、異物が挟まることで接着不良や気泡が発生するリスクがあります。これらの問題を未然に防ぎ、クリアで高品質な印刷物や積層品の製造を支援します。

ロールtoロール装置

ロールtoロール装置とは

ロールtoロール装置とは、フィルム状の柔軟な基材を、巻き出し (アンワインド) から巻き取り (リワインド) まで連続的に処理するための製造装置です。

名前の通りロールからロールへ基材を移動させながら、印刷、塗布、乾燥、積層、パターニング、検査などの工程を一連で行うことができます。この方式は、製造工程の連続性と大量処理能力に優れているため、コスト削減や生産効率の向上を目的にさまざまな分野で採用されている装置です。シート状の処理に比べて高速処理が可能なため、量産用途に特化した製造装置として用いられています。

ロールtoロール技術では、基材の搬送精度が非常に重要です。わずかなズレでも印刷や塗布に影響を与えるため、張力制御や位置補正、温度管理などの高度な制御技術が必要です。

ロールtoロール装置の使用用途

ロールtoロール装置は、フィルム状基材を使う製造分野において、以下のような多岐にわたる用途で使用されています。

1. 電子デバイス製造

フレキシブルディスプレイ、有機EL、太陽電池、フレキシブルプリント基板などの製造にロールtoロール装置が用いられています。これらの製品は、曲げ可能で軽量な特性を持つため、効率的な大量生産に適した生産方式です。

2. パッケージングおよび印刷業界

包装材やラベル、医薬品のブリスターパックなどの製造でも広く活用されています。グラビア印刷やフレキソ印刷によってフィルムに図柄を印刷し、ラミネートやコーティングを施す工程が連続的に行われ、短時間で大量生産が可能です。食品包装や工業用ラベルなど、大量に需要がある製品に最適です。

3. エネルギー関連製品の製造

リチウムイオン電池の電極 (正極・負極) 製造にもロールtoロール装置が使われています。電極材料の塗工、乾燥、圧延、スリットといった工程を連続して行うことで、バッテリー性能の均一化と生産性の向上を実現しています。

ダブルトーションばね

監修:サミニ株式会社

ダブルトーションばねとは

ダブルトーションばねとは、ねじりの力を利用して回転運動に抵抗するばねの一種で、2つのトーションばねを連結した構造を持つばね製品です。

トーションばねは、コイルが円周方向からの外力に対して、ねじれることで反発力を生み出すばねで、変位が角度で表されます。ダブルトーションばねは、コイル部分が同軸に二つあるのが特徴です。同じ角度の変位でトーションばねの2倍のばね力を得ることが可能です。

1つのトーションばねで大きなばね力を得たい場合、初期のねじり角度を大きくするか、または線径を太くする必要があります。しかし、これらの方法以外でダブルトーションばねの利用が有効な選択肢となります。

なお、ダブルトーションばねは「ダブルキックばね」とも呼ばれます。

ダブルトーションばねの使用用途

ダブルトーションばねは、必要となるばね力やスペース、コストなどの要件から選定されるものです。そのため様々な用途に用いられますが、以下のような使用実績があります。

1. 自動車内装部品

自動車のシートにはリクライニング機構がありますが、リターン機構として、ダブルトーションばねが用いられます。またコンソールボックス、グローブボックスの蓋の開閉機構などで使用されることもあり、滑らかで安全な開閉動作に欠かせない部品です。

2. 自動車用クラッチ

自動車では内装部品以外にも、クラッチのリターンスプリングとして用いられています。主に大型の自動車に採用されています。長期間の使用でも耐久性を維持するための材料選定や、加工時のキズの発生などにも特に配慮した生産が必要です。

3. ドアノブ・カギ

主に機械設備の制御盤など、普段は扉に収納されていて、カギを使用するときにノブとなるアームが起き上がる構造のドアノブがあります。このようなドアノブやカギの部分にダブルトーションばねが用いられています。

本記事はダブルトーションばねを製造・販売するサミニ株式会社様に監修を頂きました。

サミニ株式会社の会社概要はこちら

ガータースプリング

監修:サミニ株式会社

ガータースプリングとは

ガータースプリング (Garter Spring) とは、鋼線などを用いて作られた小型の引張コイルばねを輪 (ループ) 状に連結した特殊なばね製品です。
主にオイルシールや回転機構のシール部などで使われます。ばねの両端をフック、カシメ、または溶接によって接続することで、連続した環状の形状を保つのが最大の特徴です。

「Garter (ガーター) 」という言葉はストッキングがずり落ちるのを防ぐためのガーターリングに由来するものです。ガータースプリングは小型ながら、精密で均一な張力を維持することができるため、摩擦・密封・保持などの用途で非常に高い効果を発揮します。

ガータースプリングは通常、ピアノ線、ステンレス鋼線、炭素鋼線などのばね用鋼線で製造されています。

ガータースプリングの使用用途

1. オイルシールの補助ばね

ガータースプリングの最も一般的な用途は、オイルシール (リップシール) に組み込まれてシール力を補助することです。オイルシールは、軸とハウジングのすき間から潤滑油が漏れたり、異物が侵入したりするのを防ぐ役割を担っていますが、ガータースプリングを内蔵することで、リップ部が回転軸に一定の押し付け力をかけ続けることが可能になります。このばねの力が均一であることにより、軸との間に適度な接触圧を保ち、密封性を向上させながらも摩耗や発熱を抑えるという重要なバランスを保つことができます。

2. ダストシール・グリースシール

オイルシールだけでなく、ダストシール (防塵) やグリースシール (潤滑保持) にもガータースプリングは使用されます。これらのシールは環境粉塵や水分の侵入を防ぐ役割を持ち、ばねの均等な引張力がシール性能の安定性を確保します。

3. モーターやポンプ類の軸封装置

回転体を持つ電動モーター、油圧ポンプ、コンプレッサーなどの回転軸部分でも、ガータースプリング入りのシールが不可欠です。特に長時間の高回転や温度変化の大きい環境では、シール材の変形を補う柔軟なばねの働きが重要になります。

本記事はガータースプリングを製造・販売するサミニ株式会社様に監修を頂きました。

サミニ株式会社の会社概要はこちら

防振ばね

監修:サミニ株式会社

防振ばねとは

防振ばねとは、振動や衝撃を軽減・吸収する目的で用いられるばね製品です。

例えば自動車では、路面からの振動や衝撃を吸収するためにコイル状のばねとともに、振動エネルギーを減衰させるための装置が一緒に用いられています。防振ばねは、ばねの機能に加えて、振動エネルギーの減衰機能も兼ねたばね製品のことです。

例えばコイルばねの鋼線の周囲を粘弾性体で覆うことなどにより、振動エネルギーを減衰させる方式などがあります。一般的なばねに比べると、振動の繰り返し数 (周期) を減らし、揺れの大きさも小さくする効果が得られます。

振動は、放置すると装置の性能劣化や故障の原因となるほか、周囲の騒音や不快感、構造物への損傷にもつながりかねません。そのため、振動を制御し、機器や周辺環境の安定を図るために、防振ばねが利用されます。

防振ばねの使用用途

防振ばねは、産業分野から日常生活まで、幅広い場面で活用されています。

1. 空調機器・送風機

屋上や機械室に設置された大型空調機や送風機は、運転中に絶えず振動を発生させます。これらの機器を架台に固定し、間にコイルスプリング型の防振ばねを挿入することで、振動が建物の構造体へ伝わるのを防ぎ、騒音や共振の発生を抑制します。

2. 発電機・コンプレッサー

ディーゼル発電機や空気圧縮機などの大型機械は、高速回転や圧縮運動に伴い強い振動が発生するものです。これを床面や基礎に直接伝えると、周囲の構造物や配管に損傷が及ぶ危険があります。そこで、鋼製ばねによる防振装置を用いることで、安全性と機器の耐久性が向上します。

3. 精密機械・電子機器

精密機械や電子機器が使用される環境には、周囲から振動が伝わる場合もあります。振動が機械の機能や性能に影響を及びにくくするために、防振ばねの利用が有効です。

4. 検査機器・計測機器

検査や計測に用いられる機器においても、振動を取り除かなければならないものがあります。例えばばね秤では、対象物を乗せて揺れたままだと、正確な重さを測ることができません。防振ばねは検査や計測機器でも重要な役割を果たします。

本記事は防振ばねを製造・販売するサミニ株式会社様に監修を頂きました。

サミニ株式会社の会社概要はこちら

特定小電力無線モジュール

特定小電力無線モジュールとは

特定小電力無線モジュールとは、総務省が定める「特定小電力無線局」の規格に基づき、免許や資格なしで利用できる無線通信を実現するためのモジュール製品です。

微弱の出力で利用されるもので、近距離での無線通信を可能にするために設計されているモジュールです。このモジュールでは315MHz、400MHz帯、920MHz帯などの無線を扱う製品が多く、さまざまなデータ通信に使用されています。WiFIなどに用いられる2.4GHzや5GHz帯と比べると伝送速度では劣りますが、電波到達性の高さ、消費電力が少ない、電波干渉が少ないなどのメリットがあります。また製品には電波法で定めている技術基準に適合していることを証明する「技適マーク」が付けられています。

特定小電力無線モジュールの使用用途

特定小電力無線モジュールは、様々な分野で活用されています。代表的な使用用途として以下が挙げられます。

1. IoTセンサーの無線通信

温湿度や照度、CO2濃度などのセンサーデータを無線で収集する用途に適しています。住設機器の監視、さまざまなメータの自動検針、工場やビル管理、農業分野でのセンシングネットワークに利用されています。配線不要なため設置が容易です。

2. 遠隔監視・制御システム

防災機器 (河川水位監視、土砂崩れセンサー) や設備監視 (機械の稼働状況のモニタリング) など、リアルタイムの情報収集と通知に活用されます。必要な情報だけを定期的に送信する用途に最適です。

3. 無線リモコン・無線スイッチ

工場の生産ライン制御や、電気機器のON/OFF制御など、簡単な信号伝達にも使われます。ドアの開閉、呼び出しスイッチなども使用用途の一例です。

4. 物流・在庫管理システム

RFIDタグとの連携や無線による棚卸しデータの送信など、倉庫内での無線通信にも利用されています。自動化や省人化を促進する技術の一翼を担っています。

ラベル剥離機

監修:株式会社滝田

ラベル剥離機とは

ラベル剥離機とは、ロール状やシート状のラベルを台紙から自動的に剥がす装置です。

ラベルは、製品のパッケージや物流管理、店舗の値札などあらゆる業種で使用されており、手作業で1枚ずつ剥がす作業は時間と労力を要します。そこで活躍するのがラベル剥離機です。

この機械は、ラベルの台紙を装置にセットし、ローラーやセンサーによってラベルを1枚ずつ剥がして送り出します。作業者は剥がされた状態のラベルをそのまま手に取って貼ることができるため、作業スピードが飛躍的に向上します。手動で操作できる卓上型から、自動貼付機能付きの大型機まで多様な製品を選ぶことが可能です。

近年では、省人化・効率化を目的とした現場改善の一環として多くの企業が導入を進めており、作業の生産性向上やミス削減にも貢献しています。

ラベル剥離機の使用用途

ラベル剥離機は様々な業界で利用されています。

1. 製造業での製品ラベル貼付

製造業では、製品に貼付する成分表示、ロット番号、バーコードなどのラベルを大量に扱います。これらのラベルを手作業で剥がすには時間がかかり、人為的なミスも起こりがちです。ラベル剥離機を導入することで、作業スピードが格段に向上し、均一で正確なラベル貼付が実現できます。生産ラインでの流れを止めず、スムーズな運用が可能になります。

2. 物流業での仕分け・出荷作業

物流センターなどでは、出荷ラベルや管理用バーコードの貼付作業が日常的に行われます。ラベル剥離機を使うことで、作業者がラベルを一枚ずつ素早く取り出せるため、ラベル貼付工程の時間短縮につながります。また、作業負荷の軽減により、長時間作業による疲労や貼り間違いのリスクも低減されます。

3. 小売業での価格表示や販促ラベル貼付

小売業では、商品の値札やセール用のラベル、販促ステッカーなどを頻繁に貼り替えます。特にセール期間中など、短時間で大量のラベル処理が必要な場合に、ラベル剥離機が作業効率の向上に役立ちます。コンパクトな卓上タイプであれば限られたスペースの店頭でも使いやすく、作業の効率化とスタッフの負担軽減に繋がります。

本記事はラベル剥離機を製造・販売する株式会社滝田様に監修を頂きました。

株式会社滝田の会社概要はこちら

静電容量式タッチパネル

静電容量式タッチパネル

静電容量式タッチパネルとは、タッチ操作によって電気的な変化を検出し、入力位置を認識するタイプのタッチデバイス製品です。

主に、指や導電性のあるスタイラスペンなどの接触により、パネル内部の静電容量 (キャパシタンス) の変化を感知して位置を特定します。

この方式の大きな特徴は、圧力を加えなくても軽く触れるだけで反応する高感度な操作性が得られることです。また透明電極なので画面の表示品質を損なわず、視認性の高い表示とタッチ入力を両立できる点も大きな利点です。

静電容量式には2つの構造があります。「表面型」は構造が単純でコスト面に優れますが、マルチタッチには対応していません。「投影型」は複数点同時入力やジェスチャー操作に対応しており、現在主流となっているタイプです。

静電容量式タッチパネルの使用用途

静電容量式タッチパネルはさまざまな製品や装置に採用されています。以下に代表的な用途を紹介します。

1. スマートフォン・タブレット

現在販売されているスマートデバイスのほとんどに搭載されているのが、投影型静電容量式のタッチパネルです。スワイプ、フリック、ピンチイン・アウトといった直感的な動作に対応し、操作性が極めて高いため、日常使用における快適さを大きく向上させています。

2. ノートPC・ディスプレイ端末

2-in-1型ノートパソコンやタッチモニターにも広く用いられ、ペン入力や手のひら検出といった高精度かつ多機能な操作を可能にしています。

3. 車載システム

自動車においても、ナビゲーション、オーディオ、空調操作といったさまざまなコントロールにタッチパネルが採用されるようになりました。反応速度の速さと耐環境性能の高さから、静電容量方式、特に投影型が選ばれることが多くなっています。

4. 医療・産業分野

操作中に手袋を着用することが多い医療機器や、油分・粉塵のある環境下で使用される産業用装置でも静電容量式が利用されています。表面に強化ガラスを使えば耐久性・耐薬品性が高く、安全性と衛生性が確保できるのがメリットの一つです。

押込み試験機

押込み試験機とは

押込み試験機とは、対象物に対して垂直方向の荷重を加え、変形や破壊の過程を測定することで、その接合部や素材自体の強度を評価するための試験装置です。

通常は、溶接ナットの溶接強度を測定する専用試験機として扱われています。自動車や産業機械、家電製品などでは、薄板部品にナットを溶接し、ボルトで固定する構造が多用されています。こうした溶接ナットがしっかりと固定されていないと、組み立て中のトラブルや使用中の部品脱落といった重大な不具合を引き起こしかねません。押込み試験機は、溶接されたナットに対して圧力を加え、ナットが剥がれるまでに必要な荷重 (押込み強度) を測定します。これにより、接合状態が規定の基準を満たしているかどうかを定量的に評価することができます。多くは手動の油圧プレスとロードセルを組み合わせたものです。

押込み試験機の使用用途

押込み試験機は通常、溶接ナットの押込みはく離強さを確認するために使用される装置です。試験方法はJIS B 1196「溶接ナット」付属書Aに記載されています。

1. 工程監視

溶接ナットの溶接品質を維持するために、定期的な試験によって製造ラインの溶接品質を監視・維持します。試験は生産工程の近くで実施できると作業者の負担が減らせるため、コンパクトな試験機が求められます。

2. 開発評価

押込み試験機は、新製品の開発・設計段階での強度評価でも使用されます。新しい溶接条件や材料を採用する際、その信頼性を事前に検証するために、溶接ナットの押込みはく離試験が行われます。

3. 溶接技術の習得

溶接は、作業者のスキルが不十分だと期待される接合強度を得ることができません。押込み試験機によるはく離強度を確認することによって、作業者の溶接スキルを確認することができます。

4. 溶接はく離強度試験以外の試験

製品によっては、アタッチメントなどによって、溶接ナットだけでなく圧入部品や接着構造、カシメ部品、引張り試験などなど、各種の接合評価にも応用することができます。

ケイカル板

監修:日本インシュレーション株式会社

ケイカル板とは

ケイカル板は、正式には「ケイ酸カルシウム板」と呼ばれる建築資材です。

ケイ酸カルシウムを主成分とし、補強材として繊維を混ぜて製造されます。かつてはアスベストが使われていましたが、現在はノンアスベスト繊維が主です。

ケイカル板はJIS A 5430「繊維強化セメント板」において「けい酸カルシウム板」として規定されている建築資材で、主として建物の内装に用いられるタイプ2と、主に柱・はり等の耐火被覆に用いられるタイプ3があります。

ケイカル板は優れた耐火性、断熱性、寸法安定性を持ち、軽量で加工もしやすいため、建築現場で幅広く利用されています。特に日本では建築基準法により、防耐火の規制による不燃材使用や耐火構造の適用が必要となることが多く、ケイカル板はその基準を満たす材料として定着しています。また、ケイカル板は吸湿性もあるため、石膏ボードでは不向きな結露対策や湿気の多い場所にも使いやすい建築資材です。

ケイカル板の使用用途

ケイカル板はその多機能性から、さまざまな用途に使われています。代表的な使用例は以下のとおりです。

1. 天井材・壁材としての使用

JIS A 5430タイプ2のケイカル板は、住宅やビルの内装仕上げ材として使われることが多く、特に防火耐火性が求められる間仕切り壁や天井に使いやすい資材です。不燃性であるため、火災時にも延焼を防ぐ効果があります。また、タイプ3のケイカル板は加工しやすく、柱・はりの耐火被覆材のほか、モルダーで切削加工を施したデザインパネルなどに使用されています。

2.柱・はりの耐火被覆材

物流施設やオフィスビルなどの鉄骨造建物の柱・はりが火災で損傷しないように、タイプ3ケイカル板で被覆する工法が、建築基準法の耐火構造認定として認められています。また免震装置の耐火被覆材としても多く使用されています。

3. ダクトや配管周りの耐火被覆材

空調ダクトや電気配線が通るシャフト内の防火区画貫通部など、火災時の延焼リスクがある箇所はケイカル板が貫通孔のふさぎ板として多く使われる場所です。タイプ3のケイカル板は1000℃の耐熱性があり、延焼防止に貢献します。

4. 断熱材としての利用

熱を伝えにくい性質から、ボイラー室や工場の熱源周辺の断熱材としても使われます。耐熱性と断熱性の両方を兼ね備えているのが多く選ばれる理由です。かさ密度130kg/㎥程度の、より軽量で断熱性能に優れた「けい酸カルシウム保温材」 (JIS A 9510) もあります。

5. プレハブ建築

プレハブ建築の壁材なども、ケイカル板が使われる領域です。軽量であること、断熱性もあり火災リスクも低減できるなどの利点から、工場、プレハブ住宅、モジュラーハウスなどに使用されています。

本記事はケイカル板を製造・販売する日本インシュレーション株式会社様に監修を頂きました。

日本インシュレーション株式会社の会社概要はこちら