石灰窒素

監修:明京商事株式会社

石灰窒素とは

石灰窒素とは、農業用資材の一つで、農薬効果、肥料効果、土づくりの3つの効果が得られるものです。

石灰窒素は土壌に施用されると、時間の経過とともに成分が変化し、3つの効果が得られます。最初に農薬効果が得られますが、その後肥料成分へと変化するため、農薬成分が残留しないことも、石灰窒素のメリットの1つです。

国産・ドイツ産の石灰窒素は、農薬取締法の定めによる農林水産大臣の許認可を得ており、農薬登録された資材です。農薬登録された資材は品質や安全性が確認されており、安心して用いることができます。防ぎたい病害虫や雑草ごとに使用量や施用時期、施用方法に従って施用することで、3つの効果を発揮することができます。

石灰窒素の使用用途

石灰窒素は多くの農作物の生産に用いられている肥料です。中でも野菜の栽培には幅広く用いられています。ハクサイ、ホウレンソウ、ネギ、ナス、ダイコン、キャベツ、トマト、タマネギ、サトイモ、ニンジン、キュウリの栽培に用いられています。野菜以外で使用されている作物は、水稲、茶、果樹、いも類、麦、花弁、豆類などです。水稲の稲わら腐熟、麦の麦稈腐熟、茶の選定枝の腐熟など植物残渣を速やかに分解して土壌に還元する腐熟促進の目的で使用されます。

石灰窒素の性質

石灰窒素は土壌に施用されると、時間の経過とともに成分が変化し、農業用資材として3つの効果を発揮します。

まず製造された石灰窒素の成分は、カルシウムシアナミド、酸化カルシウム、炭素などです。カルシウムシアナミドは土壌中の水によって加水分解しシアナミドに変化します。シアナミドは殺菌・殺虫・殺草などの農薬効果がある成分です。シアナミドはさらに加水反応によって尿素を経て、アンモニア態窒素硝酸態窒素となって肥料効果を発揮します。この過程において、シアナミドから副成されるジシアンジアミドは硝酸化抑制効果を発揮し、アンモニア態窒素から硝酸態窒素への変化のスピードを抑制するものです。結果的に緩効性を発揮することによって、窒素の肥効が長効きし、窒素の流亡を減らすことにつながります。この効果により石灰窒素は農林水産省より「肥効調整型肥料」に認定されています。

また石灰窒素で期待できる土づくり効果は、酸度矯正効果、腐熟促進効果、温室効果ガス排出削減効果、連作障害軽減効果です。土壌中に含まれる有機物の分解が促進され、土壌微生物にとって最適な環境づくりになります。結果的に不純な天候や土壌病害に強い土壌環境へ変化していきます。

石灰窒素の種類

石灰窒素は3つのタイプで製品化されています。

粒状石灰窒素

粒状石灰窒素は機械散布に適した、粒状の石灰窒素です。他のタイプと比較すると粒が大きいため飛散しづらいのが特徴です。また撒いてから窒素成分への分解が早いため、高い肥料効果が期待できます。

粉状石灰窒素

粒状よりも細かく粉状にした石灰窒素です。均一に散布しやすいのが特徴で、そのまま散布する方法以外に、水に懸濁した上澄液を散布する方法が、馬鈴薯の茎葉枯凋用途として使われています。

防散石灰窒素

粉状石灰窒素と比較して、風によって飛び散りにくいサイズの粉状にした石灰窒素です。主に鶏、牛、豚の畜ふんの堆肥化処理に利用されています。

石灰窒素のその他情報

石灰窒素の製造方法

石灰窒素は1901年にドイツのアルバート・フランク博士によって発明され世界で最初に製造が始まりました。日本国内での製造は1909年に始まり、日本の農業でも長く使用されてきた肥料の一つです。

石灰窒素の製造はまず、石炭石を石炭炉で焼成し生石灰にします。また電気炉で生成されるのは、コークスや無煙炭から得られるカルシウムカーバトです。さらに大気から分離した窒素とともに窒素炉で高温反応さることによって石灰窒素は製造されます。

以上の工程によってカルシウムシアナミド、酸化カルシウム、炭素からなる石灰窒素が製造されます。

本記事はドイツ産石灰窒素ペルカを輸入・販売する明京商事株式会社様に監修を頂きました。

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振れ止め金具

監修:株式会社アルティマ

振れ止め金具とは

振れ止め金具とは、建物の天井から吊り下げられている様々な機器や配管などが横振れすることを抑制するために用いられる建築資材の一つです。

振れ止めは建築業界で使われる用語で、天井から吊り下げられているワイヤーや吊りボルトなどと併せて使用されます。

振れ止め金具は、天井から吊り下げられて使用する振れ止め以外にも用いられるものがあります。例えば配管を壁面などに固定するU字ボルトや、断面がL字形状をしているアングル材を組み合わせて作られるスチールラックのコーナー部分で部材同士を固定する金具も、振れ止め金具と呼ばれる資材です。

振れ止め金具の形状や使われる部位は様々ですが、多くはねじで固定される部品です。振れを止めるという外力が作用することが前提の部品のため強度も必要であり、ほとんどが鉄鋼材料で作られています。

振れ止め金具の使用用途

振れ止め金具は主に建築物で、天井から吊り下げられた機器や配管類の横揺れを抑制するために使用されます。鉄骨や鉄筋コンクリート造の大型施設の天井を見ると、様々な配管や照明などが天井から吊り下げられているのを見かけることがあります。振れ止め金具はこのような天井から吊り下げられた部材が横揺れを防止するために用いられる資材です。斜め方向にワイヤーや吊り金具と呼ばれる鉄製の棒材の両端におねじが切られた部材などを固定するために用いられます。

天井から吊り下げられたもの以外には、まず壁に沿って垂直に配置された配管を壁に固定するものがあります。さらにアングル材を組み合わせて作られるスチールラックのコーナー部分で、複数の部材の位置関係がブレないように固定するための部材も、振れ止め金具に分類される資材です。

振れ止め金具の種類

振れ止め金具は用いられる部位や振れ止めの対象となる部材によって、様々な形状をしており、適した製品を選ばなければなりません。

天井から空調機器や配管の振れを止めるために用いられる振れ止め金具では、主に振れを止めるための吊りボルトの設置の仕方によって用いられる振れ止め金具が異なります。

例えば四角形上の空調機器を天井から吊り下げた場合、隣の頂点と交差するように吊りボルトを配置する場合、4つの頂点の外側にそれぞれ平行に触れ止めの吊りボルトを配置する場合、4つの頂点から放射状に吊りボルトを配置する場合などがあります。振れ止め金具は吊りボルトと天井との固定に使われますが、天井面と吊りボルトとの角度がそれぞれ異なるため、両者の固定に適した振れ止め金具を選ぶことが必要です。

天井から吊り下げられた空調機器や配管以外の振れ止め金具は、配管を壁面に固定するU時金具、アングル材を組み合わせて作られるスチールラックなどに用いられる振れ止め金具があります。

振れ止め金具のその他情報

振れ止め金具の表面処理

振れ止め金具は主に建物の内部で用いられますが、天井や壁面の内部など、室内よりも過酷な条件で用いられる部材です。湿気が多い場所で使われることもあるため、メッキや塗装が施されたり、ステンレス材で作られています。

メッキは電気亜鉛メッキ、溶融亜鉛メッキ、ユニクロメッキなどが用いられています。振れ止め金具は日頃は点検しにくい場所に用いられるのが一般的です。使用される環境に適した製品を選ぶことが重要です。

振れ軽減機能付き防振吊り金具

振れ止め金具の中には、振れを積極的に吸収する防振機能を加えた製品もあります。振れ止め金具と吊りボルトを直接固定せずに、両者の間にゴム製のダンパーの役割を果たす部材を挟んだものです。機械の稼働によって細かな振動が常に発生する場合、機械振動を伝えたくない場合には効果が期待できる金具です。

 

本記事は振れ止め金具を製造・販売する株式会社アルティマ様に監修を頂きました。

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壁面緑化

監修:株式会社アルティマ

壁面緑化とは

壁面緑化とは、建物の外壁表面上を植物で覆うことを言います。「緑のカーテン」と呼ばれることもあります。壁面緑化は都市やまちの中に植物を育てるという見た目の効果以外に、空気の浄化、二酸化炭素の削減、ヒートアイランド対策、気温が高い日でも建物の内部の温度を低く保つことによってエアコンの消費電力を低減できるなど、環境保護に関する対策としても有効な手段の一つです。

壁面緑化と同様の目的で行われるものに、屋上緑化があります。高いビルなどで屋上緑化が行われる場合、まち中を歩く一般の方に対する視覚的な効果は期待できませんが、ヒートアイランド現象の緩和や低炭素化などの観点から推奨される取り組みです。

壁面緑化の使用用途

壁面緑化は主に、建物の外観やイメージを向上させる目的と、環境改善の目的で設置されます。まず建物の外観やイメージ向上は、特に都市地域やビル街など、木々や緑が少ない場所で効果が期待できる方策です。緑色はひとの目に優しいとされる色であり、緑色の光の波長は可視光線の波長域のおよそ中央にあります。壁面ではありませんがオフィス環境整備では「緑視率」という指標があります。ひとの視界の面積に対する緑の部分の面積を表した数値であり、集中力を高める上で望ましいとされているのは10~15%程度です。。壁面緑化は都市やまちの中の緑視率を高める効果が期待できます。

環境改善の目的では植物が増えることによって二酸化炭素の削減、空気の清浄化にも効果的です。。さらに植物の葉っぱから水分が蒸発する際の気化熱によって、ヒートアイランド現象を低減する効果が期待できます。

また建物の外壁が植物に覆われることによって、直射日光や風雨に晒されにくくなる点で、壁面の劣化を遅らせる効果もあります。

壁面緑化の原理

壁面緑化が特に環境改善に貢献できるのは、植物による二酸化炭素の吸収と酸素の放出、気化熱による周辺気温の低減によるものです。植物は根から吸収した水分を葉の表面で蒸発させる蒸散作用を行います。蒸散作用で水分が蒸発する際の気化熱によって、周辺環境の熱が奪われます。また葉が物理的な日除けにもなるため、建物内部への直射日光の侵入を妨げ、暑い日には屋内の気温が上昇するのを抑制するのも効果の一つです。

都市部にも緑が増えることは、都市部にも昆虫や鳥類などが生息しやすい環境にもなり、生物多様性の面からも望ましい取り組みになります。

壁面緑化の種類

壁面緑化は壁面に緑を生育させるための資材や方法によって種類を分けることができます。

ユニット型

ユニットはあらかじめ植物を生育させたパネルを、壁面に取り付ける方法です。施工直後から壁面を緑で覆うことができます。植物は壁面に直接生育することになるため、設置については事前検討が重要です。

ワイヤー型

壁面にワイヤーを利用した植物が伝うための土台となるものを設置し、植物をワイヤーなどに這うように生育する方法です。植物はワイヤーを設置した地面などから生育し、上へと生育していきます。

パネル型

パネル型は植物が伸びていく登はんマットと金網を組み合わせたタイプです。登坂マットが保水し植物が根を伸ばして吸水できるため、つる植物などを生育することができます。

壁面緑化のその他情報

壁面緑化に利用される植物

壁面緑化に利用される植物は主につる植物です。植物によって常緑、半楽、落葉に区分けできます。常緑ではヘデラ・カナリエンシス、キヅタ、ツルハナナス、半落植物ではスイカズラ、ツキヌキニンドウ、トケイソウ、落葉植物ではナツヅタ、ノウゼンカズラ、フジなどがあります。

壁面緑化では施工する場所の気候はもちろん、設置する壁面が向く方向によって日射量も変わります。設置場所でも生育しやすい植物と方法を選ぶことが大切です。メンテナンスについても検討しておく必要があります。

 

本記事は壁面緑化を製造・販売する株式会社アルティマ様に監修を頂きました。

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GRCツール

監修:株式会社アトミテック

GRCツール

GRCツールとは、企業などの組織がガバナンス、リスク管理、コンプライアンスを効率的に維持管理していくことを支援するソフトウェアのことです。

ガバナンス (Governance) とは、統治、支配、管理のことで、企業が自ら健全な企業経営を目指すための管理体制をいいます。

リスク管理 (Risk Management) は、自社の経営戦略に関わるリスク、財務状況に関わるリスク、自然災害や事故などによって突然生じるハザードリスク、企業内での瑕疵などによって発生するオペレーションリスクと共に昨今頻繁にニュースになっている取引先や委託先で発生するリスクなどを未然に防いだり、発生した際の被害を最小限に留める活動のことです。

コンプライアンス (Compliance) は法令遵守のことですが、単に法令を守るだけでなく、倫理や社会規範に沿った活動をすることまで含まれます。

GRCツールは企業が健全に活動し、成長を持続して行くために欠かせないツールになっています。

GRCツールの使用用途

GRCツールは企業が健全に企業活動を行い、不測の事故や災害にも適切に対処し、法令や社会規範に反することなく成長を続けて行くために利用されます。

またGRCツールは主にガバナンス、リスク管理、コンプライアンスに関する業務を統合、一元化することによって、作業の効率化を図るために導入されるツールです。

GRCへの対応はとても多岐に渡り、煩雑な作業を伴うものです。ツール利用により、作業の効率化の大事ですが、一方で人的ミスを減らすことができ、それも主な使用目的となります。

GRCツールの種類

GRCツールは大きく「統合型」と「特化型」の二つのタイプに分けられます。

統合型

統合型はGRCに関わる様々な業務に対応できることを特徴としたタイプです。一つのソフトウェアの中に例えば「ガバナンス」「リスク管理」「コンプライアンス」などの用途別に選択肢があり、目的に応じて使用するものです。幅広く対応できますが、逆に特定の機能が欲しい場合には次に示す特化型が向いています。

特化型

GRCに関する業務のうち、特定の用途のみに対応できるツールです。例えば委託先リスク管理に特化したツールや、サプライチェーンマネジメントに特化したツールです。

課題毎に特化した専用ツールの方がきめ細かな対応が期待でき、統合型より費用面で使いやすいケースが多いです。

GRCツールの原理

GRCツールがガバナンスやリスク管理を達成するために行なっている原理には、主に以下のものがあります。

データの一元管理

GRCツールのメリットの一つは、様々な目的を統合して達成できることです。そのためにまずデータの一元管理が行われています。複数の部門がある企業においてもデータの一元管理によって連携が強化され、企業全体としてもGRCの目的を達成することができます。

プロセスの自動化

GRCツールは複雑かつ煩雑な作業でも、人手をかけることなく処理できることも導入する目的の一つです。そのために様々なプロセスを自動化することが可能です。自動化は業務効率の向上だけでなく、人的ミスの発生を防止する上でも重要なポイントです。

柔軟性と適応性GRCツールのその他情報

GRCツールは様々な企業、組織に導入できるよう、柔軟性と適応性にも配慮されています。企業内において新たなシステムを導入することは費用はもちろん、ユーザーの利便性も考慮しなければなりません。既存のシステムへの対応や統合、更新、また新たな規制や環境変化にも柔軟に対応できることが重要です。

GRCツールのその他情報

GRCツールの1つとして委託先リスク管理ツールがあります。委託先リスク管理とはその名の通り、企業の委託先や取引先の管理を目的としたツールです。

委託先リスク管理の目的とは、委託先に起因するトラブルが発生するリスクを許容範囲に収めつつ、業務委託によるメリットを享受することです。表現を変えると業務委託に関するリスクとメリットのバランスを最適に保つことです。

1.委託先リスク管理のプロセス

委託先リスク管理のプロセスとして下記の5つを挙げることができます。

1. 委託先リスク管理体制の確立

委託先リスク管理に関する責任者や担当部署などを決めます。また、委託先リスク管理に関する業務の手順や、委託先に対するリスク評価の観点や基準などを文書化します。

2. 委託先選定時および契約締結時

委託先候補に対する調査結果をもとに委託先のリスクを評価し、必要に応じてリスク低減策の導入・実施を要請します。また契約締結時には、委託先リスク管理のために必要な条項を契約条件に含めるよう交渉します。

3. 契約締結後の再評価および監査

委託先に対して定期的にリスクの再評価を行い、委託先に関するリスクアセスメントを実施します。さらに重要な委託先に対しては監査を行います。

4. 委託先で問題が発生した場合の対処

もし委託先で問題が発生したら、自社への悪影響を最小限にとどめるために迅速に対処します。

5. 継続的改善

委託先管理の効果や効率性などを踏まえて改善を図ります。

2.委託先リスク管理ツール利用のメリット

委託先リスク管理のプロセスはどれも大事ですが、特に契約締結後の再評価は取引が続く限り重要なポイントです。定期的に委託先の経営状態や業務、管理の在り方を監視し、取引継続の可否判断を行います。このプロセスにおいてチェックシートで管理、確認するという方法があります。このプロセスを委託先リスク管理ツールの利用により、自動化することができます。メリットは3点あげられます。

1. チェックシートの自動配信で人的コスト削減

委託先に送付するチェックシートは自動で一斉配信ができ、回答結果の受領や、採点を自動化できるため、アナログでの対応からコミュニケーションを簡素化できるので人的コストを削減することができます。

2. 検索や管理をクラウド化し委託先一覧

カスタマイズ可能なフラグで委託先を管理でき、プラットフォーム上で更新ができるため委託先一覧の管理も効率化できます。表計算ソフトなどで属人化し、情報更新が遅れてがちな対応からは情報のアップデートがスムーズに実現かのうです。

3. プラットフォームで情報共有ができ属人化の防止

管理者に設定されたユーザーであればすべての情報にアクセスでき、個別のメールではなくプラットフォーム上のログにやり取りが残るため属人化を防げ、セキュリティ上でも安心です。

まとめ

委託先リスク管理ではチェックシートの送信や回収が手間という声や、委託先一覧の管理や更新ができていないというアンケート結果がそれぞれ70%弱もあり。(参照:委託先リスク管理の実態調査)

委託先管理担当者の課題解決のためにもGRCツールの検討をお勧めします。

本記事はGRCツールを製造・販売する株式会社アトミテック様に監修を頂きました。

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駐車場照明

駐車場照明とは

駐車場照明とは、駐車場を照らすための照明機器を言います。

駐車場には立体駐車場や地下駐車場などもありますが、一般的に屋外に設置されるものであり、日没から日の出までなど、通常は長時間連続して点灯し続けることが求められます。広いスペースに多くの照明が設置されることも多く、メンテナンスも極力少なくできることが重要です。これらの理由から、現在ではLED照明が主流になっています。

駐車場照明は夜間など暗い時間帯に、駐車場を利用する人たちの利便性や安全面から、大切な役割を担うものです。また車上荒らしなどの犯罪を抑制するためにも、駐車スペースや通路はもちろん、駐車場全体が明るく照らされていることが望ましいとされています。

駐車場照明の使用用途

駐車場照明は、明るさが低い駐車場において明るさを向上させることにより、駐車場の利便性や安全性を高める、または防犯を目的として設置されます。個人住宅の駐車場に設置されるものから、大型商業施設、病院や様々な役所などの公共施設、街中にあるコインパーキングのような有料駐車場などにも設置されています。

駐車場の形態としては平面駐車ができる駐車場、駐車するそれぞれの車が自走して駐車できる立体駐車場、また地下駐車場であれば、駐車場利用時間内は常に明るさを保つために駐車場照明が必要です。

駐車場照明の種類

駐車場照明の種類は、明るさや光が届く範囲、調光ができたり、タイマーによって点灯時間が選択できるタイプもあります。消費電力を抑えるためにも、周囲の明るさによって照明の明るさも変えられることは大切な機能です。

さらに光害 (ひかりがい) という、照明の設置方法や照明の明るさや向きが不適切なことによって、周辺環境に悪影響や迷惑になることを避けなければなりません。

また電源ユニットは、従来は安定器と配線によって接続が必要なものもありましたが、現在は本体に内蔵された製品もあります。光源については現在はLEDが主流で、60,000時間などの高寿長であることは大きなメリットです。

また地中埋込型の駐車場照明もあります。足元を照らすことはもちろん、地上に支柱などもないため、駐車場全体がすっきりとした見栄えになります。耐荷重も高く、大型トラックの重量に耐えられるのも特徴の一つです。一般的なスポットライトだけでなく、駐車スペースや走行路を示すバーライト・テープライトなどのライン形状の製品を選ぶこともできます。

駐車場照明のその他情報

駐車場照明の明るさ

駐車場の照明に求められる明るさは、駐車場法施行令の第十三条に記載があります。この法令によると自動車の車路の路面は10ルクス以上、自動車の駐車の用に供する部分の床面は2ルクス以上と定められています。以下で説明しますが照度は照明からの距離によって変わるので、照明設備の明るさと照らせる範囲を確認して設置することが重要です。

明るさを示す単位

日中の明るさや照明、テレビやPCモニターなどの明るさには、様々な単位が用いられます。前述の駐車場法施行令に記載されているルクスは照度といい、単位面積あたりに入射する光束量を示したものです。単位はルクス (lux またはlx) が用いられます。

光束とは、光源からある方向に放射された光の明るさのことであり、単位はルーメン (lm) です。照度は距離によって変化するものであり、光源からの距離の2乗に反比例するという「照度の逆2乗則」があります。

一方でルーメンは照明器具固有の値で変わりません。ルクスとルーメンは、例えば地震が発生した際に、観測地点によって震度は異なりますが、地震の規模を表すマグニチュードは一定の値であるのと類似の関係にあります。

出庫警報システム

出庫警報システムとは

出庫警報システムとは、駐車場などから車両が道路に出ることを周囲に知らせるシステムのことです。

例えば駐車場から車両が道路へ出ようとする場合、一般道路であれば歩道を横切らなければなりません。歩行者の安全を守るため、出庫警報システムによって車両が歩道を通過しようとしていることを伝えることによって、事故の発生を予防することができます。交通量の多い道路であれば、車両同士の接触事故を防ぐ役割も担います。

出庫警報システムは駐車場を管理する、車路管理システムの一つです。車路管理システムには出庫警報システム以外に、駐車場が満車になったことを知らせる満車管理システムや、駐車場を利用している車の台数を知らせる在車管理システム、車を駐車場の空きスペースなどに誘導する場内誘導システムなどがあります。

出庫警報システムの使用用途

出庫警報システムは、主に駐車場から車両が出ようとしていることを、周囲の人や通行中の車両に知らせるために設置されます。設置される場所の多くは駐車場ですが、駐車場が設置されている場所は店舗や商業施設、マンション、病院、公共施設、地下駐車場などです。工場で大型トレーラーが多く入出庫するゲートにおいても、出庫警報システムが設置されることがあります。

道路への出入りが多い施設においては、周囲の通行人や他の車との接触事故を減らすためにも、出庫警報システムを設置しておくことが安全上有効な手段の一つです。一方で大規模な土木、建築工事現場では出庫警報システムの設置は時間とコストの面から不向きと考えられます。多くは誘導員による安全管理が行われています。

出庫警報システムの原理

出庫警報システムは、大きく3つの要素で構成されています。まず車両の接近を検知するセンサー、センサーが検知した信号から警報を発するか否かを判断する制御装置やシステムの電源装置、そして車両の出庫を知らせる表示として出庫注意灯や回転灯があります。

出庫警報システムはセンサーの種類や出入り口の幅、車線数などによって種類がありますが、いずれの場合でも3つの構成要素によって成り立っているシステムです。

出庫管理システムの種類

出庫管理システムの種類として、車両の接近や通過を検知するセンサーの種類で説明します。

ループコイル

ループコイルは車両を検知するセンサーとして、多く使われています。ループコイルは車両の金属を検知するセンサーであり、道路にコイルを埋め込んで設置するものです。道路の表面から5~10cmほどの深さに、1~4周ほどの電線をコイル状に埋め込み、電流を流します。するとコイルに磁界が発生し、車両が近づくことによってインダクタンスが変化するため、インダクタンスの変化量にある閾値を設けておくことによって、車両の通過が検知できます。

ループコイルは人や動物を検知することはなく、雨や雪などによる環境変化に対しても信頼性や耐久性が高いセンサーです。ループコイルが発生する磁界は微弱なため、人体への影響もありません。

赤外線ビームセンサー

赤外線ビームセンサーは、赤外線の投光器と受光器を設置しておき、車両が赤外線ビームを遮断することによって検知が行われます。車両の進行方向に2列の赤外線ビームセンサーを設置しておけば、遮断順によって車両の進行方向が分かり、出庫する場合に警報を発することができます。

マイクロ波センサー

マイクロ波センサーはマイクロ波を送信し、対象物によって反射された電波との周波数の差分を取ることによって、物体の検知や移動速度が検出できるセンサーです。マイクロ波センサーにも検知方式による違いがあり、出庫警報システムにおいてはマイクロ波FMCWセンサーや、マイクロ波ドップラーセンサーなどが用いられています。

 

 

 

硬爪

硬爪とは

硬爪とは、主に旋盤で被削材となるワークを旋盤のチャックに固定するための治工具の一つです。硬爪と同じ役割を果たすものに生爪がありますが、目的に応じて使い分けられるものです。

硬爪も生爪も旋盤のチャックに取り付けられるものであり、多くは3つセットで使われます。旋盤のチャックには油圧や空気圧を利用するパワーチャックと、手動のスクロールチャックがありますが、硬爪も生爪もどちらにも利用されます。

硬爪は生爪に比べて硬いのが特徴です。硬さが高いために摩耗しにくく、繰り返しの使用に対しても高い耐久性があります。一方で生爪は被削材の形状に合わせて、成形加工を施してから使用するものです。事前に成形することによって被削材をより確実に固定できるようになるため、精度の高い加工に向いています。逆に硬爪はあまり精度を必要としない、粗加工に用いられる爪です。

硬爪は、オニ爪やハードジョーという名称で呼ばれることもあります。

硬爪の使用用途

硬爪は主に汎用旋盤などの工作機械で加工をする際に、ワークをチャックに固定するために使用されます。爪がワークと接してねじ締結などによって固定されることによって、ワークが加工できるようになります。旋盤のようにワークが回転する場合、硬爪は円周上120°間隔で3つセットで使用されるのが一般的です。

また硬爪は、加工精度をあまり必要としない粗加工時に使用されます。硬爪は硬くて耐久性がある一方で、生爪のようなワーク形状に合わせた成形加工を施すことを前提にはしていません。そのためワークを点接触で固定する場合が多く、固定力の強さにおいては成形された生爪に劣ります。また爪が硬いため、ワークとの接点に傷や凹みなどを生じさせてしまう可能性もあるので注意が必要です。

硬爪は汎用旋盤で多く用いられますが、NC旋盤、マシニングセンタ、ボール盤、フライス加工において使用されることもあります。

硬爪の特徴

硬爪の特徴は頑丈であることから、何度でも繰り返し使用できることです。通常は靱性のある合金鋼を熱処理することによって、硬さを高くしています。

硬爪は表面が加工されていない黒皮付きのワークを旋盤などで切削加工する際にも適しています。また生爪のようにワークに合わせた事前の成形をすることもありません。

逆に硬爪ではワークと点接触になることが多く、高い加工精度を要求される加工には向いていません。硬爪は硬さが高いことから、ワークを固定する際に強い力でクランプしてしまうと、ワークに傷や凹みを生じさせてしまう可能性もあります。

硬爪の選び方

硬爪は汎用旋盤などには、標準で付属していることが多い治工具です。また硬爪は生爪同様に旋盤に使用されているチェックに合わせた製品から選ぶことができます。チェックメーカーに合わせて、寸法が異なる複数の製品から選べるようになっているのが一般的です。また多くは1セット3つで販売されています。

硬爪は同じチェックメーカーのものでも、形状によってチェック把握範囲が設定されており、チェックできる外径や内径の寸法が定められています。また最高使用回転数にも注意が必要です。硬爪は旋盤で用いられる際には、硬爪自体も回転するため遠心力が発生します。遠心力によってワークの把握力も低下するため、定められた最高使用回転数以下で使用することが安全上、とても重要です。最高回転数以外には、最大静的把握力、ハンドルトルクも定められています。ハンドルトルクは硬爪の把握力を発生させるものであり、適切なトルクで締め付ける必要があります。

また同じチェックメーカーであっても使用できるチェックが指定されている場合もあるので、事前に確認してから選ぶことが大切です。

沈砂槽

監修:日本エンヂニヤ株式会社

沈砂槽とは

沈砂槽とは、河川からの取水や汚水処理において、水の中に含まれる砂などの異物を除去することを目的とした水槽のことです。大規模な下水処理施設や公共施設に設置される下水処理においては、複数の池や水槽を組み合わせた工程が組まれていますが、沈砂池や沈砂槽という工程が組み込まれています。いずれの場合においても、処理工程の比較的早い段階で行われる処理です。

本稿で扱う沈砂槽も同様の役割を担うものであり、それぞれの用途に適したサイズや形状のものが製品化されています。

沈砂槽の使用用途

沈砂槽が用いられるのは、主に以下の3つの場面です。

1 つ目に河川や湖沼から取水する際に、砂や小石などを除去するために用いられます。山間部などの河川から取水したい場合で、かつ取水場所に沈砂池のような施設が設置できない状況は、沈砂槽が用いられるケースの一つです。

2 つ目に下水処理です。私たちのまちに整備されている上下水道では地域ごとに集合した下水処理施設で処理されますが、特に下水から異物を除去する必要がある場合に使用されます。

3 つ目に、工場などで用いられる工業用水で処理が必要な場合に、沈砂槽が設置されます。工業用水に異物が多く含まれることによって他の設備に悪影響を及ぼしたり環境を汚染する恐れがある場合に、沈砂槽を適切に設置することが大切です。

また特殊な事例に特化した製品として、マンホールから地下クロージャーを開けて作業する際に溜まっている水をポンプで汲み上げ、異物を除去して水のみを下水道に流すことができる製品もあります。

沈砂槽の原理

沈砂槽で異物を除去できるのは、液体中において液体よりも比重の大きいものが下に沈むという自然現象によるものです。逆にいうと沈砂槽で除去できるのは、水よりも比重が大きいものに限られます。

比重が水に近く僅かに大きい場合には、水の流れによって異物もなかなか沈まずに水中に漂うことがあります。そこで沈砂槽では水の流速を少なくし、異物を沈みやすくしているのも沈砂槽の特徴の一つです。

水と異物の分離を確実にするために、水槽内に仕切りを設けた製品もあります。水面よりも低い高さの仕切り板を設けることによって、水面から離れた異物を沈砂槽の排水口に流れないようにしたり、V字形状のノッチを設けた仕切り板を設置できる製品もあります。

仕切り板の設置は垂直だけでなく、傾斜板にすることによって、より微細な異物が除去できる製品も販売されています。

沈砂槽の構造

沈砂槽は概ね水を蓄える本体となる水槽に、処理水が入る取水口、異物が除去された処理水が排水される排水口、水槽内に設置される仕切り板やノッチ板で構成されているのが一般的です。

取水口は製品によっては特に設けられておらず、ホースなどで流入させるタイプもあります。取水口がある場合、多くは水槽の高い位置に設置されています。

一方で排水口は水槽の低い位置に設けられています。排水口は低い位置に設定されていることによって、水槽内の水が少なくなっても排水することが可能です。製品によってはゴム栓によって塞ぐことができる製品もあります。

沈砂槽のその他情報

本稿で扱っている沈砂槽は定常的に設置して使用するものではなく、移動して使用できることを特徴とした製品を対象にしています。そこで持ち運びできることを特徴とした製品においては、本体をポリカーボネートなどの樹脂にすることで軽量化を図ったり、トラックなどの荷台に乗せやすいサイズで設計されているのも移動を前提とした沈砂槽の特徴の一つです。沈砂槽では本体となる水槽の容積によって処理能力も変わるため、複数のサイズの製品を用意しているメーカーもあります。

沈砂槽は複雑な構造や機構を用いることなく、比重の大きいものが沈むという物理現象のみを利用することで、異物が除去できる信頼性の高い製品です。

本記事は沈砂槽を製造・販売する日本エンヂニヤ株式会社様に監修を頂きました。

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緊急遮断弁

監修:日本エンヂニヤ株式会社

緊急遮断弁とは

緊急遮断弁とは、水道水や工業用水、液体の燃料やガスなどを貯蔵するタンクに、保安装備として取り付けられる安全装置の一つです。

タンクの供給先にある配管などが事故や災害などによって損傷した場合、タンク内の流体が意図せず大量に流出してしまう事故につながりかねません。緊急遮断弁は供給先の配管などに異常が発生したり、異常が生じる可能性があると判断された際に流体の配管への供給を遮断することによって、事故や災害の二次被害が発生するのを防ぐ装置です。

緊急遮断弁は政省令などによって、特に交官庁や公共施設などには設置の基準や性能などの要求が定められています。また民間の商業施設や共同住宅などにも設置が拡大している製品です。

緊急遮断弁の使用用途

緊急遮断弁は大きく、水を貯蔵するタンクに取り付けられるもの、液体燃料を扱うタンクに取り付けられるもの、ガスを貯蔵するタンクに取り付けられるものがあります。

水を扱う場合には貯水槽に取り付けられます。地震などの災害や事故などによって給水配管などが損傷すると、貯水槽に蓄えられた水が大量に流出するのを防止するのが目的です。なお緊急遮断弁が設置される貯水槽にはいくつかの種類がありますが、受水槽はタンクが地下に設置されるもの、高置水槽は建物の屋上などに設置されるタンク、貯湯槽は水を加熱する機能を有したものを言います。

液体燃料を扱う場合には、燃料供給ラインやガソリンスタンドのガソリンや軽油タンクなどに取り付けられ、ガスを扱う場合には、ガスタンクや供給ラインなどに設置されます。いずれも燃料が予期せず流出し、火災が発生するのを防ぐ役割を果たすものです。

緊急遮断弁の原理

緊急遮断弁の原理として、緊急を検知する仕組みと作動する動力源について説明します。

緊急を検知する仕組みにはいくつかありますが、例えば自ら加速度センサーを備え、設定された加速度が検出された際に作動するもの、パイロット圧を発生させておき、異常によって流量が増大し、異常な差圧が生じた際に遮断が作動するものなどが主流です。他には流量をモニターしながら異常な流量が生じたことを検知するもの、複数の方式を用いてかつ、それらをすべて満たした際に作動させるもの、いずれかの条件で作動させる場合などの判定条件を設定できる製品もあります。

弁の遮断動作には電気を用いるもの以外に、機械式のものは例えばゼンマイによる弾性力を利用することで、電源がなくても作動できるものもあります。

緊急遮断弁の選び方

緊急遮断弁を選ぶ際には、まず扱う流体の種類で選ぶことから始めるのが一般的です。生活用水や工業用水などの水を扱うもの、ガソリンや軽油といった液体燃料を扱うもの、ガスを扱うものによって選ぶべき製品が変わってきます。

次に上述の原理でも挙げた、緊急の検知方法と遮断弁動作の動力源について確認が必要です。地震による災害を防ぐ目的の製品であれば、揺れを検知する加速度センサーが緊急遮断弁の本体についているものもあれば、本体とは別に制御盤などに感震器が内蔵されているものもあります。

機械的に揺れを検知するタイプでは、緊急遮断弁本体に異常を検知する機構が設けられていることが一般的です。圧力やバネの弾性を利用した機械式は電源が不要なだけでなく、信頼性の面からも安心して用いることができます。

また緊急遮断弁を選ぶ上で、緊急遮断が行われた後の復帰方法についても確認しておくことが大切です。せっかく異常を検出して遮断できたとしても、復帰時に意図せずに弁が解放されてしまっては、二次災害につながりません。十分に安全が確認された上で復帰できるよう、用途に応じて製品の仕様を確認することが重要です。

 

本記事は緊急遮断弁を製造・販売する日本エンヂニヤ株式会社様に監修を頂きました。

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