油圧作動油とは
油圧作動油とは、油圧機器を動かすための専用の潤滑油です。
油圧機器はポンプで加圧された油を配管で送り、シリンダやモータに力を伝える仕組みです。油圧作動油はこれを支える流体であり、動力の伝達や部品の潤滑及び内部の冷却といった多くの役割を担います。一般的に鉱物油を基油としますが、耐熱性や難燃性を高める目的で合成油などが選ばれる場合もあります。
粘度は油の重要な性質です。粘度が高すぎると流れにくくエネルギーロスが増え、低すぎると漏れやすくなり効率や潤滑性が落ちます。そのため、一般に使用温度範囲で粘度が大きく変わらないように、粘度指数向上剤が配合されます。さらに、用途に応じて酸化防止剤や防錆剤及び清浄分散剤などの添加剤が組み合わされます。
油圧作動油の使用用途
油圧作動油は以下のような用途で使用されます。
1. 建設機械・農業機械
建設現場で活躍するショベルカーやクレーン車などの建設機械に油圧作動油は不可欠です。これらの機械の動作は、油圧の力によって生み出されます。また、農業で使われるトラクターやコンバインなどの農業機械にも油圧技術が利用されており、作業の効率化に大きく貢献します。少ない操作で大きな力を制御できるため、精密で力強い作業が可能です。
2. 産業機械
工場で製品を製造する際に使われる産業機械にも、油圧作動油は広く使われます。油圧の板金プレスやプラスチックの射出成形機などが油圧作動油の活用例です。また、自動車の製造ラインなどで活躍する産業用ロボットのアームを動かすためにも使用されます。現代のものづくりを支える上で欠かせない技術です。
3. 一般用途
建設現場や工場だけでなく、身近な場所でも活躍されます。例えば、自動車のパワーステアリングは油圧を利用してハンドル操作を軽くします。ビルに設置されているエレベーターも活用の一例です。また、テーマパークのアトラクションなど、人や物を安全かつスムーズに動かす必要がある多くの設備で、油圧作動油が重要な役割を担います。