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光触媒についての概要、用途、原理などをご説明します。また、光触媒のメーカー11社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
1976年~2001年通産省(当初)工業技術院地質調査所勤務 北海道支所にて資源地質の研究に従事。>2001年~2016年産業技術総合研究所の産学官連携コーディネータととして勤務し、ものづくり基盤技術支援室長などを併任。>2004年~2016年R&Bパーク札幌大通
光触媒とは、光のエネルギーを利用して化学反応を促進する物質のことです。
光触媒は日本で開発されました。1967年に東京大学大学院生であった藤嶋昭氏が、水中の酸化チタン電極に光を当てると気泡が出ていることを発見したのがきっかけです。アナターゼ型の結晶構造をもつ酸化チタン (TiO2) が光触媒として最も多く使われていますが、開発当初は波長の短い紫外線でしか機能しませんでした。
応用できる市場が広い純国産技術ということもあって、国や企業が力を注いだ結果、可視光でも機能する、効率の高い光触媒が次々と登場しています。
図1. 光触媒の機能と主な用途
光触媒は、光のエネルギーさえあれば有機汚染物質を分解可能です。超親水性を発揮するため、幅広い分野で特性を活かした用途があります。
タイル等の建材やガラス用のコーティング剤として、数多くの実用化事例があります。太陽光があたる屋外では、建築物外壁、窓ガラス、交通標識、看板などに用いることでセルフクリーニング効果と同時に消毒、抗菌、防曇効果が発揮されるためです。
屋内では紫外線ランプと組み合わせて、空気清浄機、脱臭機、エアコンのフィルターなどに用いられています。また、可視光応答型の光触媒であれば、家屋の内壁やドアなどに用いることで、抗菌・防臭とシックハウス症候群の対策に役立ちます。
研究開発中のものも含めれば、飲料水の浄化、貯水槽の浄化、大気や湖沼の浄化、排水処理、土壌の除染、人工光合成 (水を分解して水素と酸素を作る) にも使用されています。
紫外線があたっている光触媒には、有機物などを酸化・分解する酸化作用と水を全くはじかない超親水性があります。実は光触媒がこれらの機能を発揮するメカニズム、特に下記ヒドロキシルラジカルの発生機構については、研究者の間でも見解が統一されていません。従ってここでは、広く一般的に語られている説明を纏めます。
図2. 光触媒表面での活性酸素の発生
光触媒に光のエネルギーを与えると結晶内部が高エネルギー状態となり、結晶表面の電子が一時的に結晶構造から離れて移動します。この電子はマイナスに荷電しており、電子が抜けた孔 (正孔) はプラスに荷電していて、どちらも非常に不安定で反応性が高い状態です。
このため、電子は空気中の酸素と結合して O2- (スーパーオキサイドイオン) を作り、正孔は触媒表面に触れる水から電子を抜き取って·OH (ヒドロキシルラジカル) を作ります。
O2- と·OHはいずれも活性酸素と言われるもので、触媒表面に近付く有機物などと反応して酸化分解します。この時、光触媒は酸素と水を活性酸素に変えることで酸化反応を促進しますが、反応には加わらないため自身を消耗することはありません。このように、光触媒は半永久的に効果を発揮します。
図3. 超親水性の発現
活性酸素によって光触媒の表面に吸着した微細な疎水性有機物が分解されると同時に、触媒の表面が水酸基 (-OH) で覆われるために超親水性が発揮されると考えられています。また、水の膜が酸化チタンと汚れの間に入り込むことで、大きな汚れが落ちやすくなります。
現在主流となっている光触媒は、酸化チタンあるいは三酸化タングステンをベースとしたものです。酸化チタンは物理的にも化学的にも安定で、価格も比較的安いため、多くの光触媒製品に用いられてきましたが、当初は紫外線のエネルギーしか利用できない等の問題がありました。
この問題を解決するために開発されたのが、三酸化タングステンの光触媒です。現在は、両者のいずれについても、独自の工夫を施した多くの製品が販売されています。
太陽光中のエネルギーの割合でいえば、紫外線はわずか約3%で可視光が約50%です。膨大な可視光のエネルギーを利用するために可視光応答型光触媒が開発されました。
現在では、酸化チタンや三酸化タングステンの結晶構造中に微量の窒素や金属を混入させたものや、それらの表面に金属や金属酸化物を付着させたものなど、様々なタイプの可視光応答型光触媒が製品化されています。
光触媒としての性能が高ければ高いほど、有機繊維などの酸化分解されやすい素材に直接触れる形で用いることはできなくなります。この問題を解決するために、アパタイトと複合させて酸化チタンが素材に直接触れないように工夫した光触媒や、有機物基材の表面を覆いつくして光触媒と直接接触させない接合材などが製品化されています。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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