トルクモーター

トルクモーターとは

トルクモーター

トルクモーター (英: torque motor) とは、大きな起動トルクを有し、回転速度の増加に伴ってトルクが減少するモーターです。

広い速度域で安定した運転ができる特性を有しています。トルクモーターは、特に低速で高いトルクを実現できるため、ローラーなどの巻取り装置への使用に適したモーターです。

巻取りを行う際、はじめは低トルク・高速回転が必要ですが、巻取りが進むにつれて径が大きくなるので、最終的に高トルク・低速回転が必要になります。負荷側の回転数-トルクの特性曲線と、トルクモーターの特性曲線が似ているため、トルクモーターは巻取りに適したモーターであると言えます。

トルクモーターの使用用途

トルクモーターのは、一定の速度で何かを巻き取るための装置に組み込まれる場合が多いです。例として、布や紙・ゴムなどのシート状のものや、金属線やケーブル・糸などの線状のものを巻き取るときなどが挙げられます。

また、ロール用としての用途は、送りロール、各種ロールのロス補償用 、小形クレーン、ベルトコンベアー駆動用などです。さらに、バルブやねじの締め・緩めやドアの開閉などにも起動トルクが必要なため、トルクモーターの使用が適しています。

トルクモーターの原理

他のモーターの回転数-トルク特性曲線は、特定の回転数でピークを迎えるような山なりになっているのに対し、トルクモーターは、右肩下がりのなだらかな曲線になっています。この特性が垂下特性です。

トルクモーターは、モーターと負荷のバランスを保つように、回転数が増加するとともに、トルクは減少するという性質を持っています。トルクモーターへの印加電圧を増加させると、電圧の二乗に比例して垂下特性の曲線は、より右肩下がりの傾きを持った曲線にシフトします。したがって、電圧調整器と組み合わせて使えば、アプリケーションに応じて垂下特性のチューニングが可能です。

また、負荷トルクが一定の場合は、印加電圧を調整すれば回転速度を変化させることもできます。角速度が一定の回転運動にかかるトルクを静トルクと言い、トルクモーターは、静トルクが必要な巻取り動作などに適しています。また、始動トルクが大きいため始動電流も小さくて済むため、頻繁に始動・停止を行う動作にも適したモーターです。

トルクモーターのその他情報

トルクモーターのブレーキとしての使い方

巻き取り機構のテンションを一定に保つために、巻き取り側だけでなく、巻き出し側にもトルクモーターを使用することにより、細かい調整が可能です。この場合、トルクモーターの特徴であるブレーキ特性が利用できます。ブレーキ特性は、以下の2つがあります。

1. 逆相ブレーキ
交流電圧印加による回転磁界の方向とは、反対方向に回転させた時のトルク特性をブレーキに利用します。逆相ブレーキ特性を利用した使い方は、トルクモーター起動時のトルクよりも大きいトルクで、反対方向に回転させたときのトルクを利用する方法です。

トルクモーターは、一定のブレーキ力を発生しながら回転磁力とは反対方向に回転します。回転数が0からブレーキ力が発生するため、張力を停止時も必要な場合などに適したモーターです。

2. うず電流ブレーキ
直流電圧印加による磁界によって、停止状態のモーターを回転させた時のトルク特性をブレーキに利用します。うず電流ブレーキの使い方は、正方向・逆方向どちらの方向に回転しても、同様のブレーキ力が得られる現象を利用する方法です。

回転数が0の時は、ブレーキ力は0ですが、回転数の増加ともにブレーキ力は増加し、高速領域で安定します。この特性を利用するのは、高速回転時に安定した張力を必要とする場合や正転逆転で張力が必要な場合などです。

参考文献
https://www.khanacademy.org/
https://www.etel.ch/torque-motors/principle/
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/reference/sizing_motor09/
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/qa/detail/0071/

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