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pH指示薬についての概要、用途、原理などをご説明します。また、pH指示薬のメーカー13社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
pH指示薬とは、pHの変化によって色が変わる有機色素の総称です。
酸塩基指示薬、中和指示薬とも呼ばれています。指示薬の構造が変わる反応が起こるpHは指示薬によって異なるため、確認したいpH領域に合わせた指示薬を選定することが重要です。pH指示薬の代表的なものは酸性、中性、塩基性で色が変わるBTB (ブロモチモールブルー) や塩基性溶液で着色するフェノールフタレインが挙げられます。
pH指示薬は製造業の研究開発や製造現場で使われているほか、農作物や土壌のpH確認でも使われています。また、pH指示薬は色の変化が大きく、簡便に使用できるため、理科授業などの学校教育においても以前から使われてきました。
pH指示薬は試料溶液のpHを簡便に見ることができるため、特に分析用途で多く用いられています。例えば、製造業においては中和点の確認であったり、排水のpH確認をしたりなど生産現場で使われる場合が多いです。とりわけ、工場から下水道に放出する排水のpHの範囲は行政によって定められているため、排水のpH管理は必須と言えます。
その他、農業における土壌や食品のpH確認に用いられることもあります。特に、土壌のpHは作物の育ち方に大きな影響を与えるうえに、作物によって最適なpHが異なること、地域によって元々の土壌のpHが異なることから、安定した作物の育成にはpH測定が極めて重要です。
pH指示薬の色が変わるのは、pH変化によってpH指示薬の化学構造が変わるためです。芳香環の変化や二重結合の位置が変わることによって分子のエネルギー状態 (HOMO、LUMOのエネルギー) が変わり、吸収する光の波長が変化します。
図1. BTBの構造変化
BTB溶液 (ブロモチモールブルー) は酸性、中性、塩基性で色が大きく異なるため、酸と塩基を判別するpH指示薬として使われています。厳密に言うとBTBは酸性であるため、市販品の化学構造はナトリウム塩です。
BTB溶液はpHが6.0未満の場合、ほぼ全てのBTBがナトリウムと塩を形成した状態ですが、pHが7.6より大きい場合、BTBのヒドロキシ基のプロトンも脱離した2価の陰イオンとなります。この構造の変化によって色が変わり、pH6.0未満の場合は黄色、pH7.6より大きい場合は青、その間のpHでは2つの化合物の色を重ねた緑色となります。
図2. フェノールフタレインの構造変化
フェノールフタレイン溶液は、塩基性溶液を判別するためのpH指示薬です。紫色にわかりやすく着色するため、学校における理科の実験でも多く使われています。
フェノールフタレインは白色固体の物質で、エタノールや水に溶解します。中性や酸性環境のフェノールフタレイン溶液は透明ですが、pHが9を上回るとエーテル部位の開裂並びに陰イオンへの変化が起こり、溶液は紫色に変化します。一方で、pH10を上回るとフェノールフタレインは更に構造が変化し、pH13を上回ると紫色の溶液は再び無色透明に戻ります。
図3. 製造業におけるpH指示薬の活用
事業者が下水道に放出できる排水のpHは自治体ごとに定められており、基本的には中性にしなければなりません。実験室や研究開発など、使用した排水の量が少ない場合は、炭酸水素ナトリウムなどの弱塩基が中和剤として使われており、中性付近で色が変化するpH指示薬を排水に加えてpHを確認しています。
しかし、炭酸水素ナトリウムを用いた中和では二酸化炭素ガスが発生するため、スケールが大きな生産現場では場合によっては使用できません。その場合は塩酸や水酸化ナトリウムなどの気体が発生しない塩基や酸を用いて中和することがあります。
なお、生産現場では排水に直接指示薬を加えられないため、処理後に排水をサンプリングして指示薬を添加してpHを確認します。
農業においては土壌のpHが作物に大きな影響を与えるため、土壌のpH管理が行われています。その他、農作物に限らず幅広い食品でpHの確認が求められることも多いです。
例えば、乾燥スープなど水に溶解する食品では水に溶かした食品にpH指示薬を加えて簡易分析することがあります。なお、食肉や魚などの固体食品ではpH指示薬の代わりに電極を用いたpH測定器を用います。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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